第24話 微

 生きるのが下手くそだった。ごめんなさい、と常に誰かに謝っている気がする。他の人ならもっと上手くできたはずのことだったのに、私だけができなくて、でも誰も教えてくれなかったから、だから、今も苦しいんだろうね。


 足先が冷たいと何も考えられなくなる。寒さは最大の敵だった。何も改善されない。どうすればいい。わからない。ここには誰もいない。


 誰にも会わずにまた一週間が過ぎていく。特になんの疑問も湧かなくなった。普通に生きることがもうできない。誰にも会えない。誰も会いたいと言ってくれない。軌道修正のタイミングはいくらでもあったはずなのに、逃し続けた故に今がある。だからこれが私の普通になる。普通になってしまえば、だんだん寂しいとかいう感情も消えてくれるだろう。こんな感情忘れたままでいい。人に会える精神状態ではないのだから。


 そしてぬいぐるみたちが私を見つめていた。


 生活が悪化している。明らかに生活水準が低くなっていた。台所を月単位で使っていない。早起きができなくてゴミ出しができない。部屋は相変わらず散らかったまま。目の前のパソコンが動けばいいのだとか、そんな呑気なことを考えつつ、今日も怠惰に身を委ねて一日が終わるだろう。笑ってくれよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る