第49話 先ずは、私から行くね……
(ふーっ、やっと着いたよ……)
最下層に降りた私は、
ただ、このような地下空間は、歩いているだけでも距離や時間、方向などの感覚を狂わせる。
初めての場所に対して『不安』という事もあり、私達は自然と手を
(こうすると、
――やっぱり、双子だからかな?
「大きいですね……」「そうだねぇ」
フランの言葉に私は同意した。最初に見た時も思ったけれど、確かに大きい。
最下層に存在するソレは、思わず見上げてしまう程の大きさだ。
恐らく、今まで見た【
(これは、お兄ちゃんが喜びそうね……)
ついつい、夢中になる兄の姿を想像してしまった。思わず、笑みがこぼれる。
(ちょっと、
「周囲の様子はどうだ?」
とはアーリだ。
(それも、その
巨大な【
【
しかし――
(これが……【
――私の【
地上で暮らす人々の負の感情を集めた場所。
グリムニルの言う通り、平気な私とフランは特別な存在のようだ。
「大丈夫ですか? アーリ……」
とフランが心配して、彼を
(無理もないか……)
私が意識して【
兄やベガートなら
私は彼に代わって、周囲の様子を確認する。耳を使って、音を聞き取った。
しかし、人の気配を感じる事はない。
(それもそうか……)
――こんな場所に、普通の人間が
「誰も居ないようね!」
そんな私の言葉に――分かった――とアーリ。続けて、
「じゃ、早いところ頼む。オレはこの場に居るだけで
とフランから離れ、
やはり、特別な【
(いや、違うようね……)
――明らかに、黒い【
私は不安そうなフランの肩に手を乗せると、
「早く、【
そうすれば、アーリは大丈夫だよ!――と彼女に教えて上げる。
フランは
「行ってきます……」
静かにアーリから離れた。その言葉に、
「ああ、早いところ頼む」
とアーリ。強がっているのは明白で、
すると、まるで空中に壁でもあるかのように、見えない
「結界?」
首を
「そのようだな……」
とアーリ。彼はそう答えた後、
「どの道、オレは結界の中には入れない――ここで待っている」
そう言って、フランを見詰めた。そして、
「アリスタウスだ」
と
彼女の瞳に光が宿るのを見た。
「オレの名前だ……」
とアーリ。私にとっては今更だが、フランにとっては違うようだ。
彼女は意を決したのか、立ち上がると
私も見習い、
(嫌な感じがするよ……)
今度はフランが、私の手を引いて歩いてくれる。
そして、【
――わふ?
(今、
どうやら無事、結界を通り抜ける事に成功したようだ。
フランも不思議そうに振り向く。
「お姉様……今のが?」
「そうだね――きっと、結界だよ……」
私は彼女の問いに答える。
疑っていた訳ではないけれど、どうやら、私達は本当に【
私はフランと並んで歩く。アーリから勇気を
(無理もないよね……)
【
(近づくだけでも、勇気が
それでも、フランが頑張っているのは、アーリが居るからだろう。
素直に――
(お兄ちゃんはどうしているのかな?)
つい、そんな事を考えてしまった。
本来、神聖なモノとされる【
「
そう言って、【
「待ってください! お姉様……」
フランに止められる。目と目が合い、
「一緒に……」
と言われ、私の手にフランが手を重ねる。
私達は互いに
また同時に、私とフランが触れた事で、【
信者の一人でも居て、この光景を見ていたのなら、
そんな、
光に包まれて、私の意識はそこで
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