第3話 襲撃
星空を観察したことで、ここが地球では無いことが判明した。
日本での最後の
人間関係に
人には
その人が善か、悪かという話ではない。
全く共感できない人が存在するのだ。
そして相性が悪い人間同士が同じ空間にいる場合、直接言葉を
蓄積されたストレスは、精神にも、体にも
適当に受け流し、適度にストレスをコントロールする人もいれば、真正面から受け止めてストレスをため続ける人も居る。
俺は色々な経験をして、ストレスを適当に受け流す術も身についているつもりだ。
何度も絶望を味わい、そのたびにボロボロになりながら
絶望的な
それは、家族だったり、友人だったり、仕事の仲間だったり。
支えてくれる人間がいてこそ、
しかし、何事にも限度がある。
ダムは無限に水をため
放水以上の水が
体に異常が出始めていた。
普通のストレスなら人事異動までの2年で決壊することはない。
しかし、今回は
ストレスの原因は
こうなると、正当なクレーレームを処理する、管理職の俺が受けるストレスは倍々に増えていく。
このままではまともに仕事場が回らないと、本社を
アレはそういうモノだと、昔からそうだったと、
だいたい、アレの
アレの退職まであと2年、それまで
わずか3
半年で体に異常が出始めた。
良くない兆候だった。
とにかく
好きなことを全力でやったり、仲間内で
人それぞれ、その人にあったやり方がある。
俺の場合は、
ただ、
星空は、条件さえよければどこでも見られる。
何時間でも構わない。
日が
星を見ている間は癒やしの時間だ。
ただ、星を
お気に入りの折りたたみビーチベッドに
地球の自転に合わせ、星空はその姿をゆっくり変化させる。
それを眺めているだけで、現実からの
そしてそれを初めて見た。
火球だ。
興奮した。
火球は
そう思って、3回願を
「ここではないどこかへ行きたい」
俺の記憶はそこまでだ。
その後は
あまりの不潔さに地獄を
地球から
どうやって地獄に
感覚的には
自分で願ったことではあるけれど、地球から逃げ出したかった訳ではない。
会社を
実際転勤前は楽しくやっていたのだ。
全ては転勤後の人間関係が起因している。
ならば仕事を
まあ、身内に
では、人間関係が清算されたとして、日本に
日本に
未練が全くないわけではないのだ。
親は心配だが、
友人にしても、この
数年に一度顔を合わせて、元気な姿を
身を
というよりも、自ら遠ざかった。
なぜなら、俺が身を焦がす何かに手を出すと、大体犯罪となるからだ。
俺が身を焦がすのは、思春期の
なら、この世界はどうだろう。
少女達が気になっている。
死にかけの少女が3名に、もうすぐ歩けなくなる少女が1名、あとは目の前で海に
全員何かの病気持ち。
そして、俺は、昔から困っている思春期の女の子を放っておけない。
おっさんが困っていても、おばさんが困っていても心が
困っていれば手を
なぜか昔から、思春期の娘限定でなんとかしてあげたいと思うのだ。
心の
多分俺は少女に
昔、夢に見た少女に取り付かれている。
あの時からだ。
俺が思春期の間だけ、何度も何度も夢の中に現れた
夢の中の俺は弱かった。
あの時の絶望感は
その
だから心が
あの時から、困っている娘を見ると、
助けたいと焦がれるのだ。
だから昔、思春期の娘達に手を出しまくった。
日本で見つけた少女達は、心が
自分を理解してくれないと
救いを求め、自ら死を選ぶ少女達。
助けることができず、その後は負け犬の人生だ。
親とはぐれた
親猫とはぐれ、切なく泣き続ける
しかし、保護した猫は大きくなると家を出て行った。
負け犬になってからは、見ない
関わり合いになろうとしなければ、困っている思春期の娘と知り合う機会などない。
だからある意味、
しかしこの村で、困っている思春期の娘に出会ってしまった。
助けてとは言われていない。
俺が勝手に関わり合いになりたいと思っている。
親猫が死んで、残ったのは子猫だけ。
切ない声で鳴いている。
この娘達をどうにかしてやりたい、フクフクにして
ああ、やはり俺は、壊れている。
だが彼女たちに手を
彼女たちが病気で死ぬのはイヤだが、病気なら仕方がないと
死ぬまでの間、彼女たちの心に平穏を少しでも
その後自分も病にかかり、苦しみながら死んでいくことにもなるだろう。
俺には生に対する
最初ミコを見た時に病気になりたくないとは思った。
けれど、ここ数日、彼女達と
みんな
ただ、本当に神様がいて、彼女たちの命を助けることができると仮定した場合、問題が発生する。
病気を治せば手を
それは、日本で散々思い知った。
女の子の心を
人間はコミュニティーの中で生きている。
個をどうにかできたとしても、問題が共同体にある場合、共同体をどうにかしないと問題が解決したことにはならない。
現在のこの村の状況だ。
彼女達だけで生きていける環境が整うまで、手助けする
『この猫飼っていい?』と言えた子供時代がなつかしい。
というか、昔、そんな意識のまま人助けをしようとして、失敗したのだ。
死にかけの娘を助けて終わりではないのだ。
困っている娘を助けたい。
そんなことを考えた、昔の自分も
他人を助けるなど、思い上がりもはなはだしい。
その人本人が勝手に助かっているだけであって、他人はそれに力を貸すだけだ。
俺が助けるのではない。彼女達が這い上がるのを手伝って、彼女達がそれを自覚するしか方法がない。
わかってはいるのだ。
けれど、また同じ
彼女たちの側にいたい。
彼女たちを少しでも
そう思っても、最後の一歩が
昔の
また同じ過ちを繰り返して、取り返しの付かないことになるのが怖いのだ。
覚悟が決まらないまま、
情けないことに、ここに来て7日、いままで一度も食料調達の手伝いを行っていない。
モエやキナの負担を減らすとか思いながら、俺の分の食料が増えたため逆に負担を増やしている。
しかも一番の大食いが俺だ。
彼女たちと同じ食事量にしようとしてみたが、俺の腹は貪欲に食欲を満たそうとしている。
だから、せめて手伝いをさせてほしくて、申し出た。
自分の
今までやらなかったのは、自分のことで
神様へ体の主導権を移すために色々試しているが、未だに一度も成功していない。
ただ、彼女たちの痛みを低減する事には成功している。
やることはやっているつもりだが、成果がショボいのだ。
今の状態はまさにヒモ。
それに一日中、
彼女達を手助けしたいと思いながら、ウジウジと
ストレスを発散する必要があるが、体の痛みを
だから
しかし、手作業の農業しかり、
承知の上で実家で多少経験のある畑仕事を手伝おうとしたら、キナに一人で
あの必死さには何かがある。
ただ、
事情がわからない今は、やりたいようにやらせた方がいい。
その後、モエに手伝いを申し出た。
しかし
なにをやっているのだ、元管理職。
そんなものは今までの経験で十分にわかることだろうと、自分にツッコミを入れたくなる。
モエはイヤな顔一つせず、
いい子である。
そんなことを考えていると
後ろを確認するとモエから教えてもらった毒貝の
とりあえずその貝を確保してみる。
デカいジャガイモみたいだ。
放置すると危ないので、その貝を移動させなければいけない。
確保の仕方も教わっている。
なるべく
どうしても素手で触らないといけない場合の、注意事項も教わっている。
毒針は頭の方にしか発射できないので、お
ヤバい、手の平を刺された。
頭とお尻を
刺された
刺されて
そして最悪死亡すると。
しかし、歩いても
モエを呼ぼうかと考えたが、心配させるのも気が引ける。
それに神様が何かやっているのかもしれない。
しかし体に異常が出て、助けを呼ぼうと思ったときに声が出なくなっていたら、目も当てられない。
浜を歩きながら
とりあえず村の方へ走ってみる。
同時に男のモノと思われる
走るスピードを上げる。
今の時間、キナが居るのは畑だ。
畑を目指して全力で走る。
雑草が
畑を目視したところで、キナの上に
俺のぼやけた目ではよくは見えないが、
走る速度をさらに上げる。
男が
その瞬間キレた。
キナの上に乗っている男めがけて全力で走る。
俺が夢に見た架空の少女を助けるために、どれだけ長い間体を
実在しない夢の中の彼女を助けるために、中二病を
夢の中では、水の中にでも居るように体が重く、体は動かなかった。
体を
一瞬弱気になったが、全速力の勢いのまま、男の顔に
骨同士がぶつかるイヤな音がして男が
俺の膝に
夢の中と
しかし筋力をつけただけで、
いかん、少し冷静になれ。
すぐさま起き上がり、
何度か
それよりキナ!
キナに近寄り、手に
こんな貝を持って、キナに
辺りを見回し、動かない男めがけて投げつけた。
「キナ大丈夫か?」
ぐったりしているキナをゆさぶるが、反応が無い。
右手や左足が血に
顔には
「キナ、おいキナ返事しろ」
呼びかけ、呼吸を確認してみるが、していないように見える。
胸に手を置くが上下していない。
急いで胸に耳を当てるが心音が聞こえない。
「死んでる?」
さっきだ、ここに走ってくるときに悲鳴が聞こえた。
まだ一分も
直ぐに心臓マッサージを始める。
心の中にどす黒い何かが首をもたげてくる。
ダメだ、出てくるな、お前が出てくると俺は動けなくなる。
必死で黒い物を心の中に
今は動け。
不安を
「キナ、死ぬなキナ、戻ってこい」
心臓マッサージと人工呼吸を続ける。
みんな
最新の講習では、素人が人工呼吸をやっても役に立たないので、心臓マッサージだけやってくださいとは言われていたが、心臓マッサージだけだと息が上がる。
しかもあの講習は、AEDが手元にあるのが前提である。
ここには
心臓マッサージだけで息を
考えるな、体を動かせ。
心臓マッサージは1分100回程度のスピード。
血液が止まり、酸素を全身に送れなくなる事が死に
つまり、血液と酸素が十分に供給され続けている限り延命できる。
「キナ、帰ってこいキナ」
必死で心臓マッサージと人工呼吸を続ける。
このままで良いのか?
何か無いのか?
キナが死ぬと俺が
「キナ、死ぬな、戻ってこい」
考えろ、何か無いか。
神様は?
でもそんな状況じゃ
キナが死んだ後、やっておけば良かったと後悔するのか?
お前はまた後悔したいのか?
弱気になるな、助けるぞ。
絶対助ける。
「キナ、死ぬな、キナ帰ってこい」
声を出して、弱気を吹き飛ばす。
よし、やる。
『おい神様出番だ』
頭の中で神様に呼びかけてみたが、応答はない。
「神様、
声に出しても神様は光らなかった。
これだけ必死になってもダメらしい。
頭の中がグチャグチャすぎるのだ。
冷静になれ。
心臓マッサージをしながら
難しい事ではない。
落ち着け。
・・・
ダメだ、心臓バクバクでそれどころではない。
頭の中はキナが死んでしまうで
「キナ、おいキナ、返事しろ、また胸とお
「キナ、目を覚ませ、お前がして
「キナ、おきろ、キナ、目を覚ませ」
必死に呼びかけた。
「キナ、死ぬなキナ」
どれくらい呼びかけたのか分からない。
「キナ、生きろキナ」
心臓マッサージが終わったら、必死に呼んだ。
「キナ!」
人工呼吸が終わったら
「キナ、キナ、キナ!」
キナの名前を必死に叫んだ。
「キナッ!」
黒いモノが俺の内側からあふれ出してくる。
これに飲まれたら俺は動けなくなる。
心が動かなくなる。
あそこから
アレをもう二度と味わいたくない。
あの
だけれど、黒い物に
俺の視界が黒く
体の感覚がものすごく
俺の思考もこれで消える。
そう思った瞬間、視界が戻った。
思考がクリアだ。
目の前にキナが見える。
キナの状況を確認する。
キナの心臓は止まったままだ。
心臓マッサージを再開する。
さっきのはなんだ?
黒いのに飲まれたはずだ。
俺の心は動かなくなっているはずだった。
なのに、黒いモノが少し遠くに行った感じがある。
そんなことより、今はキナだ。
「キナ、頑張れキナ、戻ってこいキナ」
心臓マッサージで、俺の
これ以上長引くとヤバい。
「キナ、起きろ、戻ってこい、キナ、聞こえてるかキナ!」
その時、俺の腕を
急いでキナの胸に耳を当ててみる。
心音が聞こえる。
呼吸も確認する。
息をしている。
戻ってきた。
「よく
キナの横に大の字で
だいぶ体力を持って行かれた。
目を開けていた。
急いで飛び起き、男に
呼吸が
腕を動かそうとしているが動いていない。
男の上にはあの貝が動いていた。
刺されたのか?
しばらく様子を見ていたら男が動かなくなった。
貝を確保し、海に帰すことにする。
この
それに、キナを殺した男にトドメを
貝を
しかし、死ぬ前にキナを殺した男を
ただの自己満足だ。
動かない男を確認するが、脈はない。
キナの
両方手に取ってみてみる。
鉈の方は手入れもせず使っていたのか、サビと
草の
包丁の方も似たようなものだが、新しい
そう言えばキナは
キナの体を確認すると、左足の足首からふくらはぎが血に濡れている。
半乾きの血がこびりついている。
どこを切られたのか調べると、アキレス
右手も血まみれだった。
右手首も深く切られている。
サビが酷く刃こぼれしている刃物で切ったせいで傷口が
せめて傷口だけでも洗わないと。
井戸から水を
血を
このままだと違う病気になりそうだ。
不思議なことに傷口を
背中に冷たい
急いでキナの心音を確認するがちゃんと動いている。
どういうことだ?
そう言えば先ほどの感覚、ミコの時に似ていた。
もしかして、神様に
まあいい、キナが少し冷たい。
血を流しすぎたのか、心臓が止まったせいなのかは分からないが、急いで暖める必要がある。
全身洗ってやりたいが、余計体を冷やす。
今は暖める方が先だ。
背中に付いた
キナは冷たくて軽かった。
こんな体で、毎日畑仕事をやっていたのかと思うと、心が痛む。
感傷に
ミコの
多分アレの前兆だ。
ミコの寄生虫を処理した火葬場に、キナを
辿り着いた瞬間、ものすごい量の寄生虫が出てきた。
キナを
辺りにあった
危なかった。
あのまま隔離所の
これで確信が持てた。
黒いモノに飲まれた瞬間、多分俺の体は神様に主導権を
今は、神様の治療後は、寄生虫を処理するまで気を
キナを抱えて冷えないようにして、火が消えるまで見届け、隔離所に戻って、キナを布団に
キナの顔が酷い。
くそ、あの男、生きているうちに殴りたかった。せめて、キナと同等の痛みを
「ユウジ
ミコの声が聞こえて、我に返る。
どうやら怖い顔をしていたようだ。
一度深呼吸して、なるべく
「
なるべく
ミコの
ミコの軽さはキナの比ではなかった。
軽すぎる。
泣きそうになるのをぐっとこらえて声を出す。
「キナを暖めないといけないから、俺と一緒に暖めてくれるか?」
何のことか分からない。という顔をしているミコを、キナの横に寝かせて布団を
「キナ冷たいよ」
ミコはまだ、自分で体を自由に動かせない。
手だけをゆっくり動かして、キナの腕に
「そうだ、だから暖めないといけない、俺はこっちで暖めるから、ミコはそっちからキナを暖めてくれ」
「わかった、キナ暖める」
「よし、じゃあ一緒に暖めよう」
服を
キナは冷たい。
でも、
胸に耳を当てて心音を確認する。
心音を聞くとなぜに安らいだ気持ちになるのだろう。
色々グチャグチャだった感情が、
そのまま
「ユウジさん、大変ですユウジさん」
モエの
多分アレだ、キナを
「畑の男か」
「はい、そうです」
「モエは俺と交代、
「え?」
「アレは俺が片付けてくる」
布団に入れたときに比べれば、キナは温かくなっている。
でも、まだ少し冷たい。
密着しているのでキナが生きているのが分かる。
「えっと」
「キナだいぶ温かくなったけど、まだもう少し暖めた方が良い、
裸で布団から出るとモエが
服を着ながらミコにお願いする。
「ミコ、もう少しお願いできるか?」
「うん大丈夫、
「よし、良い子だ、任せた」
ミコの頭を
しかし
この
この男の容姿、匂い、そしてキナを
全て思い出した。
日本最後の記憶は、流れ星に「ここでは無いどこかに行きたい」と願ったまでだ。
次の瞬間、俺がいたのは地獄だった。
この村より、建物の質がものすごく悪い場所だった。
そこら中に
地面は
その時はまだ日本にいたときの俺の体だった。
下を見たとき自分の腹が出ていたのを覚えている。
それから走った。
その場所から、死人の山から、足の裏から伝わる気持ち悪さから、
途中、何度も追いかけられた。
知らない言葉で
その全てから
どれくらい走ったか記憶が
そして海を見つけた。
海も
海岸は
海が
海が綺麗になっても、海岸が見えなくなっても強烈な悪臭は消えなかった。
自分が汚物まみれだった。
そう、悪臭の原因は自分自身にこびりついた汚物だ。
海に
海の中で
そして
その後、モエに拾われたのだろう。
コイツの匂いは本当に不快だ。
地獄を思い出してしまう。
一応男を観察しておく。
身長は150 cmほど、
たぶんこの島の病気と同じ病気を持っている。
耳が少し
顔立ちも角張っていて特徴があるが、それ以外は人間と変わらないような気がする。
この島の男の顔を見たことがないので、顔立ちの
けれど、モエ達と比べるとかなりの違いはある。
死んだ男を引きずって、村の入り口まで運ぶ。
ここには大きな
病気が
俺は男を
村の入り口から、少し奥へ進む。
あの男の
雑草を鉈でかき分けながら来たのであろう
俺たちは、村の入り口から先に行くことはない。
あの男が侵入してきた跡で
一応念のために海も確認しておいた。
キナを襲った
一人だけだと決めつけるのは危ない。
ついでなので海で体と服を洗い、
自分が手を下していないせいか、それともキナの事で衝撃を受けすぎてそれどころではないのか、何の
キナが死にそうなときにはあれほど取り乱したというのに、俺はやはり壊れているのだろうな。
途中で毒貝の事を思い出した。
海に
畑に戻り、毒貝入りの桶を回収して海に行く。
桶に砂と海水を入れて隔離所に戻った。
モエも手が届かない高い場所に、毒貝入りの桶を置く。
周りの身長が低いと、こういうのは助かるな。
時代劇を思い出し、適当な木の棒をつっかえ棒として戸に入れて戸締まりを確認してから、キナの様子をうかがう。
まだ目を覚ましていない。
呼吸は規則正しい。
横ではモエがキナに抱きついて寝ている。
温かいと
モエの顔を眺めてみると、起きているときより
起きているときは気を張っているのかもしれない。
まだ14だ。
俺が14の
モエはこの子達のため海に
もう少し自由な時間を作ってあげたいと思う。
キナの
おかげで表情が読めない。
ミコはガリガリ過ぎてミイラのようである。
アユとハツの顔を見ようと二人が
「今日はこっちで
「いいの?」
「ああ、いいぞ、みんなで
「やた」
ミコの
アユも軽すぎる。
「温かい」
「そうだろう、みんなで寝ような」
「うん」
次にハツを
この子達を抱きかかえるたびに暗くなりそうな顔を必死にこらえる。
ハツとアユの間に
ハツと目が合った。
ハツもガリガリでミイラだ。
ハッキリ言って怖い。
ハツの頭を
怖い顔なのだが、なんか
ハツを
「あー」
「ハツは
「うー」
ハツの笑顔を見て決めた。
俺にできる限りの事をやろう。
助けるという
ハツが数日後に死ぬとしても、彼女が少しでも笑ってくれるなら力を
温かくなるように横から抱きしめる。
「アユも」
彼女たちは自分の力で動けない。
二人を
「痛いの遠くに行った」
「そうか、
「うん、ユウジいい匂い」
「そうか?」
二人は臭い。
洗ってやりたいな。
でも痛がるかな。
治療すれば大丈夫かな。
お
考えてるうちに俺も
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