第57話 朝ドラ
今日の夢は珍しく幸せな夢だった。
実家で搾取され続けて嫌になって逃げた私を探す家族から、香取慎吾さんが守ってくれる夢。
香取慎吾さんが目の前に現れるはずがなく、搾取されていることは事実のため、かっこいいなあという感想しか出なかった。
腰と膝の酷い痛みのせいで目が覚め、水分補給をしてまた眠りについた。
何らかの理由があって監禁されている私を、守ってくれるオダギリジョーさんが、バイクに2ケツでバックハグをされるという夢。
顔がよすぎるし、声がよすぎて意味が分からなかった。
今まで渋い系統のかっこよさに目覚めたことはなかったが、目覚めてしまったのだからしょうがない。
起きて、Twitterを見ると、朝ドラがトレンドに入っていた。
毎日確認して、それとなくストーリーを掴むのがルーティン。
私は驚いた。
深津絵里さんがオダギリジョーさんにバックハグの形でトランペットの吹き方を教わっていたのだから。
予知夢?と思い、自分の顔と深津絵里さんの顔を比較してどん底にまで病んだ。
比較したって立ってる土俵が違うのに、比較してしまうのが女というものではなかろうか。
私は、人生で最初から最後まで見た朝ドラは、戸田恵梨香さんのやつだけで、それ以外は全く見ていない。
「キスは、いつするんやろ…?」(松下洸平さん)
「帰りとうない!帰さんで!」(戸田恵梨香さん)
テレビの前で悶絶し、親にうるさいと叱られ、録画を一人で見返したことが懐かしい。
赤い髪の彼が、今年結婚期らしい。それでも彼はアイドルとして大正解の答えを話していた。
相手がいてもいい。いないわけない。でも、彼女の前で見せる笑顔を私含むファンに見せないでほしい。
夢だけでも幸せを味わいたい。
現実は幸せと真逆の生きてるのか死んでいるのか分からない生活だから。
もしまたショートに戻す時が来たら、センター分けの赤い髪の彼のようにしてもらいたい。
今は髪を切りに行く元気すらない。
3年ぶりのロングで、髪の毛が驚くほど邪魔だと感じている。
頭頂部の500円ハゲは治らないのに、前髪が伸びるスピードだけは速すぎる。
実家の猫さま達の画像を見て、この毛が頭頂部に生えたらいいのにとないものねだりをしてしまっている。
女の猫さまはツンデレお姉ちゃんで父を椅子のように扱い、父はデレデレしている。
男の猫さまは甘えん坊ぐうたらビビりマンで、母から離れないため、トイレやお風呂も覗かれるらしい。
私はいつも猫さまには、きょうだいとして見られている。
しかも出来の悪いきょうだいで、寝かしつけが必要だと思われており、女猫さまに、22:00には強制的にベッドに寝かされる。
時間が来ると、鳴いて急かし、歯磨きとお手洗いを済ませて両親におやすみと挨拶をする。女猫さまが先に廊下に出て、ついてきなさいと鳴き、寄り道するとブチギレる。自室に入り、女猫さまは勉強机からベッドを見下ろし、私が目をつむるまで監視する。それが終わると、女猫さまは満足して両親のいるリビングに戻るのだ。
可愛いが、火曜10時枠のドラマを見ると、拗ねて怒るため少し困る。
男猫さまは、私の布団を温めてくれるサービスをしてくれるため、私はその気持ちを受け取り、男猫さまの寝る場所の確保のため床で寝る。
朝は鼻息と猫パンチで起こされる。
たよりない人間の小娘ですまんな。
それでも、猫さまを保護した時は手のひらサイズで、それこそ赤ちゃんだったのに、ここまでしっかりしてくれたのは嬉しいものである。
小娘兼きょうだい兼下僕として、今後もよろしくね。
下宿先より
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます