第33話 暑

 朝は嫌い。

 朝は絶望だった。起きたくなかった。頭から離れないものがぐるぐる渦巻いて、それのせいで体を起こすという簡単な動作すらできなくなる。できない。強制されないから、誰も責めないから、だからこのままでいいのかもしれないって勘違いしそうになる。許されないのに。甘えるな、とどこかで自分を罰する声がする。許されないのか。こんなに逃げたいのに。

 朝は絶望だった。涙が頬を伝っても、誰も助けてくれない。


 時間が足りない。一日二十四時間しかないのはどうしてだろう。

 こういうときに拒食症は力を発揮する。要するに、食事時間を削ればいい。体は空腹を訴えてこないし、何よりも食事に割く時間すら惜しいのだ。ゼリーだけで生活できるならそれでいいと言ったら笑われたものだが、割と本気で今もそう思っている。とにかく時間がないのだ。

 紙媒体での日記を書く時間が取れなくて、二週間くらい更新できないでいた。それでもこの雑文だけは書き続けられている。タイピングが速いのは数少ない自分の長所の一つで、こういうときにありがたいと思う。


 自由になったら、やりたいことがたくさんある。

 叶えられそうなこと、叶えられなさそうなことが半分ずつくらい。いつか、誰かと話せたらいいな。なんて思いつつ。

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