第二部「星の船」

プロローグ(1)餓えた獣が突進する

 そのものは、怒りに震え、咆哮した。

 

 自分をこのような目にあわせた、あの、こざかしい小さきものども。

 今も、腕に食いこみ、苦痛を送りこんでくるこの赤い異物。


 あの世界はどこだ?

 この苦痛をもたらしたあの世界。

 豊潤な食物に満ちたあの世界。


 いったんは扉が開いた。そして、獲物の匂いを嗅いだ。

 そのものは、決して諦めることはない。


 どこだ?

 どこだ?

 どこだ?


 やがて、そのものは、何かに気づいた。

 歓喜の咆吼をあげ、目指して、猛烈な速度で突進していった……

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