シークレット・オブ・マジック
僕は見つけたかも知れない!
新たなる
身長18センチの身でありながら、いつか義妹リーズを救うため旅を続ける俺は……
すみません。
のっけから嘘つきました。
今回の実態は目新しいオモチャに夢中になってただけですぅ。で、またしても調子にノリすぎて大ポカをやらかした。正体不明の魔法陣をうっかり起動して、大惨事を引き起こすところだったのだ。
ブ
「フシャー! こんな危ないコト、馬車の中でやるニャよ!」
「……はい」
ごもっともでございます。
僕は御者台に場所を移して、研究を続けることにした。我ながら懲りないよな~
5百円玉くらいの大きさ(僕にとっては丸い
ほっかほかだよ~
ありあわせの材料で簡単な
「いったいそれ、何なんですか?」
隣で
「たぶん……ファイヤー・ボールを撃つ魔法陣だと思う」
「えっ……ええーっ!?」
まあ、驚くだろうな。フレーメの元の仕事は
「フレーメ、お前はファイヤー・ボールについて、それなりに詳しいんだろう? 僕に教えてくれないか」
「あたいその魔法、使えないんですけど」
「判る範囲でかまわない」
フレーメの知識と、以前に手品師トマタさんから聞いた話、そして僕自身のつたない経験を(撃たれたことがあるもんな)を基に、この魔法陣を分析してみようと思った。
まずは魔法陣……いわば魔法のCPUチップについて、今まで判っていることを、おさらいしてみよう。
魔法陣の外見は、小さな丸い図形だ。そのデザインは、丸い輪の中に魔法文字……ルーン文字とか象形文字みたいなフォント……が、同心円状にギッシリ詰まっている。高性能なモノほど複雑だ。たいていの魔法陣はインク付きハンコぐらいの大きさ、つまり僕の握りこぶしぐらいの大きさだ。魔法陣が小さい理由は、大きくすると発熱するからだ。
魔法陣は、紙や木や琥珀の(絶縁体っぽい?)板に描かれている。魔法陣の作成には、僕が占いオババのドロシィさんに貰ったドクロの指輪のように、魔法的に字や絵を書く魔道具が必要だ。高性能の魔法陣は何枚も重ねて構成されている。僕はこれを多重魔法陣と呼んでいる。
魔法陣は、魔力を流すと作動して、魔法的現象を引き起こす。その魔力源は使用者本人の魔力や魔石、大気中の魔力など、そのタイプによって違う。魔力が弱いと魔法陣は機能しないけど、魔法的なセンスを持ってるヒトには魔力の反応を感じ取ることができる。
と、いうことは、この魔法陣をより正確に分析するには、魔力を計る道具があると便利だよな……
そうだ、思い出した。
残念イケメンのコテコテさんが、
シャキーン!
脳内効果音と共に両手の
名付けて「魔力テスター」だ!
「あっ、ご主人さま、何それ!」
「すごいです、尖ってます!」
フレーメとブ
俺の各種変身モードは、自分の感覚では高級コスプレだけど、他人から見ると本物の妖精やネズミに見える。ガ〇プラ
魔力テスターで魔力を測定するとその変動は感じるけど、はっきり数値が判るわけじゃない。単位だってないし。ちょっと不便に感じたので、魔灯ランタンのガラス部品をちょっと切り取ってバイザーを作ってみた。ここに魔力の測定量を投影する……いや、そんなメカニックなことが実際にできる訳ない。
でも、
おおっ!
そのつもりで頑張って念じて見たら、見事、測定した魔力量がバイザーにバー表示で浮かびあがったではないか! グラフ化もできる! 僕にしか見えない情報だけど。
あ、そうだ。
僕自身の魔力残量も……うん、表示できた。これを「MPバー」と呼ぼう。それなら同じ理屈でインカムだって作れないかな。おお、できた。あくまでこれは無意識との情報交換だけで外部と通信できない。残念! でもこれで残りMPの警告音とか聞こえるし、技名(笑)を叫べば特に意識することなく変形できるぞ! ガ〇プラ
『起動せよ、魔力テスター!』
『シャキーン!』
おっと、いけないいけない。また横道それすぎだ。それにしても……ヘルメットと合わせたコーデの外見はもうホントに、ロボットのプラスチック模型にしか見えないだろうな~
もちろん、
さて、気を取り直して。
馬車の御者台で半日かけて研究。この謎の魔法陣を分析して、仮説を立てて、実験を繰り返して……何とか解明できた秘密が、以下の通りだ。
1.結論から先に言うと、この魔法陣はやっぱり「ファイヤー・ボールを撃つ魔法陣」だった。見たことあるな~と思った魔法文字は、「火付け(の魔道具)」と同じ文字だったんだ。別の紙に複写することもできたぞ!
2.この魔法陣に魔力を込めただけじゃ、起動はしても発射しない。たぶん安全装置の一種だろうと思うけど、発射するためには特定の信号を送る必要がある。まあ、『信号』と言っても、魔力で『ダブルタップ』するだけなんだけどね。だから僕のリズムゲームもどき遊びで発射してしまったんだ。
3.魔法の発射は、まず球状の熱いガス弾が発射され、空中で着火する。そのあと、
攻撃魔法はオトコノコのロマンだから、幼いころオルゲン一座のトマタさんに、せがんでお話してもらった覚えがある。マヌーも知ってた。フレーメが経験談で裏付けしてくれた。僕自身も目撃してるぞ。ハノーバでフレーメが鬼ごっこをした時、冒険者が炎の魔法を使ってたのを僕も見てる。確かに、あいつらの手元で火の玉が一瞬だけ現れて、それが赤毛娘めがけて飛んでったんだ。
あれっ?
4.何もコントロールされないと、その一瞬の時間が過ぎた直後に、込められていた魔力が全部パワーに変換され、
「なあブ
「自分でよく判りませんが、とにかくこの悪いモノをすぐ何とかしなきゃ、と思ったんです……ご主人さまのために」
5.この魔法陣と魔力持ちを
6.最終実験だ。例の怪しいヤツらや他の乗り合い馬車が来てないことを確認し、適当に開けた場所で馬車を止める。目標は20メートルくらい離れた崖の岩肌。魔導糸を繋げた初号機を道端の切り株の上に置き、僕らは5メートルほど離れた馬車の後ろに避難する。
「対ショック、対閃光防御!」
「……たいしょく? ニャんだって?」
「
僕はブ
バシュ! ボッ!
撃ち出されたガス弾が着火する!
「目標、あの辺!
ゴオォォォッ!
すっ飛んでいった火の玉は、見事、岩肌に当たり……
ドカーン! オンォンォ……
派手な音を立てて爆発した!
冬の空にコダマが響きわたった。
バサバサバサッ……
続いて、近くの森から、驚いた鳥たちが飛び立った……
成功だあっ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます