第4話

 午前0時をまわる頃、私は電車に揺られていた。同僚の美鈴みすずたちと一緒に飲み会をした帰りだった。

 本当は朝まで付き合いたかったが、私は明日仕事だし、それに家で待つ幸也ゆきやに悪いから、先に一人電車に乗って返っている最中だった。

 金曜日でもない平日の最終近くの電車は、あまり混んでいなく席が空いており、私も悠々に座ってぼけーっと待ち受け画像を見ながら物思いに耽っていた。そこに一通のLINEの着信音がなった。

 さっきまで一緒にいた美鈴からだった。


=LINE一件目=


『かこちん、今度は彼氏絶対紹介してよね。あんたにあんなイケメンがいたとはね〜絶対だよ?』


私は内心ハイハイと言いながら、LINEに返事を出した。


『何いってるのよ。美鈴こそイケメン彼氏いるくせに』


 するとすぐに美鈴から返事が返ってくる。


=LINE二件目=


『じゃあ今度ダブルデートしない? イケメン合戦しようよ』と返事が来る。


 何を言ってるのかと思い、『いやよ、彼氏がかわいそうだしね。それに二人だけの秘密だからね? 美鈴だから写真見せたけど、他の子にあんまり言いふらさないでよね?』


そう打つと、すぐに返事が返ってきた。


=LINE三件目=


『仕方ないか。かこちん、恥ずかしがやだもんね。じゃあ気をつけて帰ってね。おやすみ』


 私は『おやすみ』とだけ返事を出して、電車に揺られて、幸也と同棲しているアパートに帰った。扉には鍵がかかっており、幸也はまだ帰ってないのかと思い、いつものポストの上の植木ぱちの下の鍵を取り、部屋に入る。

 夜中なのに今日は幸也帰っていない。

 遅いなと思い先に化粧を落とし、汚れた食器を洗い、タオルなどを私が洗濯してあげようとバックに入れる。

 疲れた体をベッドに投げ出す。ぼけえっと同棲アパートの天井を見ながらうとうとしていると、玄関から音がする。

 ようやくご帰宅かと思い、いつものならばすぐにベッドに倒れ込む幸也だから、今日もそうするだろうと思い私はベッドで幸也を待った。

 やはりか。そのままベッドルームに幸也が入ってくる。そして電気もつけずに私を抱きしめるはずだと思い、私は握る手に少し力が入った。


「えっ? どう言うことだよ」

「……」

「……だっ誰だよ。お前……」

「おかえり……」

「おかえりって、だ、誰?」

「何言ってるの? 彼女をこんなに待たせて、どこ行ってたの?」

「彼女って……。出て行けよ。どっから入った!お前、泥棒か?」幸也は怒っている。

「泥棒って失礼ね? 長い付き合いじゃない? 幸也。おかえりのキスは?」と私は言って抱擁の腕を伸ばす。

 幸也は、怒りながら「お前か! ここ最近、物が無くなってたりするのは!」と言う。

 私はその問いに無視をして、幸也に向かって「愛する人のためよ?」と笑った。

「警察呼ぶぞ!」

 幸也は立ち上がり、電気をつけて、彼女である私に怒りを向けた。

「付き合ってるじゃない? 私たち……」

「バカ言うなよ。お前誰だよ! いい加減にしろよ」

 怒り狂う幸也に対し、私は持っていた包丁を幸也の胸に突き刺した。

「これで永遠に一緒ね」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

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