中学時代


中学何年生かの頃。

家庭科の授業で「ミシンを使ってエプロンを縫う」という授業があった。わたしはできれば男子が受けている技術系の授業がよかったが、その当時は選択の余地などなく、女子は裁縫や料理を強制された。


もちろん、そんなものを作るはずもないわたしは隣りのクラスの友達に金を払い、わたしの分のエプロンを縫ってもらった。


友達は、自宅にある高度な技術が組み込まれたミシンを使い、それはそれは立派なエプロンを作りあげた。その出来栄えに満足したわたしは、意気揚々と家庭科の先生にエプロンを提出したのだった。



するとその日の放課後、家庭科のババァ、いや先生に呼び出された。――まさか、友達に頼んだのがバレたのか?


「URABEさん。あ、あなた・・・」


そう言うと、ババァは言葉に詰まった。心臓発作か?と心配したとき、


「あなた、やればできるじゃないの!こんなにも素晴らしい作品が作れるなんて、先生、あなたのこと不真面目でやる気のない生徒だと勘違いしていたわ。心の底から謝るから、どうか許してちょうだい!」


そう言うと、オイオイと泣き始めた。



――まぁまぁ先生、そんなに泣かないで。誰にでも勘違いはあるんだから、許してあげるから気にしないで。さぁ、涙をお拭きなさいよ。

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