第4話

「は?」

 僕の口から呆然と声が漏れる。

 体から力が抜けていくのを感じる。

 視界が点滅し、脳が錯乱する。

 危機だ。深刻だ。危険だ。

 強い衝撃を感じるとともに視界が赤く染まる。

 僕の聴覚がつんざくような悲鳴と、男の錯乱したような支離滅裂な発言が響く。

 熱い。熱い。熱い。

 熱さを探し、手を伸ばし、触れる。

 ぬるっとした感触と、プラスチックの感触に鉄の感触。

 あぁ。僕は。

 僕はこの男に……。

 死ぬのか。

 どんどん亡くなってはいけないものが体から抜けていくのを感じる。

 そして、完全に体が動かなくなり……そして……。

 パッと。

 視界に光が広がる。

 そして、視界は暗転した。

「ほう。面白い。これも運命か。これは修羅を突き進まんとする日の本の未来を暗示ているのか」

 最後にそんなつぶやきを聞いたような気がした。

 

 ■■■■■

 

「知らない天井だ」

 僕が目を覚ますと、知らない和な天井が目に入る。

 死ななかったのか?

 いや、だがこの天井は病院じゃなくないか?

 入院したことあるし、というかこんな和風なところないだろ!ベッドですらないし。

「うっ」

 僕は腹に走った痛みに耐えて、布団をどかして部屋を見渡した。

 畳が引かれた小さな一室。

 ろうそくの光だけがこの一室を照らしていた。

「どうやら起きたようだな」

 ドラマとかでしか見たことない豪華な装飾?絵?みたいなのが書かれたふすまを開け、和服を身にまとった男が入ってくる。

 誰だ?この人。

 医者、なわけはないよな。

 じゃあ、本当に誰なんだ?この日人は。

 いや、違う。

 あぁ、違う。

 違う。違う。違う。

 見たことがある。

 だが、わからない。

 意味がわからない。

 見たことはあるのだ。

 でも、会うはずがない。

 なんで?なんで?なんで?

「め、明治天皇?」

 僕は呆然と声を漏らす。

 ははは。

 死んだら過去に転生しましたってか?

 あれ?そっか。まだ僕は死んじゃいけねぇのか。

 じゃあ、死にかけたら過去に転生しましたか。

 

 ■■■■■

 

 という感じだった。

 ちなみにだが、刺された僕の傷口を燃やすことで出血し、寝かしたらしい。

 なんじゃそれ。

 治療を舐めているのかね。

 なんでそれで僕は生きながらえたんだよ。

 それが原因なのかはわからないけど、何故か僕の体は成長しないし。

 僕は死ねるんだろうな?

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