第23話 ダークドラゴンとの戦い


〜〜マワル視点〜〜


 俺はダークドラゴンに向かって走っていた。

 しかし、戦おうにも敵は遥か上空である。


「あの野郎、高く飛び過ぎててブーメランが当たらないぞ」


『主! 新しいスキルを使うのだ!』


「お! そのスキルならダークドラゴンにブーメランが当たるのかよ!?」


『うむ。このスキルを使えばダークドラゴンと戦えるぞ!』


 そのスキルを教えてもらおうとした瞬間。

 ダークドラゴンが真っ黒い炎を吐いた。

 それは明らかに俺を燃やす為の攻撃だった。

 俺はブーメランを投げる。



回転防御スピンディフェンス!!」



ギュルギュルルルルルーーーーッ!!


 

 ブーメランは回転し、漆黒の炎をかき消した。



「残念ながら俺にはお前の攻撃は効かないんだよ!!」



 ダークドラゴンは目を見張る。



『ほぉ、これは珍しい。飛刃使いか……』


 

 こいつ喋れるのか!



『こんな時代にも飛刃使いがいるとはな。しかし飛刃で我に立ち向かうとは……ククク愚かな』



「んなもん。やってみないとわかんねぇだろうがよ!!」



 ダークドラゴンはニヤニヤと笑う。



『そんな小さな飛刃でどうやって我に勝つのだ? 攻撃すらも届かないではないか』



「必ず当ててやる!」



『ふん。少しくらい我の炎をかき消したからといって良い気になるなよ』



「うっせぇ!! 王都をめちゃくちゃにしやがって!! 貴様の炎は当たんねぇんだ。大人しく倒されんのを待ってろ!!」



『うるさい小僧めがぁ!! 我の攻撃が炎だけではないことを見せてやろう』


 そう言うとダークドラゴンは急降下し始めた。

 100メートルを超える巨体が動く。それは轟音と共に大風を起こした。



ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!



 ぬはッ! すっげぇ風だ!!

 よ、避けようにも落ちてくる体がデカ過ぎる!!


 こ、これはヤバいかもしんないぞ!?

 ど、どうやって避けたらいいんだぁあ!?


 闘志と絶望が一緒くたになったような雄叫びを上げる。



「うわぁああああああああああああああああッ!!」





ドシィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインッ!!




 ダークドラゴンは俺を踏み潰した。

 大きな砂煙が舞い上がる。



『ぬははッ!! つまらんなぁ! 所詮はちっぽけな飛刃使い。我の敵ではないのだぁああッ!!』



 俺は砂煙をかき分けて現れた。

 その足元にはブーメランがギュルギュルと回転している。

 俺は空を飛んでいた。



「ヴァンスレイブ!? こ、これってもしかして!?」



『うむ! 新しいスキル。 回転飛行ブーメランサルトだ! 』


 

「おおーー!!」



『回転するブーメランは飛行機流を作る。その上に乗って、自由自在に空を飛ぶことができるのだ』



 すげぇ。


「でもさ。回転する気流に乗って、俺の体が回転しないのはなんでなんだ?」


『主が接触する場所だけ逆気流になって回転が打ち消されているのだ』


 うは! 

 流石はスキルだな。

 まるで、雲に乗る魔法使いみたいにブーメランに乗って空を飛んでる! 

 こりゃいいや!!



『ただし、1度の回転で飛行できるのは30秒が限界だ。浮力が切れれば落下するぞ』



「なるほどな。んじゃあ落下途中にもう一回投げればまた空を飛べるんだな?」



『そういうことだ』



 そうなると、投げる回数だけの問題だな。

 ブーメランさえ投げれれば長時間の飛行が可能になる訳か!


ギュウウウン!

ギュウウウン!


 うは! 快適!!

 俺の意思に連動してるぞ。

 飛ぶ方向は自由自在だ!


 ダークドラゴンは俺の生死を確認すると眉間にシワを寄せた。



『こ、このぉおお!! 飛刃の小童がぁあああああ!!』



 それは引っ掻き攻撃。大きな爪が俺を襲う。

 しかし、俺は 回転飛行ブーメランサルトを操作して軽々と避けた。



「あれれぇーー! お前の打撃は俺に当たんないなぁ。効かないのは炎だけじゃなかったのかもなーー!?」



『このッ! このぉおッ!! たかが飛刃使いのくせにぃいいいい!!』



「残念ながら当たんねぇなぁ。この飛刃優秀だわぁ。飛刃最高!」



『くぅうう!! こ、このクソガキがぁぁあああ!!』



 そう言って何度も掴もうとする。

 しかし、俺はその軌道を読んで軽々と避けた。



「なんだ。結構大したことないのかもな。こいつ」


『いや。この引っ掻き攻撃は相当な威力だぞ。主の避ける動作が的確なのだ!』


「そうなのか?」


『うむ。このドラゴンの魔力量は絶大だ。この腕の一振りでもA級クラスの冒険者なら一撃でやられてしまうだろう』


 言われてみれば一振りの風圧が凄い。

 あの威力を喰らえば一溜まりもないかもしれん。

 でもまぁ、余裕なのは明らかだな。


 俺の動きを見ていたのはギルドの冒険者達だった。

 魔法壁を作ってその中に入り、ドラゴンの攻撃を防いでいる。

 鞭使いの女が指を差した。


「マワルは無事だよ!!」


 その言葉を皮切りに、他の冒険者達が一斉に叫んだ。


「すげぇ……。ダークドラゴンの攻撃を悠々と交わしてやがる!」

「いいぞ! やっちまえマワル!!」

「マワルさん、がんばって!!」


 その魔法壁の中には、あの母子の姿があった。

 

 あいつら、どうやらちゃんと仕事はしてるみたいだな。


「よぉおし。んじゃあ反撃といきましょうか!!」


『うむ! 心得た!!』




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現在の状況【読み飛ばしてもストーリーに影響はありません】




名前:マワル・ヤイバーン。


冒険者等級:E級。


守護武器:ブーメラン。


武器名:ヴァンスレイブ。


レベル:8。


取得スキル:

戻るリターン

双刃ダブルブーメラン

回転遅延スピンスロウ

絶対命中ストライクヒット

回転防御スピンディフェンス

回転飛行ブーメランサルト。NEW



アイテム:薬草。図鑑。


昇級テスト必須アイテム:

白い角。黒い牙。緑の甲羅。



所持金:6万1千エーン。



仲間:僧侶アイア・ボールガルド。

オバケ袋のブクブク。

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