痛みの日

「チッ、仕留め損なった………って、ん?」


「おい!まだか?殺してないだろうな?そいつには起きたら楽しませて貰わなきゃいけねぇんだからよ」


「いや、こいつぁ………へへへ、ツイてるぜぇ!あん時ボコボコにされたガキも見つかったぜぇ!」


「おいマジか!ヤベェぞ!またやられる!」


「いや、このガキ、女を庇って俺に殴られて気絶してやがる!」


「なんだそれ!最高じゃねぇか!おい!アジトにどっちも連れてくぞ!」


「だな!…………という訳で、とっとと気絶して…………」


 い………


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 ボゴォ!


「ぐぼぉ!」


「唐太くん!唐太くん!唐太くん!唐太くん!」


 ヌルっ


「えっ?」


「おい!なにしてんだ!さっきの叫び声で近隣の住民共に気づかれたかもしんねぇんだぞ!とっととズラか…………チッ!気絶してやがる」


 血が………血が!


「はっ……早く……救急車を………」


「どけ!ガキ!」


 バキッ!


「ガッ………!」


「さすがに3人は一気に運べねぇ……仕方ねぇ、こっちの気絶してんのだけ回収するか。おい、ガキ」


「ひっ………」


「そのまま怯えてろ、いいか?誰にも言うんじゃねぇぞ?言ったら…………分かってんだろうな?」


「…………………………(コクン)」


「ハッ!狂狼の見る影もねぇな」


「……………………」


 あ………待って…………ダメ………


「唐太くん………」


 バタン

 ブウゥゥゥゥゥゥゥン


「………………………唐太くん」


 どうしよう、どうすればいいの?親に言う?ダメだ、武道をそんな事に使ってたのがバレて絶対に殴られる。警察?無理だ、子供が行ったって真剣に取り合って貰えない。


「ああ………本当に、ダメだなぁ、私」


 喧嘩ばっかりして、好きになった人に助けて貰って


「今度は好きな人が攫われたって言うのに……怖くて足が動かないよ………」


 あははは…………


「……………うわぁぁぁぁぁぁぁん!!」


 誰か………


「誰か…………助けてよぉ!」


「どうしたんだい?こんな所に座り込んで、風邪ひくよ?」


「そうよ?とりあえず、家においで?暖まりましょう?」


 え………?


「あ、あなた達は………?」


「ああ、申し遅れたね。僕の名前は三条 一喜かずき、しがない社畜さ」


「私の名前は三条 美梨音みりね、しがない主婦よ」


 三条…………?

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