第3話
大英帝国。
彼の国はどうやら日和ったようだった。
フランスがイギリスと協力しようと幾度も会談し、同盟の話を持ちかけているらしいが、未だにそれは達成されていない。
イギリスは栄光ある孤立を貫くらしい。
まぁ、ロシアとイギリスの関係は未だに冷え切っているからね。
ちなみに開戦理由だが、よくわかっていないらしい。
いきなりのことで、現地にいるスパイたちも把握できていなかった。
欧州の天地は複雑怪奇なる新情勢を生じたらしい。
イギリスが日和ってくれているので、我ら日本は好きに動ける。
今のうちに満州と朝鮮を日本に組み込んでやるとしようかな?
……ぶっちゃけ要らなぇよな。
満州も朝鮮も。
開拓に金と時間がかかるし。
そんなことより日本の発展に時間をかけたい。
まぁ僕が要らないからと言って捨てられるわけじゃないからなぁ。
僕の立場は複雑であり、繊細なのだ。
明治天皇の右腕として働く僕の立場はものすごく脆い。
一応明治天皇の隠し子ということにはなっているが、所詮僕が表舞台に立ってからそんなに時間が経っていない。
当然だ。
なんて言ったて僕は未来人。
ちゃんと日露戦争が起こり、サラエボ事件を発端として第一次世界大戦が起こった世界線で2020年を生きる高校生だったのだから。
こっちの世界に来てからは、アメリカに渡り株などで巨万の富を築き、日本で未来知識を利用して産業革命を起こして、軽工業も重工業も大きく発展させ、部下に渋沢栄一や、豊田佐吉、田中熊吉、岩崎弥太郎などの偉人を多く抱え、傘下に三井財閥や三菱財閥を抱える大企業の頂点に君臨した。
更に、官営事業を全て払い下げ。
もはや僕が作った企業以外大きな企業は存在しない。
農業だって僕の傘下だ。
無理矢理にでも農民の土地のほとんどを買い占めたせいで、日本に僕以外の豪農も地主もいなくなった。
日本の民間産業のほとんどが僕のもの。
というとんでもないところまで上り詰めた。
日露戦争前に自国で大規模な艦隊を作れるところまでに日本を進化させた。
だが、そんな僕は突然25年前にひょっこり現れただけのひよっこなのだ。
外交、軍事、政治。
僕はそれらにも大量に手を出している。
それ故に僕を嫌う人たちが政治家、軍人には多い。
僕は未だに若造として舐められているのだ。
なにかやらかしたらそのまま政界から叩き出されてしまうだろう。
実際僕の見た目も25年前の高校生としての姿と変わらない。
……今振り返ると僕はとんでもないところまで上り詰めたものだ。
不真面目な高校生として過ごしていたあのときの僕に教えても妄想乙。と笑われてしまうだろう。
僕は自然と天皇陛下と初めて出会ったときのことに思いを馳せた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます