兄妹デート②

 電車に揺られる事40分………隣町に着いたのはいいんだが……


「人が多いな」


 休日だというのもあるのか、朝早いにも関わらず結構な人がいた。こりゃあ……


「手、繋いどくか?」


「うん!」


 ギュッ


「えへへー♪」


 手を繋ぐだけでこんな満面の笑みになるとは……可愛すぎる


「はぁ………可愛い」


「え?!今なんて?!」


 ん?あれ、声に出ちまってたか。まぁ、聞かれても別にいいか!事実だし


「お前が可愛いって言ったんだよ」


「ほにゃあぁぁぁ〜」


 うおっ?!なんか一瞬で耳まで真っ赤になったぞ?!


「そ、そんなカッコイイ顔してカッコイイ事言われたら………んんっ!」


 な、なんだ?急にビクビクし始めたぞ?


「はぁ………………下着、替えてこなきゃ」


 お?止まった……


「お兄ちゃん、私、トイレ行ってくるね?」


「お、おう」


 なんだ……?さっきの陽久留、やけに色っぽかったな

 まぁ可愛いからなんでもいいか!









 ▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂▂









 遅いな……迷ってるのかな?でもトイレは駅出たすぐ近くにあったはずだし……ちょっと見に行ってみるか


「確かこの辺りにあったはず………ってあれ?」


「ねぇねぇ?俺らと一緒に行かない?」


「きっと楽しいからさ!行こうぜ!」


「………………」


 あそこでナンパされてんの、陽久留か?!


「なぁ、行こうぜ?奢るからよ」


「なんでも買ってやるからさ」


「………………」


 うわぁ……完全なる無表情、ありゃ相当イラついてんな……まぁ、俺も可愛い妹をナンパされて今にもブチ切れそうですが、ここは紳士的に……


「あのー?この子、俺の連れなんですが…」


「あ!おにい……」


「は?今俺らが話しかけてんの見えないの?引っ込んでろよ」


 紳士的に……


「空気読めよ、邪魔」


 紳士的に……


「どう考えても顔面が釣り合ってねーだろ?身の程を弁えろよ」


 紳士……


「ったく、さて、行こうぜ?」


 ブチッ


「なに人の許可無く俺の可愛い妹に触ろうとしとんじゃボケェ!」


「ぐほっ!」


 バゴォン!


「あ、やべ、汚ぇ手で陽久留に触ろうとしてたからつい殴っちまった……」


「お、お兄ちゃん……」


 マズイな……殴った奴が後ろの店のシャッターにぶつかったせいで思いっきりデカい音がなっちまった……!周りの人達もめっちゃ見てくるし……


「逃げるぞ!陽久留!」


「あ、うん!」


 こういう時はとっとと退散!










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