精神科入院日記

@shopii

第1話

目が醒めると見知らぬ部屋の中にいた。壁も床も天井も真っ白で目がおかしくなったのかと思った。

部屋の中は殺風景で私の寝ている布団だけが真ん中に置かれていた。目覚めたことを気づかれないように目だけを動かし周囲を伺った。部屋の中には誰もいない。

上を見ると天井の角にカメラらしきものが設置されている。身体中に衝撃が走った。

そう、私は監視されていた。


カメラを、見つめていると部屋がノックされた。

「山内さん、入りますよ」

そう言って男性と女性1人ずつ入ってきた。

身構える間もなく血圧を測り、熱を測っている。トイレは?と聞かれた。

うなづくと2人は部屋の隅のパーテーションの影に私を連れて行った。

銀色の小さな便器があった。


ここでするの?

あまりの衝撃に声にならなかった。

呆然と立ち尽くす私に女性の方が、

「少し離れますね」と言い扉の前まで2人揃って戻って行った。

便器に座ると2人からはちょうど見えない位置にパーテーションは置かれていた。


用を済ませ立ち上がると2人はすぐにやってきた。水は外で流すからと言ったようだがどういう意味かわからなかった。


2人が出ていくとトイレの水が流れ始めた。やっと先程の意味を理解した。

そこで初めてここは病院なのだと思った。しかしいくら考えても何故、私が入院しているのか理由がわからなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

精神科入院日記 @shopii

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る