第3話

 僕達の前に現れた大きな長い坂道。

ここを登りきると駄菓子屋さんがある。


「ちーちゃん隊長

かき氷を冒険の前に食べようよ」


「ゆうくん隊員行こう!」


そして僕達の第一の目標地点は駄菓子屋さんに決定した。

2人のお小遣いを合計して110円

かき氷が一つ買える

僕とちーちゃんはレモン味のかき氷が好きだ、2人で1つでも十分味わえる。


そして駄菓子屋さんを目指すと坂道の少し先に水溜りが見えた。


ちーちゃんは「昨日雨なんて降った?」

それにこんな炎天下なのに水溜り?

不思議そうに僕とちーちゃんは目を丸くして見つめ合う。


なんだろう、とその不思議な水溜りを目指すと僕達の歩幅に合わせて水溜りも先に進む。

「何これ何これ!」

2人とも追いつかない水溜りに夢中になり僕はちーちゃんの手を引っ張り、水溜りを捕まえようと走った。


一気に坂道を登り切ると

水溜まりは無くなっていた。


僕とちーちゃんは息を切らしながら


「おもしろーい!どこいっちゃったの」


顔を見合わせて笑い合った。

すると駄菓子屋さんのおばさんが出てきて


「ゆうくんとちーちゃんそんなに笑ってどうしたの?」


クスりと笑みを見せ僕達に問いかける


「あのね、水溜りがあったのに追いかけても追いつけないし、どっかいっちゃったんだよ」


おばさんはまたまたクスりと笑うと

「それはね、蜃気楼って言って

あつーい日に出てきてくれるのよ」


僕達はそーなんだときゃっきゃとはしゃぐ。


「暑いから中入りなさい」


「うん!あ、おばちゃん、かき氷レモン味で1つちょーだい!」


「はいはい、大盛りにしとくわね」


僕とちーちゃんはやったとガッツポーズをする。

「ちーちゃん、かき氷食べたらまたしんきろう探しに行かない?」

「うん!行く!」


僕とちーちゃんは風鈴の音を聞きながら

スルりとドアから入ってくる風を浴び

次の冒険を楽しみにレモン味のかき氷を口に運んだ。







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