第10話 時は過ぎて行くだけ



 合流した灰色の瞳の民達の働きは凄まじい勢いだった。然し、何百と放たれてくる金属の矢は灰色の瞳の民達に突き刺さり、戦場には怪我人が増えるだけで、戦況は一向に変わらなかった。灰色の瞳の民達が合流したところで何の変化もなかった。二つの民族は、野営しながら作戦を練るが、高い壁と、金属の矢には打つ手がない。だからと言って、子供達を見捨てるわけにはいかない。


 今は、そこに留まるしかない。時々、女達が食料を届けに来るが、会うたびに互いに疲弊した顔が浮き彫りになっていく。


 高い壁の内側には、大量の食料があるはず。籠城なんて容易いことだ。いや、それ以上に危険なことは、白い瞳の民達の食料が尽きた時だ。襲われれば、村そのものが消え失せる。

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