パズルのようなポップな窓
表裏一体
「ひーめー!」
私、
「…あの、日野さん。明日、僕、あなたに告白します。だから、ささっと振ってください。」
「えーっと、ちょっと話が見えないのですが…。」
私は今、同じクラスの男の子に呼び出されていた。うっすら会話した記憶があるくらいで、敬語かタメ語か迷うくらいの仲。
「嘘コクさせられるんです、明日。隣のクラスのヤツらに。」
"隣のクラスのヤツら"で思い浮かぶ3人は、学校中が知っている、いわゆる問題児だ。
「運悪く同じ委員会なんです。それで、僕が気弱だってバカにしてくるようになって。まぁ、1番は僕の名前を面白がってなんですけど。」
「名前…
「あ、知ってくれてたんですね。まぁ、そう、"ほしのおうじ"ですよ。似合ってないでしょう?気に入ってはいるんですよ。親から貰った名前だし、自分で言うのもなんですけど、素敵だなって。」
「…わ、私も!素敵だと、思います。」
「ふは、ありがとうございます。でまぁ、僕が "おうじ" だから、"ひめ" に告れっていう、なんとも単純な話で。」
「でも、あの、それ、私に言っちゃって大丈夫?」
「巻き込んでしまうことになるので、言っておこうかなって。」
「なるほど…。」
桜士朗くんは、かなり独特な考えを持っているらしい。少し話しただけで、その感性に触れられるほど。
「あ、それでですね、日野さん。僕、嘘コクはしますけど、本当に好きなんですよ。あなたのこと。」
「…は、今なんと。」
「そのままの意味です。」
「ちょっと理解が追いつかないのですが。え、じゃあなんで、振ってくれ、なんて言うんですか?」
「だって、嘘コクのフリしたガチ告白で、ガチ振られしたらキツくないですか?それならいっそ、自分の気持ちをスッキリさせてから、本気で嘘コクしよっかなって。」
…感性が独特にも程がある。
「ということで、僕の気持ちは既に伝わっているので、明日はのびのびと嘘コクをします。僕のせいで注目を浴びることになると思うので、先に謝っておきます。ごめんなさい。」
桜士朗くんは、そう言い残し、突然帰った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます