第4話 風呂
これは少しキツいな・・・。
ん? そういえばノミやダニって寄生虫だよね?
ハツ
どうにかしてやりたいと思う。
ダニやノミを
風呂に入れてあげたい。
体を起こしてモエを探すが、姿が見えない。
海でも行ったか?
キナを見ると、左手で頭をボリボリやっている。
・・・ってかキナの体が動いている。
頭を
急いで、キナの所へ行く。
「キナ、聞こえるかキナ」
目を開けたキナは、
「ん、あれ、なんでみんないるの」
「
今のキナは、顔がボコボコで表情が読めない。
「どうしたのユウジ」
俺に
記憶が飛んだ可能性はあるが、少なくても俺を覚えている。
その事実にホッとした。
「ああ、良かった、目が覚めたか。心配したぞ、体に痛いところはないか?」
「痒いけど、痛くはないか・・・」
キナの顔が
表情は読めないが、キナの
体が
キナの頭をなるべく
「昨日のこと覚えてるか?」
彼女の右手が俺の手を
彼女が自分の右手を見つめている。
「切られたの覚えてないか?」
キナの
表情は相変わらず読めないが、
「
彼女の目が俺を
なるべく優しく見えるように
「大丈夫だ、もう
キナの目からボロボロと、
「
「怖かった」
キナの体を起こし、彼女を
「大丈夫だ、もう大丈夫だからな」
「うん、ユウジが助けてくれたの?」
「いや、俺は間に合わなかった、多分助けたのは神様だ」
「神様?」
神様は、俺とミコだけしか知らない話だったと気がついた。
神様の話をどうしようかと
「ユウジだよ、助けたのはユウジ。
キナの悲鳴が聞こえて、変な男の
キナの体が
少し強めに抱きしめる。
「そしたらユウジが走ってくる音が聞こえて、
それから男の声が聞こえなくなった。
ユウジの声だけ聞こえてた。
ずっと必死にキナの名前呼んでたよ。
キナ、帰ってこい、キナ起きろって、ずっと聞こえてた。
・・・ミコも呼んで
「ミコ?」
「キナがうらやましかった」
「アユも言って
アユがの顔が
「聞こえてた?」
「全部聞いてたよ」
「あんなにいっぱい、たくさん呼んでもらえるキナが、
コケていて分かりにくいけれど、アユの顔が悲しそうに
「いや、お前達も大事だよ? キナじゃなくてもやるよ?」
「ホントに?」
アユの瞳が俺をしっかり
アユの目を見返して、なるべく気持ちが伝わるようにする。
「当たり前だろう、お前達を俺ができる限りなんとかする」
「ユウジここに居てくれる?」
「ああ、心配するな、お前達が出て行けと言うまでここに居る」
「アユたちが怖くない?」
「なんで、こんなにカワイイのに、怖いわけがない」
「アユたち動けないよ」
「お前達が俺を必要としてくれるのなら、それだけで俺は嬉しい」
「もう動けないし、痛いだけだし、死にたかった」
アユが悲しそうな声で言った。
何でもかんでも『生きてさえいれば』と、俺は思わない。
死んでもいいと思っている。
年若くとも、人生に
しかし、この子達はダメだ、せめて少しでも楽しいことをしてからでないと、俺が認めたくない。
楽しいことを経験して、
病気で死ぬのは仕方がないと
「そうだね、キナも、死にたかった」
「キナもか?」
「うん、あの時も怖かったけど、死んでもいいやって思った」
「ダメだよ、俺が悲しいからダメだ」
声が少し
俺の涙声にアユが反応した。
「アユたちが死んだら悲しい? ユウジはまだここに来たばっかりなのに」
「そうだけど、モエに助けられて、ここに来ただけだ。でも、お前らダメだよ、まだ楽しいこと何もやってないだろ、せめて何か楽しいことしないと、あんな・・・死に方じゃ・・・ダメだ」
言っていたら泣けてきた。
完全に涙声になっている、かっこ悪い。
オッサンなにやっている。
必死に涙を止めようとするが
キナが俺を強く
「ありがとう、助けてくれて」
「うん、良かった、帰ってきてくれて本当に良かった」
「帰ってくるって?」
「ああ、キナ死にかけた、神様が助けてくれたらしい」
「
「神様と話したのか」
「うん、神様が教えてくれた」
「そっか、あんなのでも役に立ったか」
「ユウジがやってなかったら、神様がなにをやってもダメだったって」
「そうか」
「私死んでたの?」
「俺がキナの所に
「ユウジがね、ずっと言ってたよ、
キナが照れたように瞳を
「えっと、死んだとか生き返ったとか、神様とか、よくわからないけど、死んだ人って生き返るの?」
「いや、死んだままだ。キナは死んだばっかりというか、死にかけだったというかな」
「死んだばっかりなら生き返るの?」
「いや、色々条件あるんだよ、キナは運が良かっただけで、
「そうなんだ」
「
「ううん、居ない」
「そうか。で、キナ、ホントに体、痛いところないか?」
「うん、大丈夫。痛くない」
「手首は動くか?」
キナが俺から少し
「なんか変な感じする、動かないのかな」
「右の手首切られてたからな」
「また動くようになる?」
「正直わからん、神経が切れているとダメかもしれない」
「そう・・・」
「ただな、神様が
「神様が治療したの?」
「治るって言ってるよ」
「ホントか!」
「うん、治る」
「良かったな、治るって」
「うん、それは
「心配するな、俺もよくわからん」
「むー」
「キナ、お化けみたい」
アユがモエの顔を見てからかう。
「え、そんなに酷い?」
キナが
「あ、みんな目が覚めた?」
「すまんモエ、なんか一人で働かせちゃって」
「大丈夫ですよ、一日くらい、私一人でなんとでもなります」
真面目な顔して、ふんぬーと
「ありがとう」
「それよりお
キナがすかさず反応する。
「おなかすいた!」
「言われたらそうだな、朝食手伝うよ」
キナの
俺はお
材料に米がなかった。
穀物だとは思うけれど、色々な種類の
たしか栄養価は白米より高かったとは思うが、この雑穀がそうなのかは不明だ。
モエが細かく
これと雑穀で
モエに教えてもらいながら準備を終わらせ火にかける。
米を
火も
モエにタイミングを教えてもらいながら強火から中火にしたりと目が
「なあモエ、大きい
「新品ですか?」
「いや、余り物で
「人間が入れるくらいですか・・・、何に使うんですか?」
「風呂だよ」
「? 風呂ならありますよ」
「あるの? お湯のやつ」
「えっとお湯のお風呂ですか?」
「モエの言うお風呂って、
モエと
「はい、それです」
「まあ、悪くはないけどな、蒸し風呂じゃなくてお湯のお風呂だ」
「そんなのあるんですか?」
「あるんだよ、お湯のお風呂。そのお風呂をやるのに、モエが海女漁で使ってるやつ位の桶が欲しい」
「桶ならいっぱい有りますよ。今私しか使ってないですから、お母さんが使ってた奴とか余ってます」
「一つ
「大丈夫ですよ」
食事ができたので、
ハツを起こそうと布団をめくって青ざめた。
俺が
つまんで見てみる。
多分だが、ノミとかダニみたいな寄生虫だ。
つか、なんで俺が寝ていた場所だけ?
・・・もしかして神様のせいなのか?
神様は世界の神様ではなくて、人間の神様なのだろうか?
俺の血を飲むと寄生虫は死んでしまうのだろうか・・・
人間は死なないよね?
最悪、どうしても神様とつながれない場合の最終手段として、血を飲ませる事も考えていたけれど、コレを見るとやめた方が良いような気もする。
とりあえず先に食事にしよう。
俺はキナとミコに、モエは、アユとハツに食べさせる。
「みんなで食べると、
アユが今まで見せなかった笑顔が眩しい。
最初はガリガリで怖いと思っていたけれど、毎日見ていてもう慣れた。
多分アユが美味しいと感じているのは、幸福を感じているからだ。
感情で食事のおいしさは変わる。
「そうだな、今日からみんなで食べよう」
「やった」
「ユウジ、本当に美味しい、なにこれ?」
「うーん、キナは昨日治療したから?」
「治療したら美味しいの?」
「わからん、ミコは治療してから、ご飯が
「うん、美味しくなってる、
食後、キナの手と足を固定するための治具を竹で作ってみた。
布でグルグル巻きにして、手首や足首が動かないように固定する。
「動きにくい」
「いや、動いちゃダメだから、いつまで
神様のおかげか、キナの体も痛みが全て消えたらしい。
痛くないせいで動こうとするキナを、動かないように言いつける方が大変だった。
アユも最初に体を
背中の
神様のことも、自分の体のこともまだ何も分かっていない。
みな知らない男だというのはわかっている。
それ以外の情報がないかの
その結果得られた情報は、この島には、北から人がよく流れ着くという事。
まあ、俺も流れ着いた一人だしね。
それにあの男の言葉と
北に地獄があるらしい。
しかし、この村に流れ着くのは
昨日の男は、この村以外の場所に流れ着いて、そのあと、単独でここまで来た事になる。
村の入り口で見つけた痕跡からして
モエが親から厳しく教えられたことは、
あとは役人に
なぜ役人に引き渡すのか、理由まではわからなかった。
まあ、普通に考えれば外国人の無許可での上陸を放っておくとも思えない。
わからないことはとりあえず横に置いておこう。
とりあえず知らない奴が来たら、知らせる手段を考えることにした。
今まで行き当たりばったりすぎた。
外敵もいるとなると、無計画というわけにもいかない。
頭の中にやることリストを書き出して、優先順位を決める。
今日やるべき事は、畑で
あ、毒貝を忘れていた。
昨日高いところに置いてそのままだった。
死んでないよな?
急いで桶を下ろして
貝は生きていた。
動いている。
モエが隣に来て桶の中を覗き込む。
「毒貝ですね、どうしたんですか?」
「昨日の男、あれに、止め
「村の中に居たんですか?」
もの
「いや、キナの悲鳴聞く前に、コイツが俺を射しやがったんで、確保した」
「
泣きそうな顔で
もの凄く心配されている。
すると後ろからミコの声が聞こえてきた。
「大丈夫、神様が貝の毒が欲しいって言ってる」
「ん? ミコその
「あのね、治療するのに必要なんだって」
「毒ですよ?」
「ああ、モエ、毒ってのは物によっては薬にもなる。問題は量だ、少量なら薬だったり、大量なら毒になったりな」
「神様もそう言ってる、ミコ達の治療に使うって」
「射されればいいのか?」
「うん、そしたら神様がそれで薬を作るって」
「ユウジさんは大丈夫なのでしょうか?」
「ユウジはね神様が守るから大丈夫だよ」
「そうですか・・・安心しました」
モエが本気で
まあ、この毒貝の
「あの、この子の毒、武器に使えませんか?」
「使えるかもだけど、危険じゃないか? チビ達とか」
「そうですね、でもこれから治療でこの子、必要なんですよね」
「そうなるな」
「この子見つけるの大変なんです、海女小屋で飼いましょう」
「
「はい、漁にこの子の毒を使うこともあるので」
一度毒貝に射された後、貝を持ってモエと一緒に海岸へ。
そこで桶の砂と海水を
海女小屋に置いておくと、毎日二回モエが世話をする事になる。
この場所にはモエしか来ない。
まあ、他はまだ歩けもしないけれど。
せっかく海女小屋に来たので、風呂桶候補の桶を見せてもらう。
モエが海に
「母が使っていたものです」
大きさも、
風呂に使うには匂いが気になる。
まあ、そこはあとで考えよう。
桶をもらって、モエと別れる。
とりあえず桶は
匂い取りは、後で考えるとして、まずは畑だ。
取ってくる作物はキナに聞いた。
雑草取りをして、食べる分だけ
それにしても虫食いが酷い。
本当は、畑の虫の
しかし、今はそんなことを言っている
ただ水洗いしただけだと、
あまり良い気分ではない。
熱湯消毒でもしておくか・・・
モエの家でお湯を
ついでに、布団も洗うか。
前にミコ達のベッド用布団は洗ったけれど、
この桶サイズなら布団も洗える。
熱湯だと痛むかもしれないので、ぬるま湯で洗ってみるか。
ならついでなので、みんなの服も洗おう。
隔離所に
その後ミコ、アユ、ハツ、キナの服を変なテンションで
楽しかったらしい。
モエが
まずは風呂桶に熱湯を入れる。
後は熱湯をかき回し、お湯が桶の
しばらく待ってから、お湯が冷めてきた頃に匂いを確認。
暖まったせいか匂いがきつくなった気がする・・・。
ダメなのか?
熱湯で、
お湯の匂いを
このまま洗うと布団も
さてどうする。
悩んでいるとモエがやってきた。
モエに相談すると、村の倉庫から何やら持ってくる。
酒や
匂い消しはモエに任せて、洗い物を先に滝で洗う。
布団を滝壺に入れると、汚れの筋が海に向かって流れていく。
汚れがある程度取れた頃、モエの作業も終わったようだ。
桶の匂いを確認する。
多少生臭いが、気になるほどでもなくなった。
さすがモエ。
その後モエと一緒に
ぬるま湯につけると、お湯がすぐに
まあ汚れが落ちているのがわかるので楽しくはある。
布団と服を洗い終わって、竹で作った物干し
二人でやると、はやり早い。
モエも楽しそうだ。
しかし、竹は本当に便利だ。
三本束ねて縛れば、足になるし、枝を落とすだけで竿になる。
加工も簡単だしね。
風呂桶が完成し、
ここに流れ着いてから、モエの家と隔離所、あとは海だけしか行ったことがない。
なので、とりあえず自分の目で村を確認しておく。
雑草だらけだし、雑草の高さが胸くらいまであるので歩きにくい。
たまに
モエに確認したこところ、毒貝のような毒の強い生き物は陸にはいないそうなので、そこだけは安心しているけれど、
ただ、俺の今の体は、毒を受けても神様が多分なんとかしてくれる。
どの程度までの毒なら大丈夫なのか知りたいところではあるけれど、神様との会話にはミコが間に入るのだ。
教育を受けていないミコに通訳は難しい。
ミコにわかる、かみ
一度試して、ミコがものすごく悲しそうな顔になったので止めた。
今は、神様に俺が主導権を渡せれば、彼女達の治療が可能だという事がわかっている。
それだけで
なので、どの程度の毒まで耐えられるかは、
毒貝の毒を受けたのは、あくまでも
死ぬかも知れない毒を、保証も無しに受けるつもりはない。
まあ、それはともかく、この雑草をどうにかしないと、視界が悪すぎる。
しかし、人手が足りない。
モエは、食糧確保と食事の用意、皆の世話。
俺は皆の痛み止めと、畑仕事。あとは神様と接続を優先する必要がある。
次の
打った足や
これも神様が何かやっているのだろう。
俺が落ちたのは用水路らしい。
モエの家から隔離所に行く際にある用水路で間違いない。
雑草のせいで、流れが悪くなっている。
ぬかるんでいるので、せっかくモエが作ってくれた
このぬかるみもどうにかしないとな。
大雨が降った際の
水路を上っていくと、雑草に覆い
たぶん石垣の上は段々畑だろう。
水路から出て、水路の横にある雑草に
水路の
こちらも雑草が多すぎてよくわからない。
だが、畑の草はほぼ一種類だけで、綺麗な黄色の花を咲かせていた。
菜の花みたいだ。
坂を登り切ったところには小屋も建っていた。
中には農具が納められている。
まあ、中もツタだらけなので、使うとなると手入れが必要だろう。
さらに上ると川があった。
モエの家の近くにある滝と
用水路の取水口には、大きな石がはまり
大雨でも降って、転がってきた石が
一人で動かせるような石ではないので、これも後回しだな。
上から
雑草が多すぎてよくはわからないけれど、村の真ん中を水路が流れている。
俺から見て右側、つまりはモエの家側に民家が集中している。
川と水路に
俺から見て左側、水路を
何か意味があるのか聞いてみる必要があるな。
その他、
キナを
その隣に
その先は森と山。
村の家々の先にはかなり広い草むらがあり、防風林、砂浜、海と続いている。
海は
いわゆる
この村は整地されているようで、家が建っている土地は全て平らにならされている。
すべて平らな土地にのみ家が建てられている。
さて、防衛をどうするか・・・。
村の出入り口に門は無い。
海側は、
モエの家が一番防衛に向いている。
身長より高い
モエと一度話し合おう。
現時点では、隔離所の
あとは早めに雑草処理かな。雑草の背が高すぎて、
しかし、この広さの村全ての雑草を処理するとなると、今の村人全員がまともに動けたとしても何日かかるか想像もつかない。
隔離所に戻るとモエがいた。
モエに、夜は戸締まりをするように言いつける。
なんでも、今まで一度も戸締まりをしたことがないそうだ。
どうも、ここは一昔前の日本みたいなところらしい。
先日のこともあるので、モエも理解してくれた。
出入り口は引き戸で、横にスライドするタイプだ。
つっかえ棒で戸が動かないようにする。
モエとの連絡手段をどうしようか話し合った。
漁師は指笛で連絡を取り合うそうだ。
モエも指笛が使えた。
俺も教えてもらったが、まったく音が出なかった。
早いうちに、竹細工で笛を作ろう。
モエが海で知らない船や人を見かけたら指笛を鳴らしてもらう事になった。
あとは疑問に思ったことを聞いてみる。
この中で一番の物知りがモエである。
しかし、そのモエも、こんな
それもで、全く何もわからない俺よりマシなのだ。
村の真ん中に水路が通っていて、滝側は民家だというのは見てわかった。
村の入り口側であり、隔離所の建っているここは、いわゆる倉庫街なのだそうだ。
元々、この隔離所も倉庫の一つだったらしい。
そう言われて納得した。
隔離所の作りは特殊なので、どうやって改造したのだろうとは思っていたのだ。
建物の中の2/3は土間になっていて、1/3は畳部屋が三部屋。
まあ襖が全て外されているので、大きな部屋が一つあるようにしか見えないけれど。
隔離所の隣に民家があるのは、この隔離所で病人を世話する人達用に立てられたのだそうだ。
確かに、隣の家だけ小さい。
大きな建物である倉庫の種類は、
その隣には、村の食糧を収める食糧倉庫がある。
隔離所の食糧はこの倉庫から持ち出されているようだ。
油に、酒や
次に大きな倉庫は農具倉庫。
村全体で使うが、
漁に使う道具を収めた倉庫もあるそうだ。
あとは村の持ち物を収める倉庫。
それに村長の家は倉庫街に建っていた。
今日一日で、かなり村のことがわかってきた。
俺が欲しかった工作道具なども、村の倉庫を探すと出てきたけれど、武器は見つからなかった。
武器に転用可能な農具や漁具はあるけれどね。
死神の絵に出てくる、あの凶悪そうな鎌である。
モエに使い方を教えてもらう。
なるほど、これがあれば雑草処理が少し早くなりそうだ。
村をある程度把握するだけでかなり時間を使ってしまった。
治療も進めないとね。
隔離所でモエと二人でお湯を沸かす。
手足がまともに動かないので、俺が支えている。
ミコの顔が
不安そうな顔から、驚いた顔になって、今はフニャけている。
「ミコ、どうだ? 気持ちいいか?」
「ユウジすごい」
「そうだろう、そうだろう、体洗うから大人しくしてろよ」
「わかった」
ミコの体を
なんか手の平でなでているだけなんだが、こう、ねちょっとしたものがズルッと取れる感じがする。
足首より下の部分が特に
少し引いてしまうくらい汚れが取れる。
最後に頭をお湯に
口や鼻がお湯に
指先の異物感がすごい。
こうネチャッとしていてブツブツがあるというか、
つまりは
頭をお湯につけたまま、指先の
お湯の中では息ができないのか、ノミが風呂桶の底に
つか、お湯がスゲー色になっている。
桶の底を
最後に頭や体全体をなで回し、指先に異常がないか確かめてみたが大丈夫なようである。
いっちょ上がり。
次! とか思ってみたが・・・、お湯真っ黒。
お湯の残量と、お風呂に入れる人数を考える。
全員お湯を
一度チビ達を洗い終わった後、お湯を入れ替えてすすぎしながら暖まる。
よし、それにしよう。
お湯を足しながら、次々に洗う。
ハツやアユは治療をしていないので、体温とほぼ同じ温度のお湯にする。
ハツは首が
ってか目がおかしい。
最初に見た時より
右目と左目が違うところを見ている。
手首や指も変な向きで固まっている。
病気が進行しているのか?
「なあ、ハツの目ってこんなに寄ってたっけ?」
「いえ、ここまで酷くはなかったですね」
「手首の曲がりは」
「なんか変になってますね」
あー、うー言っている声はイヤそうには聞こえない。
体を洗うが、ミコとは
ミコも
頭を洗うと髪が
ゆっくりお湯に
神様の治療をやったミコの肌の方が
まあいい、次はアユだ。
チビ3人洗い終わったところで、お湯を捨て、新たに水を張り、お湯を入れて丁度良い温度にする。
モエに手伝ってもらってアユ、ハツ、ミコを同時に入れる。
少しずつお湯を足しながらゆっくりお湯に
「どうだ、気持ちいいか?」
「これ好き」
「そうか、お風呂って言うんだぞ」
「お風呂すき」
「これからもタマにやるからな」
「やた、ユウジ来てから楽しいこと一杯」
ミコには好評だが、アユはイヤそうだ。
「アユは
「ドキドキして苦しいからイヤ」
脈を確認してみると、確かに少し早い。
病人を風呂に入れたらダメのようだ。
3人を風呂から出して、モエとキナが風呂に入っている間に、布団を
布団を敷いて、
熱で多少は
竹から蒸発する水分で逆に
まあ、
お風呂が終わり、片付けを終わらせて飯の準備だ。
みんなでご飯を食べると、ミコが
体がポカポカで、気持ちいいらしい。
頭や体もかゆくなくて、スッキリしているそうだ。
まあ、あの洗った後のお湯を見ればそらそうだろう。
そしてみんなで寝る。
まだ布団は湿気ってはいたが、お湯入りの竹筒を入れていたせいで、熱いくらいにホッカホカだ。
少し冷まして布団に入る。
昼間の気温は多分20度前後だが、日が落ちると一気に気温が落ちてくる。
今は多分15度を切っている。
朝方はたまに10度以下の時があると思う。
ホカホカの布団が気持ちいい。
俺はハツを抱いて寝る。
「ハツ」
ハツは俺を見るが、やはり目がおかしい。
早めに治療をした方が良いかもしれない。
改めてハツを抱きしめて、ハツの頭に鼻を当てる。
うん、昨日と
髪もねっちょりしていない。
うむ、風呂に入れて良かった。
「ユウジ、痛い」
アユが痛みを
「大丈夫か、お腹に手を置くか?」
「うん」
せっかく洗ったし、どうせなら実験しよう。
アユとハツの服を
ってか、下着欲しいな。
まあ、ない物はしかたがない。
それに、
右手にアユを、左手にハツを抱いてみる。
位置を調整して、二人を俺の両脇に入れる。
まあ、分かっていたけれど、抱き
つか、骨が
「アユ、痛くないか?」
「ん、痛いのが遠くに行った」
こんなもので痛みが少しでも引いてくれるのなら、安いものだ。
早くこの子達を治療しないと。
二人を両脇に抱いたまま
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