第4話 恋歌④

「恋歌④」


どうせ来ないと思ってた

まったく予定を決めてない

戸惑いながら君を乗せ

夕日をとらえに西に行く


私服の君は別人で

綺麗でかわいくおしとやか

いつもは会話が弾むのに

なぜだか今日はぎこちない


それでも車は突っ走る

優しい春の夕暮れを

夢にまで見た初デート

海峡超えて九州に


門司の夜景を窓越しに

初デートなのにカレー屋で

それでも君と一緒だと

何を食べてもときめいて


夢中で走った二百キロ

夢中で何かを話してた

あっという間の8時間

そっと更けゆく春の宵


君を送って駐車場

君の車が待っている

テールランプを見送って

なぜか寂しい春の夜


今日は最初で最後という約束のデート

だから本当に最初で最後

絶対に最初で最後

「それでも僕の人生で最高の日だったよ」

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