<『司るもの』より>

 世界は、渦である。


 常に流れ、変化し続ける、複雑な渦である。


 ひとつひとつの生命もまた、世界という大きな渦の中で、回り、変わり続ける小さな渦である。




 完全な均衡バランスはない。


 不均衡アンバランスがあるからこそ、渦は回り続け、世界は存続する。


 言い換えれば、不均衡こそが均衡である。


 したがって、「アンバランサー」はすなわち、「バランサー」である。


 アンバランサーこそが、世界を存続させる、均衡の渦である。




 アンバランサー・ユウ。


 君は、よくやった。


 しかし、変わり続けることが本質である以上、固定された未来はない。


 君の選んだこの世界も、つねに変わり続ける。




 君は、やがて知るだろう。


 この世界に残ることを自ら選んだ君のなすべき使命が、たった一つだけではないことを。


 君は、再び、アンバランサーとして、その力をふるうことになるだろう。


 そして、世界もまた、君とともに変わっていくことを知るだろう。




 だが、今は、君が、仲間とともにひとつの使命を果たしたことを祝福し、つかのまの休息を。


 アンバランサー・ユウよ。


 これからも、こころの赴くままに、どこまでも進みたまえ……。

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