予告LINE
北条むつき
第1話
時刻は19時を回る頃。俺は、電車に揺られていた。突然スマートフォンにマナーモードの振動が胸ポケットに響いた。今から向かうマンション。同僚の三橋夕子からだと思ってスマートフォンの画面をスライドさせた。
今朝は残業で遅く午前様になるからと妻にて伝えて出て来たはずが、もう心配のLINEかと思いながらLINEを開けてみた。
=LINE1件目=
『何時頃帰れそう?』
『早く戻って来て欲しいなぁ? 話があるの! 愛してる?』
なんだ。そんな事でLINEをするとは可愛い妻だなと思いつつ、ポケットに仕舞おうとすると、また着信。
=LINE2件目=
『早く会いたいなあ』
『待ってるからね? 今日はいっぱい話そうねぇ? 愛してる!』
今度は夕子からのLINEだった。そのLINEに返信を出した。
『もうすぐ着くよ。俺も愛してる!』
それに返信すると、今度は登録に無い、LINEが届いた。
迷惑は設定していたはずだったが、こんなのが届くのは始めてだと思い無視しようとしたが、無視すべきではない事に気づいた。
=LINE3件目=
『○○法律事務所』
「ん? なんだ?」
小声を出しながらLINEの内容を見た。メッセージと2枚の添付画像が付いている。
『三橋夕子の男より。あなたとお話がしたいと思います。これから三橋夕子様マンションでお待ちしております。もしこれを無視した場合や警察に通報した場合、あなたと奥様のお命頂戴致します。まあ、4人でゆっくりお話しましょう!』
そして……。
添付画像を見ると……。そこには引きつった笑いの妻と笑顔で写る夕子。そしてその後ろに写る刃物を持った男の影。もう1枚は電車に揺られてスマートフォンを見ている俺の写真だった。
慌てて、到着した駅のホームから、スマートフォンを取り出し発信ボタンを押して110番をする。
「あっもしもし? あの! 変なLINEで、殺人予告…! 妻と……」
誰かにドンッと押された感覚。次の瞬間に電車の正面が目の前にあった……。
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