第二巻 発進編
命の次に大切なモノ
ぶっつけ本番&グロッサリー ※本編と第二巻表紙絵と用語解説(第一巻まで)
https://kakuyomu.jp/users/ibarikobuta/news/16817330651661982674
俺のサイズは18センチ。定規で計ったことがあるから間違いない。素の俺は、同じ身長のネズミに負ける。もし階級別の格闘技が
でも……
ドスッ!
「あぶねーっ!」
頭をかすめて、俺のすぐそばにクロスボウの
ちぃっ……馬車の側面にも装甲板を貼っときゃよかったぜ!
撃ってきたのは馬に乗った盗賊団。少なくとも3人組。道路の雪と泥を蹴散らして、俺たちが乗ってる馬車に並走して攻撃してくる。吹雪のなかとはいえ、真昼間からお盛んすぎるだろ!
待ちぶせを想定してたんだけどな~
ガガン!
馬車の車輪のあたりから、何かが激しくぶつかる音がした。たぶん木杭を投げられたんだ。そうそう上手くはいかないと思うけど、もしスポークに絡まったら車輪は大破、馬車は横転、そして……
「クライン、どうするニャ!?」
俺の数少ない友人のひとり、ケットシー族のマヌーが、猫顔の牙をむき出しにして俺の名前を叫んだ。続けて、あどけない顔に緊張を走らせた美少女、ブ
「ご主人さま、アレを撃ちますか!?」
革の首輪をつけている彼女は、小さな俺を守るために細い身体を低くしていたが……
ザシュ!
「あ」
それでも、飛び込んできた矢が彼女の頭を貫いた! 衝撃でその緑色の髪と笹のような長耳が揺れ、緑色の瞳の光が、すうっと暗くなる……!
差別されるジンセイを歩んできた忌み子、ゴブリン族の突然変異でニンゲン族の美少女の姿を持つブ
ああ……
そう言えば、まだこの
言うだけ無駄だと思ったけど、それでも俺は、彼女に声をかける……
「大丈夫か!? ブ
血まみれの美少女の頭からシュウシュウと音がしたかと思うとポンと矢が抜け、VTRを逆再生したかのごとく弾け飛んだ血肉が傷に吸い込まれたかと思うとすぐ傷そのものも消え去り、ふたたび瞳に輝きを取り戻した彼女は身を起こして言った。
「はい! 大丈夫です!」
ハッカイ族でもないのにハッカイ族の刺青が入ったその白い顔に、気丈な微笑みを浮かべて、ブ
自動回復魔法。
膨大な魔力を持つ者だけがまれに授かる魔法だ。これでこの
おっと、グチなんかこぼしてる場合じゃないぞ。この程度の、牽制にすら魔法を使わない(多分使えない)程度の敵なんかちょろっと撃破できなきゃ、ハイエルフどもから義妹のリーズを取り戻すことなんかできやしない。
「マヌー! ドクロの指輪と紐つき袋を出してくれ!」
「ほいニャ!」
ダチのデカ猫は、まったく迷いなく指定通りのアイテムを用意して、俺に投げつけた。こいつ、アドリブも効いてスゲー頼りになるんだよな。俺は指輪を掴んで袋に潜り込み、顔だけを出してブ
「俺をフレーメに渡せ!」
「はいっ! お気を付けて!」
客席と御者台の間にある小さな扉を開けて、ブ
「フレーメ、プランCだっ!」
「はいいっ、ぷらんしーだねっ!」
彼女はブ
「
小柄な身体にパワーが満ち溢れ、その赤毛がぶわっと逆立つ姿が、袋の粗目から透けて見える! 吹雪のなかを走る二頭立て馬車の御者台で、フレーメはすっくと立って振り返り、白い息を吐きながら追いかけてくる盗賊団を睨みつけてニヤリと笑う。馬上のヤツらはいったんクロスボウでフレーメを狙ったが、下卑た薄笑いを浮かべて武器を降ろす。高く売れる獲物を傷つけたくないんだろう。
もっとも今のフレーメは、クロスボウの矢なんか叩き落とせるけどな!
赤毛の美少女は、厚手の冬服でもはっきりと判る爆乳を揺らし、俺の入った袋をぐるぐると振り回す。当然ながら、ものすごいGが俺にかかる。宇宙飛行士の訓練かよ!
く、苦しい……
そうだ。素の俺は弱い。練習したとは言え、この程度の負荷で死にそうになる。
俺がネズミならもっと耐えられるだろうけど、それじゃネズミが苦手なこの
でも……!
プランCの打ち合わせ通り、フレーメは俺を敵に向かって投げつけた! 盗賊は一瞬だけ
俺は弱い。小さい。
でも、俺には仲間がいる。
そして……さらに。
空中を矢のように飛びながら(飛ばされながら)、俺は呪文を叫ぶ。
「
さらに、俺には不思議なちからがある。
こんなふうに!
変身!
ぱんっ、と袋は弾け飛び、同時に妖精のコスが身体を覆う。
ほとんど重さの無いあたしは、羽根を広げて急ブレーキ!
目の前の盗賊どもをビシッと指さす。
「
……で、そもそも、なんで。
こんなことになったか、と言うと。
話は、少しだけ時をさかのぼる……
【 第一巻終了時点の用語解説 】
これまでの話のネタバレあり。この回を第一巻の本編より先に読みたいかたはご注意を。ここまで続けて読んだけど記憶力に自信あるかたは読み飛ばしても損はない。長いし。
ストーリィに関係ない日用品やフレーバーな言い回しは省略してる。
メタな表現は笑って見逃してくれると嬉しいな。順不同だぜ!
***キャラクター***
『クライン』
身長18センチ、体重60グラムの俺のことだ。たぶんニンゲン族。数えで(みんな数えだけど)15才の男。前世はオタクな日本人、でも個人情報は覚えていない。異世界転生なら魔法使いとか貴族に……いや、せめてフツーの身体に生まれたかったなあ。だけど、絶対大きく生きてやる!
『ヒト族』
地球でいう「人類」と「亜人」も含めた、この世界「ナッハグルヘン」の社会を営む知的存在のこと。ニンゲン族、ゴブリン族、ハッカイ族、ドワーフ族、ケットシー族、スクワラ族、その他にも俺がまだ見たことのない種族がいると聞いている。種族的な特徴はあるけど、寿命はそんなに変わらないそうだ。ちなみにフェアリーとハイエルフはヒト族にはカウントされてない。
『リーズ』
俺の義妹、6才、ゴブリン族だけど可愛いブ
『ブ
俺が買った特職の14才。カネでオンナを買ったことをゴマかしたりなんかしないぞ。憂いのある緑の瞳、透き通るような白い肌。さらさらの緑色の髪(すべて
『フレーメ』
俺が買った特職の16才。ニンゲン族の小柄な美少女。もと
『マヌー』
ケットシー族の親友。17歳の男で、身長はリーズと同じぐらい。俺と同じくオルゲン一座の元メンバー。見た目は立って歩くデカ猫だ。他にも猫っぽい特徴がある。こいつが旅についてきてくれなかったら、たぶん俺はもう死んでる。ケットシー族にあるまじき清潔好きで、浄化の魔道具を愛用してる。こら、また勝手に使ったな!?
『ゴラズとブリナ(故人)』
ゴブリン族の夫婦で、オルゲン一座の裏方だった。リーズの実の親。俺の義理の親でもある。ホントの親には会ったことないけど。全身が緑色で小学生高学年並みの身長、老け顔、笹耳、ニンニク臭いといういたってフツーのゴブリンだ。このヒトたちが赤ん坊の俺を拾ってくれなかったら、そして小さなニンゲン族だと認識してくれなかったら、ニンゲンの俺は今ここにいない。
『オルゲン』
解散したオルゲン一座の座長。だった。おカネ大好きニンゲン族。口ひげを生やしてる。ときどき紐付き眼鏡をかける中年。このヒトの考え方に、俺はけっこう影響されてる。センベツにたっぷりおカネをくれた。そのカネってもともと俺が稼いだようなもんだけど、それでも、くれた、と思ってる。そのカネで特職を買ったんだ。
『ドロシィ』
オルゲン一座の元メンバー。ニンゲン族の太ったオバサン(失礼!)。占いオババという役作りのために年寄りメイクをしてる。俺とリーズの読み書きの先生。この人の知恵と贈り物のドクロの指輪がなかったら、ハイエルフどもと渡り合うことなんかできなかった。
『火吹きのサム』
オルゲン一座の元メンバー。ハッカイ族でスキンヘッド、茶色の肌に茶色の髪の大男。俺にとっては歩く山脈だ。顔には由緒正しき?サンゲント家の刺青がある。その家紋が入った刺青針をもらった。無口なほうだけど頼りになるヒト。
『トマタ』
オルゲン一座の元メンバー。ニンゲン族の男性で、チャラい感じがある手品師。「もと宮廷魔導士」の二つ名があるけど、ホントかよ。俺の魔包リュックはこのヒトに作ってもらった。他にも手品グッズの特製コインをくれた。マヌーの師匠だ。
『ヤビ(故人)』
オルゲン一座の雑技チームのひとり、だった。ハイエルフのクラーニヒに惨殺されたけど、それは自業自得だと思う。他の一座のみんなには感謝してるし、いつかまた会いたいと思う。でも、こいつだけは生きてたとしても、たぶんそう思わない。
『エレナ』
ツーフェ町のクロス教会付きの
『コテナン・コティングリー(コテコテさん)』
王都のクロス教会聖官。若いニンゲン族の男性。金髪で高身長、聖究院とかに所属してるエリートなのに残念イケメン。このヒトのおかげで俺は自分が何者か少し知ることができたし、
『
伝説の存在。大森林の奥に住むという、羽根のある小さな美少女だけの種族、と、されている。イタズラが好きらしい。領都ハノーバじゃ大量の目撃情報があったとウワサで聞いたけど、それって俺の
『
心臓の替わりに魔石を持つ、邪悪な生命。様々な種類がある。街、教会、乗り合い馬車、伝書鷹には魔物除けの結界が備えられている。魔石を取るための資源とも見なされている。ツーフェ町の教会で俺が戦ったネズミ系モンスターは、名前がないほどの雑魚らしい。はあ……俺yoeee!
『伝書鷹』
伝書鳩じゃなくて伝書鷹。ナッハグルヘンの高級郵便係。ハイエルフや金持ちが使ってる。地図と取り決めた香水だけの指示で手紙を届ける利口者。危険な魔道具に込められた悪意に敏感なので、長距離ミサイル替わりには使えない。……あれ、ハイエルフは凄い技術を持ってるはずなのに、なんで電話とかWifiとかないんだろう?
『美しきハイエルフ様』
ナッハグルヘンの実質上の支配種族。俺は実際のハイエルフはふたりしか見たことはないが、話に聞く限りヤツらはすべて金髪の超絶的美形で、ポリコレな台詞ばかり言うが中身はクソのようだ。超絶的な魔道具を使いこなす。それにしても……なんで他の人はあんなクソどもを「美しきハイエルフ様」なんて必ず尊称で呼ぶんだろう?
『クラーニヒ・パラディースアウフ・エールデン』
ハイエルフのひとり。金髪の超絶的美形で、男か女か判らない。もちろん中身はクソだ。
『ヴァイスラーベ・パラディースアウフ・トゥルム(たぶん故人)』
ハイエルフのひとり。金髪の超絶的美形で、男か女か判らない。もちろん中身はクソだ。ハノーバの白い塔の管理人であり、
『
ハイエルフの手下。赤い仮面と赤い騎士の装備をつけてる。たぶんニンゲン族のサイボーグ、だと思う。ものすごーく強い。
『
ハイエルフの身の回りの世話をするメイドさん? 俺は会ったことないけど、ニンゲン族で白銀の仮面をつけているそうだ。
『冒険者』
反社の連中。「冒険者ギルド」という組織ぐるみで不運なヒトを食いものにしてる。ハイエルフとつるむときがある。いわば社会の寄生虫ども。必要悪? うん、そうだね、地球の研究では寄生虫も人間の役に立ってるそうだしね。寄生虫さんゴメン。
『トンマス』
誰だっけ?
『リンゴ(リンゴ画伯)』
俺はこのヒトに会ってないはず。名前からするとゴブリン族かな?
『アインガン』
ハノーバの特職商人。ニンゲン族の男性。顎ヒゲをたくわえているが、意外と若いかも? このヒトが俺の担当になってフレーメとブ
『ヤクト』
ハノーバの特職ハンター。ハッカイ族の男性。粗暴だけど頭は回る。特職ギルドのキーマンで、こいつの意見はギルド長も逆らえないみたいだ。俺の最低な願望を暴いてくれやがった恨みがあるけど、こいつの働きのおかげでハノーバの人たちは助かったんだよな。
『数字で呼び合う者たち』
会ったことはないけど、たぶんハイエルフに対するレジスタンス。ハイエルフは俺がこのメンバーだと勘違いしてるようだ。俺が使ってる魔道具のいくつかは、このヒトたちが追い詰められてツーフェ町の教会に隠したモノだ、と思う。パクってごめん。このヒトたちといつか合流したい。
『ゴーレム使いとドール・マスター』
小耳にはさんだ程度のネタだけど、いちおう並べとく。ゴーレム使いはゴーレムを造って操作する職業。ドール・マスターはその最高位で、ヒト族そっくりのゴーレムを造れるらしい。スゲー! そんなヒトいるのかね。
『イチワリとナンバー18』
イチワリは、ハイエルフと特職ギルド相手に名乗ったときの俺の偽名で、敵も味方もみんな偽名って知ってる。そのイチワリはハノーバで死んだことになってる。ナンバー18は、ハイエルフが俺につけた名前もしくはコードナンバー。
『
半分冗談で思わず口にしたことのある、出まかせのキャラクター。
『黄金の球体』
どうやら俺を見守っているらしい謎の存在。なんで? 壁を通り抜け、空を飛ぶ、バスケットボール大の透けた黄金の球体。こいつのアドバイスのおかげで俺は命拾いした。その正体は、たぶん……
***地理***
『ナッハグルヘン』
この異世界の名前。この世界のヒトにとっては地球や日本のほうが異世界だ。ここはファンタジー・ゲームじみた世界だけど、宇宙全体じゃこいう世界のほうがフツーかも知れない。前世にいた作家とかゲーム開発者とかは、ここみたいな世界の記憶を少しだけ持って地球に転生したのかもね。
『フリューゲル王国』
俺が今いる国。オルゲン一座はこの国と近隣諸国を巡業してた。この国の王都はずいぶん栄えているそうだ。いつか行ってみたいな~
『アベルク町』
俺が謎パワーを初めて感じた田舎町。
『ツーフェ町』
あらゆることが始まった田舎町。詳しく言うとキリがない……
『大森林』
森も林もそこらじゅうにあるが、あえて「大森林」と言えばフリューゲル王国と隣接している、魔獣や魔物やフェアリーが住むと言われる危険な謎の地域だ。
『
小さな町や村にある小さな教会。たいていはクロス教の施設だ。小さくても、礼拝堂、賽銭箱、洗礼盤、「真実の顎」があるのがフツー。オルゲン一座のような「教会寄りの芸人」は教会に売上げの一割を寄付することで、その敷地で上演することを許されてる。
『ザルギッタ村とキッキリキ亭』
どこだっけ?
『領都ハノーバ』
フリューゲル王国領土のひとつ。領主様とかいるはずだ。会ってないけど(俺ってホントに異世界モノの主人公?)。いくつもの街が集まって都となっている。貴族街があり、その中心に白い塔がある。この都の南地区には特職ギルドや冒険者ギルドがあり、ネズミ大脱走やら避難やらの騒ぎが起きた(起こしてしまった)場所だ。
『白い塔(
白い塔だろうが
『ダンジョン』
俺は話に聞いただけだが、いわゆる迷宮。宝箱でヒトを呼び寄せ、罠と魔物でその命を食らう生き物。地球のチョウチンアンコウみたいな性質なのかな。たいてい郊外に生まれる。最奥にはダンジョン・コアがあり、これを完全に破壊するとダンジョンは崩壊するそうだ。また、クルったコアがまれにスタンピードという魔物の津波を引き起こすと言う。
『ブルーダの月とシュベスタの月』
この世界のふたつの月。ブルーダのほうが大きい。よく神話やおとぎ話の舞台になるが、もちろん行ったヒトはいない、と思う。
『パラディースアウフ・ヒンメル』
俺の最終目的地。ハイエルフどもの本拠地で、きらびやかな空中都市らしい。ガリバー旅行記のラピュータとか、天空にある竜宮城みたいなトコか。リーズはここにいるはずだ。吟遊詩人に歌われるような伝説の都だけど、空のどこかに実在してる。物流とか考えると、行く方法はきっとあるはずだ。でも……いったい、どうやって?
***不思議アイテム***
『特効薬』
回復薬、ポーションとも言う。浅い傷なら振りかけるだけで直す魔法薬。飲んでも良い。当然、効果が凄いモノほど希少で高価格。
『魔道具』
魔力を消費して、不思議なちからを発揮する、魔法世界ならではのアイテム。魔道具には「魔付ボタン」という外付けの魔道具がついているモノと、道具本体が魔道具のモノがある。魔付ボタン単体でも機能するモノもある。さらに、アイテム使用者の魔力を使うタイプ、魔石をバッテリーとして使うタイプ、空気中の魔力を使うタイプがある。当然、高性能なモノほど高価で希少だ。
『魔石』
魔物の心臓。魔道具のバッテリーとしてよく使われる。クズ魔石を固めたものは「人造魔石」と呼ばれていて、庶民が使うのはこちら。強力な魔物の魔石は、質のよい莫大な魔力を秘めている。クズ魔石のほうは、それなり。魔石は魔力の残量で色が変化する。やり方によっては充電可能。
『魔法陣』
魔道具のコア。見かけは、非常に複雑な丸型の印影。陣を描く対象は紙でも板でもいいけど、魔法やまたは魔法のインク?とかを使って描く必要がある。重ねて使う(多重魔法陣とでも言うのかな)と、高機能になるらしい。魔法陣を大きく描くことができれば複雑なモノでも簡単に作れるはずだけど、そうすると凄い熱が出て自壊しちゃうんだよな。
『真実の
主に教会に設置されている、真偽判定の魔道具。外見は狛犬に似ている石像。利用者はお布施を払い、被判定者は(判定されるヒトは)その口に手を入れて発言する。もし発言が嘘だと、石像の目は赤く光り、その口が閉じて被判定者は大ケガをすることになる。ただし、被判定者が発現の内容を真実だと信じていれば、嘘だと見なされない。そうでなかったら絶対の真実の発見マシーンになっちゃうもんな。また、被判定者が書いた文章を誰かが読み上げることでも使用できる。そうでなかったら喋れないフリをするヤツを判定できないもんな。
『真実の
あれ「真実の
『ドクロの指輪』
ドロシィさんからもらったレア魔道具。どんなものにも思っただけでカラーの絵や字を描き、消すことができる。ただしその上手さは手で書いたときと同じ。効果範囲は1メートルぐらい? たぶん他にも効果的な使い方や、逆に制約なんかもあるだろうけど、まだ確認していない。
『魔包グッズ』
魔法の入れ物。いわゆるアイテムボックス。この中に入れたモノは10分の1の大きさに縮み、固さも重さもそれなりになる。生き物も入れることが出来るが、命あるものは縮まない。庶民にとっては高級時計並みに高価だけど、持ってるヒトは持ってる。容量が倍になると価格は10倍以上になるそうだ。魔力のない素の俺でも使えるから、たぶん空中の魔力を使用するタイプ。財布、ポーチ、バッグなどの種類がある。俺も魔包リュックを持ってるぜ!
『魔法小麦』
広大だけど簡易な結界内でのみ育ち、三期作可能、肥料は糞尿そのまま、根は地下水脈に届き、常に豊作という、なんか色々とすごい穀物らしい。天然小麦より不味い。庶民の食い物。
『火付けの魔道具』
この世界の日用品。使用する人造魔石のほうが高価格。これ以外にも日用品としての魔道具がある。
『ハイエルフ・ジャマーの魔付ボタン』
ツーフェ町の町教会に隠されていた魔付ボタンのひとつ。確実に超レア・アイテム。持ってるだけで、ハイエルフとあいつらの使う魔道具や眷属の知覚や認知を
『ラット・ジャマーの魔付ボタン』
ツーフェ町の町教会に隠されていた魔付ボタンのひとつ。確実に超レア・アイテム。持ってるだけで、ネズミの知覚や認知を
『選別の指輪』
ツーフェ町の町教会に隠されていた、リーズを昏睡させた上にその髪を金髪に変えた、謎の魔道具。確実に超レア・アイテム。これを装備した(できた)せいでリーズはさらわれたらしい。その理由はリーズがハイエルフどもの「女王候補」だからとか。どういう意味なんだ?
『クラーニヒのストッキング(片方)』
クラーニヒのとこからパクってきたゴミのひとつ。魔道具ではないけど、ナッハグルヘンにおいてはスーパー素材の極細糸で編まれている。誰にも話していないが、ちょっといい匂いがするのが何だか悔しい。
『
ハイエルフが使っているアクセサリー型の魔道具。見た目はメタルの薔薇。魔力を流すと、あたりのヒトやモノを浄化する。トイレ代わりにも使用できるけど、腸内菌がどうなるかは不明。俺が持ってるのはクラーニヒのとこからパクってきた花部分だけのモノだが、ちゃんと機能する。
『白銀の腕輪』
ハイエルフが使っているアクセサリー型の魔道具。うっかりクラーニヒのとこからパクってきてしまった厄いアイテム。たぶん現在はハイエルフが火事あとから回収したんじゃないかな。事件を無かったことにするくらいだから。これには選別の指輪と同じく、いわゆるGPS機能があるようだ。あれっ? なぜこんな機能があるのにハイエルフには無線技術がないんだ?
『水を造り出すコースター』
ハイエルフが使っているコースター型の魔道具。クラーニヒのとこからパクってきたアイテムのひとつ。コースターの上にコップを置いて魔力を流すと、コップの中に一杯ぶんの清浄な水が湧き出る。故障していたが直すことができた。
『
白い塔の先端に格納されている大量破壊兵器。使用時には巨大な花びらのようなカバー(盾とも呼ばれる)を開いてその姿を現す。花の雄しべに似た迎撃砲と、雌しべに似た主砲がある。主砲から空中の魔力を大量に吸い込み、強力な攻撃魔法を発射することができる。そのパワーは数発でハノーバを灰にする、と思う。発射をコントロールするためのコンソールが砲の直下の部屋にある。
『
アインガンさんが俺のために拾っておいてくれた、かの兵器の破片。たぶんファイヤー・ボールの魔法を放つことが可能だと思う。直せれば。
『ゴーレム』
ナッハグルヘンにおける魔法ロボット。馬型とか鳥型とか、動物のカタチをしているのが普通。でも人型もあるらしい。思えば白い塔のコンソールも一種のゴーレムだったかも知れない。
***魔法とスキル***
『
基本的に地球の「ミーム」と変わらないけど、この魔法世界では物理現象を捻じ曲げるほど強力だ。このパワーのおかげで俺みたいな小人でも実在できる。なぜなら、それなりの数のヒトが信じるミームとして、俺みたいな存在がありうるからだ。それがもし無かったなら……俺は俺にとって10倍の波長の色や音を、前世の認識と同じように感じるはずはないし、もっともっとキィキィ声のはずだし、密度のズレがあるからオッパイ弾力を気持ちよく感じるはずはない。地球のフィクションの小人って、そこらへんどういう設定なんだろう?
『変身』
『
『ネズミ魔法』
『道具への変身能力』
ガ〇プラ
『真・変身』
『小さいという魔法』
たぶん、ナッハグルヘンで俺だけが使えるスキルだ。ドクロの指輪を使って魔法陣を修理したり複製したりする能力のこと。これだけが、俺の本当の実力と言えるだろう……!
『自動回復魔法』
膨大な魔力を持つ者だけがまれに授かる魔法。あらゆるケガや悪い状態を負ったとき、一瞬で健康な状態に回復する超魔法。
『
身体能力を爆発的に強化する魔法。誰か(何か)への攻撃に使用すると(そう自分が意識すると)一瞬で効果が切れるが、それ以外に使用するなら50まで数えられるほど長持ちするそうだ。フレーメはこの魔法の使い手。
『それ以外の魔法』
ナッハグルヘンはゲーム・ファンタジーじみた魔法世界だから、当然それなりの魔法が色々ある。でも、そのほとんどを俺は実際に見たことがない。たいていは呪文を唱えて使う。もちろん、魔法が使えるという才能は珍しい。
***その他の
『ブ
ナッハグルヘンの差別用語。ゴブリン族の突然変異で、ニンゲン族の白い肌の美少女の姿を持つ忌み子の呼称。ブ
『特職』
いわゆる奴隷のこと。ハイエルフが名称を変えさせたそうだが、別に奴隷を助けたりはしなかったそうだ。ただ名前に文句をつけただけの言葉狩りだ。まあ、醜いハイエルフどもがやりそうなことだぜ!
『輝き』
いわゆる神様のこと。ナッハグルヘンで最大の宗教団体の「クロス教会」が崇めている、もっともポピュラーな神様。フツーに「神様」とも言う。またこの世界には他に、マイナーな宗教やら道祖神やら神話もフツーにある。
『
職業としての
それから、
『弁当』
ナッハグルヘンの差別用語。探索者パーティがダンジョンに連れて行く特職の娼婦のこと。生存技術を教わっているので、それなりに強い。用済みになって特職ギルドに売り戻された者は「出戻り弁当」と呼ばれた。フレーメがそうだ。いわゆるビキニ・アーマーのような露出過多の鎧モドキを身に着けている。というか、ビキニ・アーマーを着てたら「弁当」に見られるのがこの世界の常識。その職としての歴史は古い。地球でも十字軍の時代に弁当の起源と同じ状況の娼婦たちが実在した。実在しちゃったんだからしょうがない。もし、露出過多の異世界美少女がナッハグルヘンに転移してきたら、弁当と呼ばれて差別を受けるだろう。差別されちゃうんだからしょうがない。
『探索者』
ダンジョンや遺跡にお宝を求めて忍び込むイカレた連中。男ばかりなので、探索中に女が欲しくなったとき(命がけだとそうなるときがあるという話だ)のために『弁当』を、いや、
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