第20話

 僕はささと自分の人生の伴侶となる二人との顔合わせを終え、中東の方に飛ぶ。

 本当ならばじっくりと二人と関わりたいところではあるが、忙しいので仕方がない。

 いや、仕方がないというこの一言で終わらせてしまうのはいけないか。

 だが、本当に今は余裕がないのである。

 第二次世界大戦がとうとう勃発したのだ。

 大統領選。

 それに勝利したのは資本主義陣営の候補者だった。

 しかし、それに不満を覚えた社会主義陣営が行動を開始、アメリカ内戦が勃発した。

 当然のように大日英帝国はアメリカ合衆国を支持。

 それに相対して社会主義陣営は社会主義であるアメリカ社会主義国を支持。

 資本主義である大日英帝国と社会主義であるヨーロッパ諸国の軍はアメリカで衝突。

 激しくぶつかりあった。

 火が吹き、鉄がぶつかり、血が舞う。

 アメリカでの戦いは大日英帝国優位で進んでいった。

 当然だ。

 ヨーロッパ諸国はアメリカ大陸に軍を送るためには海路で軍を輸送しなくてはいけない。

 しかし、今や世界の海は大日英帝国のものだ。

 日本もイギリスも世界二大海軍強国。

 ヨーロッパ諸国の脆弱な海軍では大日英帝国の海軍には到底敵わない。

 アメリカ大陸に派遣された軍のほとんどが大日英帝国の手によって海のもずくへと変えられていた。

 それ故にアメリカ大陸に居るヨーロッパ諸国の軍は少数。

 大日英帝国は圧倒的な兵力差からアメリカ大陸では連戦連勝。

 アメリカ大陸を不毛の土地へと変えながら大日英帝国軍は進軍を続けていた。

 だが、順調なアメリカ大陸とは対照的にアフリカ戦線では劣勢が続いている。

 元々ヨーロッパ諸国の陸軍は大日英帝国を遥かに凌駕するのだ。

 アメリカに派遣し、なおかつ各地点在する植民地を守るために兵を割り振っている大日英帝国陸軍を蹂躙するには十分すぎる戦力だった。

 今もなお敗走を続けており、ヤバイ状況が続いている。

 社会主義化し、力を落としていると考えていたドイツは平然と機甲師団を編成し、電撃戦を用いて中東戦線をぶち抜いているし。

 その状況をなんとかするために僕は中東方面に向かっているのだ。精鋭兵を引き連れて。

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