第58話 ミュート

私は、児童期である小学校1年から中学校3年までいじめられていることは有名である。

そのため、地元も嫌いで地元にいる同世代の人間全員くたばれと思っている。


田舎の悪いところをぎゅっと濃縮100%にしたような地元のため、本当に帰省するのが嫌でたまらない。



私は成人式には出なかった。

というより、出れなかったのだ。


1人で参加する勇気もなければ、加害者に会うのも嫌だったからである。


両親もそこは分かっているため、前撮りをしてくれたことはいい思い出である。


小さなころから成人式には参加できないことは分かっていた。


それを気にしないふりをするのもつらかった。


従兄弟や当時の彼氏が成人式に参加した報告などをもらうと私はその度に、祝福をするものの心の底では嫉妬と羨望であふれていた。


今、いじめを受けていて成人式出られないと思っている人がいれば、私はその人たちを全力で応援したい。


出なくていい、出ることが正義じゃない。人間の価値は成人式で決まるものじゃない。

それに、いじめを耐えてここまで生きているのもすごいことで、息をしているだけで偉い。

成人式に出たくても出られない、その気持ちは分かるし、私も行きたかった。

どうしてもと言うならそれは否定はしないけれど、きっと出ても出なくても地獄なら、今は勉学に励んで県外に逃げることや加害者よりも高スペックを身につけられるように方向を変えてみてほしい。


私は、県内の進学校に合格した日から、加害者たちや先生たちが手のひら返してきたことがある。


暴力で黙らせるのではなく、こっちは能力で黙らせてやればいい。


加害者は自分たちが何をしているのか理解せずにストレス発散のためにいじめてきているのが大半だ。


だから、ぐうの音も出ないレベルまで自分の成績や何か特技を磨いて、逃げてほしい。

逃げることは卑怯でも悪いことでも弱いことでもない。


だって、加害者の奴らはストレス発散の矛先をこちらに向けて、ストレスの原因から逃げているのだから。


そう考えれば、こちらも逃げやすいと思う。


成人式が全てじゃない。


とはいえこの時期は精神的につらくなるため、私はSNSで地元や成人式に関する話題は全てシャットアウトしている。


どうか、成人式=正義という考えが無くなり、参加しない自由と参加しない決断をした人に対するあたたかな気持ちが生まれますように。



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