華麗なるボディプレス!
港町センケーゲの、探索者の店にて。
僕たちは掘り出し物を求めて、商品モドキの山をひっくり返す。
デカ猫マヌーが伝説の(笑)レア・アイテムを入手、ブ
フレーメのぶんは本人にまかせるとして、ブ
こうも色々並んでると、ワケわかんなくなりそうだ。う~ん……
ガン〇ラ
この
よし、自分が何を求めているのか、ちょっと、おさらいしてみよう。
1.基本はビキニ・アーマー。
みたいな、安っぽいゲームキャラのヒロインのような肌色多め、露出過多のデザインだな。特職娘たちのスタイルはヤバいから、きっと似合うと思うし、フレーメの言う通り、
真冬だから寒いだろうけど!
かつて「弁当」という差別用語で呼ばれていた
昼も夜も!
探索者どもはあまりにもイカれてるので、もし、自分たちのモノである
つまり、
もちろん、傭兵とか沢山雇えるなら、そのほうがいいに決まってるけどさ。情けないけど大人の男が怖いあたしのストレスも増えるだろうし、だいいち……そこまでのカネはない。
そこまでのカネはない(泣)!
2.ポジションの問題。
まず、ニンゲン族だけど
特にガン〇ラ
ガン〇ラ
でも、必要でもないときまで目立つのは違うよな。
前世のイキったタレントが、プライベート時にかけるサングラス程度には、注意を払う必要がある、ってことだ。
さらに。
よわよわの自分を守り、なおかつ、それなりの機動性を確保するためには、自分の指示で動いてくれる、つよつよの誰かにくっついてるほうが都合がいい。まあ、ブ
ブ
申し訳ないけど。
その用途のためには、やっぱりブ
以上の点から考えると、求める鎧のうち、胸部装甲には十分な居住スペースが必要になる! それ以外の部分はフレーメと同じでいいだろう。アンバランスなのはしょうがない。
3.機能性の問題。
で、胸部装甲には、その広さのほかに、自分が安全に快適に過ごすための機能が備わってなきゃいけない。クッションやシートは今までと同じでいいけど、視界と通気をどうするか。ありがちだけど、小さな穴をいくつも開ける、という方法でもいいんだけどさ……そもそも出入りはどうするのか、っていう点も考えなきゃいけない。
みぞおちの辺りに、ハッチでもつけようかな。自動扉を作るのはムズくないと思うけど、関係ないときにパカパカ開いてしまうかも。ローブの合わせ目程度なら、むりやり飛び出すことは簡単だ。さっきみたいにブ
待てよ、ヘリポート?
ホントのヘリポートはもちろんムリだ。爆乳のフレーメなら設置可能かも知れないけど、そういう意味じゃない。要するに、上が開いてればいいんだ。で、周りに壁があるヘリポートなら、守備力はあると言える……
鎧で言うと。
騎士鎧とか、幅広のネックガードが首回りにあるタイプ。なけりゃ似たような胸鎧から作ればいい。改造する、というヒントはさっきフレーメがくれた。どうせ
そうすれば、通気は問題なし。普段は小穴やマジックミラーとかで外を見て、何かを詳しく観察したいときや他人と顔を合わさなきゃいけないときは、ガードの内側から背伸びして顔を上に出せばいい。出入りは変身してさえいればOKだ。
と、すれば、そこに転がってるアレとかコレとかを素材にして……と、そう考えながら改めて店内をキョロキョロしていると……
ガラガラガラッ!
「
何かが崩れる音と、間抜けな悲鳴が聞こえた。見ると、ガラクタの山が崩れて、フレーメの上半身が下敷きになっている。こいつ、横着して山の下にある商品をムリヤリ引き出そうとしたな?
「おいおい……」
「フ、フレーメさん、大丈夫ですか?」
ブ
「
フレーメの声は、がらんどうの鎧の山に反響してエコーがかかっていた。こっちの声もよく聞こえてないみたいだな。でも、いちおう無事か。
「……
お前、出っ張ってるとこ多いもんな! ……いや、引っ掛かってるのはたぶん髪とか服か。赤毛娘はうつぶせになったまま、ブーツをはいた足をバタつかせ、ローブに包まれたお尻をフリフリしているが、いっこうにガラクタの山から出られる気配がない。
何やってんの、お前?
「
バカッ、止めろ!
「とお!」
僕はブ
「あんっ!」
そして、1メートル下の(僕にとっては3階建ての屋上から)フレーメのお尻めがけてダイブした! 両手両足を広げて、華麗なるボディプレス!
ビターン!
「
悲鳴と共にお尻がビクッと跳ね上がった!
すばやくローブの布をつかみ、ガン〇ラ
「売り物を吹き飛ばす気か!」
「
ホント何やってんの、お前?
まったく、危ないとこだった……
オール弁償なんて事態になったら、目もあてられないぜ!
おっ。
僕の目の前に、1本のロープが垂れてきた。おお、ブ
「はぅっ!」
ブ
続いて……
頭の上から、その声が聞こえた。
「探し物なら、拙者におまかせを」
ロープ?に捉まっている僕が、山頂を見上げるように上を見ると……
フレーメの大きなお尻の上に、大きな白ネズミがすっくと立っていた!
僕が掴んでたのは、こいつの尻尾だ!
「シ、シ……」
シロカゲ~!
センケーゲに来る途中、馬車の屋根で出会ったヤツ。
『今は呼んでない、あっち行け』
僕はロープ、いや尻尾を手放し、お尻の上に立って両手を左右に振り回しながら、口をパクパクさせて声なき声を掛けた……
「御意」
シロカゲは、僕の意図を正確に悟ったらしく、忍者のごとくシュッと消え去った。まったく……少しでも僕の役に立ちたいんだろうけど、場所と場合をわきまえろよ。
頭がいいクセにポンコツなとこあるよな、あいつ!
「
「な、「なんでもない」です」
ブ
「早くフレーメを助けてやれ」
「は、はい……ご主人さま、今のは?」
僕をその胸元に戻し、積み重なる鎧をどかし始めたブ
「気にするな、いつか話すから」
「ねえ、あたいが見てないと思って、イチャイチャすんの止めてくんないかな~ さっきから妙に囁きあってるよね? いまこっちは取り込み中なんだからさあ」
やっと見えた赤毛の頭から、そんな声が響いた。
「イ、「イチャイチャなんかしてない」です」
うわっ、ブ
この赤毛娘、ケーケン豊富なクセに、俺とブ
まず、こいつは確かに俺のことを嫌いじゃない、はずだ。鈍い俺でもその程度のことは判る。でもそれって、超ブラック企業からフツーのブラック企業に(フツーのブラック企業って何だよ)転職できたから、今の上司である俺に感謝してるだけだろ。ただ今までの職場がヒドすぎただけだ。後は、なんか信念とか信義とか真面目とか、それに宗教心とかで忠実なだけだと思うんだよな。赤面するときがあるのは、たぶん俺と同じ恥ずかしがり屋だからだろ。
そして。
【奴隷の主人は奴隷に好かれる権利なんかない】
ハッカイ族の特職ハンター、ヤクトはそう言いやがった。ちょっと違ってるかな?
まあいい、とにかく、俺もそう思ってる。異世界ラノベのイキってる勇者ならさておき、まともなニンゲンならそう思って当たり前だろ。
だから、好かれる権利なんか無い俺はこいつを道具だと思ってる。ホントの意味で俺を慕うなんてありえない、あっちゃいけないと思ってる。
……ムリヤリにでも、そう思おうとしてる。自分のことを、まともなニンゲンだと思いたいからだ。
身長18センチであること以外は、まともなニンゲンだと思いたいからだ!
そう……か。
俺が、けっこうキビしくブ
おっと、もちろん、道具は道具でも、大事な道具であることには違いない。おっぱいも魔力も顔もウザい性格も好きだ。だから俺は、こいつのことを大事にしたいんだ。言ってみれば、俺にとって、こいつは【愛機】なんだと思う……
こいつの、ヒトとしての気持ちとは、関係なく。
どれだけの時間、そんなことを考えていただろうか。
「じゃ~ん、見て見てご主人さま!」
フレーメの声に、はっとして顔をあげると……
選別を終え、いつのまにか着替えた赤毛娘が、僕とブ
くるり、と回った。
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