第10話
「ふむ。どうやらいい感じみたいだね」
「当然です。あそこまで潤沢な資源と資金を貰い、作れば売れるというこの状況。それで結果を出さないほうが難しいですよ」
「ははは、そうか」
僕は今自身が運営する大企業、令和財閥の視察に来ていた。
現在の運営状況は好調そのもの。
作れば必ず売れるというこの状況。
経営者にとってまさに最高と言えるだろう。
第一次世界大戦がこの後もずっと続けばいいのに。
僕は欧州の地で血を流す人たちの犠牲から目を背けて、そう願った。
「あぁ、そうそう。輸送船の生産を増やしてくれ」
「どうしてでしょうか?」
「そろそろ必要になってきそうでね」
我が同盟国であるイギリスはずっと日和っていたが、そろそろ本格介入しそうな雰囲気である。
元々義勇軍やら武器貸与やらそこそこ介入はしていたのだが、フランス、ロシアがドイツら三国同盟押され始めてきたのだ。
イギリスも大陸にドイツという覇権国が誕生することを容認しないだろう。
そして、イギリス同様日本も。
イギリスが参戦すれば日本も参戦することになるだろう。
その時、日本は本格的に戦争に臨むことになるだろう。
国力はすでに十分。
列強各国に追いつき、追い越した。
だがしかし、所詮。
そう所詮イギリスとアメリカは日本を舐めている。
日本はロシアに勝利していない。
まだあの2カ国は日本を脅威を思っていない。
日本と清の戦争など、蛮族同士のくだらない戦争程度にしか思っていないだろう。
だからこそ、好き勝手できる。
ドイツ領南洋諸島に手を伸ばしても何を言われないだろう。
日本は好きなように自分たちの国益を求めて行動することができる。
それに、もう欧州での戦線は地獄そのもの。
少しでも兵が欲しいはずだ。
当然欧州に対して陸軍を派遣するように要請が来るだろう。
そして、それを日本は僕の世界同様却下するだろう。
国益に繋がらないとして。
だがしかし、僕個人としては介入しておきたい。
いずれ来る第二次世界大戦期に欧州への足がかりを一つくらいは持っておきたい。
だからこそ、あそこに上陸作戦を実施する。
日本海軍と日本陸軍ならば簡単に制圧できるだろう。
日本が第一次世界大戦に介入することによって得られる国益は膨大だ。
だからこそ、だからこそ、日本は第一次世界大戦に参戦する。
国民に我慢を強い、多くの日本兵を死なせることになったとしても。
必要がそれを命ずる。
第二次世界大戦で勝利し、日本の平和を確立するために。
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