第2話
時刻は22時を回る頃。俺は、電車に揺られていた。突然スマートフォンにマナーモードの振動が胸ポケットに響いた。今から向かうマンション。不倫相手の
今朝は残業で遅く午前様になるからと妻にて伝えて出て来たはずが、もう心配のLINEかと思いながらLINEを開けてみた。
=LINE1件目=
『何時頃帰れそう?』
『早く戻って来て欲しいなぁ? 話があるの! 愛してる?』
なんだ。そんな事でLINEをするとは可愛い妻だなと思いつつ、ポケットに仕舞おうとすると、また着信。
=LINE2件目=
『早く会いたいなあ』
『待ってるからね? 今日はいっぱい話そうねぇ? 愛してる!』
今度は陽菜からのLINEだった。そのLINEに返信を出した。
『もうすぐ着くよ。俺も愛してる!』
それに返信すると、今度は登録に無い、LINEが届いた。
迷惑設定はしていたはずだったが、こんなのが届くのは始めてだと思い無視しようとしたが、無視すべきではない事に気づいた。
=LINE3件目=
『◆◇法律事務所』
「ん? なんだ?」
小声を出しながらLINEの内容を見た。メッセージと2枚の添付画像が付いている。
『村越陽菜の男より。あなたとお話がしたいと思います。これから村越陽菜様マンションでお待ちしております。もしこれを無視した場合や警察に通報した場合、あなたと奥様のお命頂戴致します。まあ、4人でゆっくりお話しましょう!』
そして……。
添付画像を見ると……。そこには引きつった笑いの妻と笑顔で写る陽菜。そしてその後ろに写る刃物を持った男の影。もう1枚は電車に揺られてスマートフォンを見ている俺の写真だった。
慌てて、到着した駅のホームから、スマートフォンを取り出し発信ボタンを押して110番を押した。
「あっもしもし? あの! 変なLINEで、殺人予告…! 妻と……」
押したはずの電話番号……。しかし、110番されておらず、また着信のマナーモード音が鳴り響く。
ブゥーブゥー
マナーモードのスマートフォンからLINEの着信音がした。
=LINE4件目=
『◆◇法律事務所』
動画一枚添付してあった。
少し恐怖を感じながらも、その動画の再生ボタンを押す。
「いや、いや、いや! やめて! 私が何をしたって言うのよ! 悪いのはあの人じゃない!?」
ザッ!
「キャア! ウッ……」
先ほど送られてきたLINEの中に写っていた陽菜の首が、後ろ手の包丁の男によって切りつけられていた。
そして……。
「フフフフッ……あなたが、変な女に興味を持つからこうなるの。早く帰ってきね」
今度は、妻の引きつった笑いが画面に映し出されて動画は終わった。家に帰れば、俺の命も危ないと感じた夜。
帰れば地獄が待っていると思い、更に俺は110番しようとスマホを片手にタップした。
一瞬の違和感……。
手に持っていたスマートフォンが火花をあげて燃え上がった。
ボンッ!
「あちっ! なっ、なんだ。これ……」
いきなり大きな音がしたと思ったら、俺の体は炎に包まれた……。
「アアァァ!」
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