第27話 声
きっと私は今の時点でこうなのだから、一年後も二年後も私自身は大きく変わることはないだろう、と二年前の自分は言っていたようだ。そしてそれはきっと間違っていない。少なくとも、私の価値観が大きく揺らぐことはなかったし、劇的変化もないように思われる。それは、新しい環境に積極的に身を置くようなことをしなかったからだろう。
人間は変わる生き物で、それが当たり前なのだから仕方のないことなのだろう。私が、何も変わっていないのが変なのだ。
隠し通せば勝ちだと思った。だから私は最後まで本音を言わなかった。譲歩することもなかった。理性の勝利、私の一人勝ちだ。
いつか全て暴かれるだろう。
いつか全て見抜かれるだろう。
今じゃなければなんでもいい。
チョコレートは肌に悪いことを学んだ。野菜ジュースがそろそろなくなる。また栄養バランスを考えないといけない朝が来る。
ノートが増える。記録は好きだ。デジタル化が進むこの時代でも紙媒体のコンテンツは消えないでほしいと思う。日記はいつか全部捨てなければならないだろうか。過去の自分の文章ほどおぞましいものはない。ボタンひとつで消える代物でもない。だから扱いに困る。
誰にも読まれない文章を書いている。
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