高校時代


高校2年生の頃。

これまた家庭科の授業で、今度はキュロットパンツ(ふわっとした短パン)を作らされるハメに。いつものごとく誰かを買収しようと試みたが、いかんせん時期が悪かった。提出期限は明日なのに、徹夜でキュロットパンツを作ってくれる殊勝な友などいない。


そこで部活の先輩に相談したところ、


「あ、じゃあアタシが作ったやつ貸してあげるよ」


という、なんともナイスな提案があった。さすがだ。持つべき友は機転の利く先輩に限る。



翌日。先輩から受け取ったパンツは実に見事な出来だった。


(あの人、見た目によらず縫い物とか得意だったんだ・・)


そしてわたしは、提出期限ギリギリで課題をクリアした。



その日の放課後、家庭科の先生に呼び出された。――そういえば、こんなこと過去にもあったな。などと思いながらも職員室へ入ると、


「あなた、これ3年の××さんの作品でしょう」


なんと、見事にその先輩の名前を言い当てたのだ。――どういうことだ?名前でも書いてあったのか??


「彼女の作品ね、あまりに素晴らしかったからよ~く覚えていたのよ。こんなにキチンと作れる生徒は、ここ数年見たことなかったからね」


――しまった。もっと無難な先輩を選ぶべきだった。







あの頃、冒頭の友人のショップがあれば、わたしは先生に怒られずに済んだだろう。

時代に翻弄された、というわけだ。

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時代の不寵児 URABE @uraberica

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