第19話

「ふぇー」

 僕は机の上にうなだれる。

 ようやく大量に届けられた書類の束を処理し終えたところだった。

 今、僕がいるのはアメリカ。

 現在内戦勃発の一歩手前とも言われているアメリカ。

 僕はそこに飛んでいた。

 日本に二人の奥さんを残して。

 正確に言うと、奥さんと側室だが。

 結果的に言うと、僕はイギリス王室の女性を娶り、小夜を側室とすることに決まった。

 まぁ顔合わせもしていなければ、小夜に直接話すことすら出来ていない。

 手紙で一報入れただけだ。結婚するよ、あ、君は側室だけどねという報告を手紙だけで行ったのだ。

 どんな最低野郎だ……。

 言い訳させてもらうなら本当に忙しいのである。

 大日英帝国とかいう世界トップクラスの二国が国家結合するのだ。その準備には膨大な時間がかかる。

 それに重なるように起こるアメリカでの問題。

 本格的に資本主義対共産主義の争いが起きているのだ。

 今は大統領選挙期間。

 この選挙で資本主義の大統領が選ばれようとも共産主義の大統領が選ばれようとも内乱が起こると日本は判断している。

 なのでアメリカ内戦の準備のために僕がここに来て色々とやっているのだ。

 まじで激務ぴえん。

 まぁこれもアメリカ内戦が起こるまでの辛抱。

 実際にアメリカ内戦が起こった時、僕はここを離れ、一度日本に帰れるだろう。

 その時にようやく彼女と話し合いができる。

 そもそも僕はまだ奥さんとなるイギリス王室の娘さんと顔を合わせたこともないのだ。

 まぁ僕はまたすぐに中東方面にでも送られるだろうけど。

 おそらくアメリカ内戦が第二次世界大戦の引き金になるだろう。

 あぁ。

 これで最後だ。

 これに勝利できれば日本とイギリスによる世界征服が実現するだろう。

 そこから先にあるのは平和だ。

 仮初の平和。

 だがしかし、その仮初の平和は他の何よりも価値があるものだ。

 少なくても日本とイギリスで貧困に苦しむ人達は出てこなくなるだろう。

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