第6話 治療
朝食を
今日の予定は、畑仕事、モエの家を
畑仕事は、小さな畑一つだけなのであまり苦労はない。
雑草を取って、育ちの悪いモノを間引きして、虫をできるだけ
みんなの食欲が
キナとモエが、
本当に申し訳なく思うのだが、俺の腹は貪欲に食事を要求するのだ。
心苦しさは未だにあるが、キナの畑を俺が管理するようになってからは、ほんの少しだけ罪悪感が減ってくれた。
早々に作業を終えて、モエの家に行く。
この家を
モエに許可はもらってある。
新生活を始めるなら、
それに
物心付いた
キナに至っては、物心ついた
病人を世話する人間が必要だったのだ。
病人の方が多く、手が足りないとき、子供の手でも借りたいと
しかし、
両親も他界して、行く場所がなくなったキナはそのまま
キナにとって畑仕事は、
他の畑と
近寄っただけで病気が移ると
そんな思い出ばかりなら、
それに、今すぐ住めるのは、モエの家だけだ。
なによりモエの家はデカい。
それに、防衛を考えたときに、
ただモエの家に来るのは病人ばかりなので、
なので、
今日は、モエが
前回神様と
さてモエが
まずはモエの家の中を探検である。
全ての部屋を見て回っても
まずは
つか、モエの家は何にしろ色々デカい。
まだ一つも
全て部屋が
四方の
モエの家から少し
裏手側にも三つの部屋が並んでいる。
こちらは収納付の8
土間とくっ付いている部屋には、
いわゆる居間で、モエの生活はこの部屋で完結していたようだ。
二階には
海側には
一階、六部屋。二階、二部屋。
作りはしっかりしていて、台風でもびくともしなさそうだ。
とりあえず、全ての部屋の雨戸を全開にしてきた。
使っていなかった割に、ホコリは少ない。
モエがこまめに
しかし、これだけ大きい家を一人で
土間に降りて、全て見て回る。
土間はL字型をしており、
土間には
モエは
母親がもったいない病を
モエの家は、物が少なく、ものすごくスッキリしている。
広くて大変だけれど、細々とした作業をしなくてよいので、その辺はすこしだけ楽そうだ。
モエの家の構造を
ベランダから屋根に登れるので、
モエの家の
次は
これが終わらないと、外に荷物を出したり、
とりあえず、
病気を
ノミや
こちらのダニの生態は知らないが、
ダニの他にも、雑草は色々な虫を引き寄せる。
病気の
そういった意味では雑草処理も、
家の周りぐらいは
雑草と
家の中が、
気分的な問題かもしれないけれど、治療の際は、
いよいよアユの
「ミコ、
ミコの目が喜びに見開かれる。
「回数増やした方がいいって言ってるよ」
「そ、そうか、どれくらいの
「んとね、んとね、毎日! 毎日がいいって言ってる」
「そ、そうか・・・」
予想外の回答だった。
神様の
ミコ、本当に
モエの顔も
「暗くてよく見えない」
アユの不安そうな声が聞こえる。
「ゴメンな、でも
「なら、これでいい」
モエの家に、全員集まってしまった。
ハツはまだ目を覚ましていないけれど、
昨日は連続でハツとモエの
その時、神様と
ミコが神様とやり取りしながらやった方が効率が良い。
一々精神統一して、神様と
ミコが間に入ってくれると、最初の一回だけ神様とのリンクを
一日に5人、一回で5人、初めての経験だ。
まあ、やるだけやってみる。
アユで頭の中を
痛みに
お
手を放すと
キナの事件の時、自分の名前も呼んで
みんなで同じ
みんなでご飯食べたときのご飯がおいしいねと言ったアユ。
アユのふっくらした顔が見てみたい。
ケラケラ笑うアユが見てみたい。
走り回るアユを見たい。
確定ではないけれど、たぶん
精神の
あの
本気で
ヒントは得たが、気が重い。
イヤな自分と向き合うのだ。
それ自体がイヤで
どれくらいの時間が
「そのまま、もう少し」
その直後、体の感覚が少しおかしくなってくる。
神様リンクが
そのまま
「
ミコの言葉が聞こえる。
成功したようだ。
ここまで来ると、あとはそう苦労はない。
「ユウジ、次はハツ」
アユの
頭の中をハツで
ミコに言われるまま
やはりミコが間に入ると楽だ。
一人でやるときより、神様と
あとはミコに言われるまま
全員の
「ユウジ、終わったよ、みんなも声だしていいよ」
「気持ちいい」
アユの声が聞こえたら、その後みんなが
「
「幸せです」
今日は最初から
人数分。
2度目の
まあ前回あれだけ出しているので、もういないと思いたいが。
一度虫下しが終われば、次はないらしい。
だれも腹痛を
まあ、前回からあまり時間は
虫が体に入って成長するまで時間もかかるだろう。
モエにスケッチがしたいので、紙と筆記用具が
村長の家も大きかったけれど、作りはモエの家の方が作りが良い気がする。
紙と筆、それに
忘れないうちに、寄生虫の形を書き留めておく。
前回、自分が入るのを忘れていた。
全員の
今日のお
これから毎日と思うと気が重くなる。
もっと早く
今は5人並んで、仲良く
最初は4人で幸せ談義をしていたが、一人一人と
この顔を見ていると、
さて、これからどうするか。
全員が完治するまで
何日続けるのだろう・・・
神様が薬を作っているのだから、
つか一日の
考え事をしていたら、いつの間にか
この
外を
夕飯の準備をしよう。
それに、
モエの家の土間を物色してみたが、食材がない。
気が引けたけれど、モエを起こして食材のありかを聞き出す。
「すいません
「いいよ、今は
「
「そう、ご飯を食べて
「でも」
「モエは働き過ぎだ、少しは
「はい」
モエの
神様の
まあ、精神的な病も、
村長の家に行った時より、ポワポワ感がなくなっているが、モエの足取りはまだ少し危なっかしい。
「今日全員の
「でしたら、
「おう」
「私は、村の倉庫に行ってきますね」
「
とりあえずモエに言われたとおり、
そのあと、モエを追う。
先ほど、少し様子がおかしかった。
モエの
なにか後ろめたい事があるような
モエの足取りはいつもより
少しだけ
辺りをキョロキョロ
しばらくすると、
モエの表情が険しい。
どうも、モエは悪いことができないようだ。
モエの前に堂々と歩いて行く。
モエは
「モエ、
「・・・すいません」
「なんで
「・・・はい」
「モエ、なんでそんな顔をしている、お前は何も悪いことはしていない」
「でも」
かなり大きな倉庫だ。
半分くらい
村がこんな
モエの話だと3年分。
3年前から役人が顔を出していないそうだ。
村人が
とにかく、
村人は食べることができないのだそうだ。
村人の食事は別の穀物。
村の
悪いことをした。
「モエ、ありがとうな、お前が後ろめたく感じる必要はない」
「でも」
「いいんだよ、
「え」
「いいか、全員の
「はい」
「それに、3年放置されてきたんだろ、ならその分の
「えっ」
「
「そうなんでしょうか?」
「そうなんだよ、村人が
モエの顔はまだ晴れない。
「モエ、村長はどうやって決める?」
「えっと、村長の家は代々村長で・・・」
「今はいないよな。なら
「本当に、これからも、この村にいてくれるのですか?」
「ったく、そんな顔をするな。お
「はい」
今日一番いい
不安の消えたモエの顔は、年相応の少女の顔だった。
モエと二人、家に
あの後、多めに米を持ってきた。
今日は米がメインの
栄養面ならいつもの
モエが処理した
味付けはモエに任せたが、
モエを
そろそろみんなを起こして、飯にするかと思っていると、みんなが起き出してきた。
「よし、みんなで飯にするぞ、今日はお祝いだ、
食事の準備が終わったところで、先ほど決めたことを発表したいが、その前に
「ミコ、神様に
「うん」
「ここに
「そうだって」
「目的は?」
「ごめんなさい、難しくてわからない」
神様と俺の間に入るのがミコだ。
上手く通訳できないと、ミコはすごく悲しそうな顔になる。
「いい、気にするな、
「うん」
「だから、そんな暗い顔をするな。いいか、
「
「よし、それが分かれば十分だ、ミコありがとうな」
「うん」
ミコの頭を撫でると、やっと嬉しそうな顔になった。
「さて、さっき決めたことだけれど、
「やった、ユウジずっといるの」
「できればお
「ホントに、ホントに」
「ああ、本当だ」
思った以上に
「今日のご飯には米が入っているぞ」
米と聞いた瞬間、キナが器の中を覗き込む。
「食べたことない」
「アユも初めて」
「それじゃ、いただきます」
「いただきます」
「すごい、ご飯が
「そっか、アユは今日が初めての
「
アユには悪い事をしたかも知れない、いつもの食事の方が味の
それでも、泣き笑いのような顔で、
「でも、いつものご飯より、お米、
アユが泣き出した。
アユを
「アユ、今まで
アユが声を出して、泣き出した。
皆もアユの気持ちが解るのだろう、ミコも泣き出して、モエとキナは涙ぐんでいる。
まあ、あんな
泣きたくもなるだろう。
「泣きたいだけ、泣いて良いぞ」
ボリュームが上がった。
ミコも大声で泣き出したので、アユとミコの頭を左右に
しばらく泣いた後、落ち着いたようである。
「あー」
「ハツ、目が覚めたか」
声をかけるとこちらを見る。
ハツの
「ハツ痛くないか」
「あー」
「ご飯を食べられそうか」
「あー」
顔を見る限り、
変な方向を向いていた目が、正常位置に
ハツを
ゆっくりだがちゃんと食べている。
「もっと食べる?」
「あー」
「そう、はい」
「ハツ聞こえてるみたい」
「そう見えるな」
キナが、ハツの名を呼ぶ。
「ハツ。こっち見た、聞こえてるみたい」
それを嬉しそうに見ていたミコ。
「
しみじみとアユが言った。
「治るまで、
幸せそうにモエが答える。
「ものすごく幸せです。」
キナが、うれしそうに言う。
「明日も楽しみ」
言葉が分かるのか、いつもより
「あー」
「ハツも楽しみだって」
ハツを見る、キナの顔も嬉しそうだ。
「ご飯終わったら、みんな
「やった」
しかし、いつも以上におれの腹が
多めに作っておいたはずの
「ミコ、神様に質問だ、
「えっとね、お薬作るのに必要なんだって」
「
「食べると、神様がお薬作る」
一つ
今まで、モエ
とりあえず腹が
「これ、少しだけお
ミコのところに行って、それを受け取る。
「神様が作った薬、ほんの少しお
木の
「えっと、これ全部入れても少しだけど?」
「うんとね、ほんの少しで良いって」
よく分からない。
農薬の
300リットルのデカいタンクに入れる農薬はキャップ
神様の薬は
頭を洗うと、
明らかに
神様の薬の効果なのか?
「きもちいい」
「今日は、幸せいっぱい」
「あー、うー」
ハツの頭に鼻を当てて、
ふむ、イヤなにおいはしない、というかなんか良い匂いがする。
お湯の温度が少し下がったので、少しお湯を足して温める。
いつもよりミコが元気だ。
「ずっと入っていたい」
「いいぞ、ふやけるまで入ってろ」
「やった」
「ミコ、なんかお
「ん、お
「治ってるのか?」
「治ってるって言ってる」
「神様がそう言ってるのか?」
「うん」
「そうか、良くなってるのか、よかったな」
「うん」
全員入った後の残り湯をもらう。
この
神様のお薬効果か?
あー気持ちいい。
やっぱ
足を
このサイズなら、最低、
食事と
頭も洗ってお湯を見ると、ゾッとする位黒くなっている。
ってか、
つか、神様の薬のせいなのか?
毎日は
でも、
ここより
ただ、エントロピーだったか? 木を育てるエネルギーに対して、燃やして得るエネルギーの少なさみたいなのは気になるのだ。
真っ黒に
実家の屋根に乗っていた、太陽熱温水器を思い出す。
時間ができたら
よく
多分今まで痛みに苦しみ、
目が開いて
頭を
それが
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