なんで

 気づいたのはいつからだろう

 それはきっと思春期特有の妄想だったのかもしれない

 でもそれを知るすべはなくて

 

 なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで


 そんなことばかり考える


 なんでみんなと違う

 なんでみんなより劣る

 なんでみんなと比べてる


 なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで


 気になるのはいつも、みんなの自分の対比で

 誰かに何かで負ける自分が許せなくて

 誰かより優しくできない自分が嫌いで

 誰かと仲良くできない自分が劣等感で


 なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで


 疑問に思うのはいつも自分のことばかり

 なんで自分は弱いんだ

 なんで自分は優しくないんだ

 なんで自分は社交性がないんだ


 なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで


 想像するのはいつも自分に都合のいいことで

 なんで誰も助けてくれない

 なんで誰も手を差し伸べてくれない

 なんで誰も「大丈夫」って言ってくれない


 なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで


 ああ、わかってんだよ

 これでも救われてるってことに

 自分なんて不幸じゃないってことに

 気づいているさ恵まれているってことに


 なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで


 それでも自分の疑問は消えなくて

 今日もまた、なんでの言葉に溺れてく

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