第6話 とりっくおあとりーとなっしんぐ?
なんで? なんでなんでなんでなんで??
え? どういうことーーーーーーーー!!
俺は、昨日よりさらに五分早く起きた。朝起きると、おおあわてで支度をして、速攻で制服にきがえてカノの家に行ってインターホンを鳴らした。
ピロリン♪ ピロリン♪ ピロリン♪
ほどなく、インターホン越しに声が聞こえる。
「はい!」
「俺だけど」
「いまいく!」
そう言って、インターホンはきれた。インターホンにでたのは妹のキノちゃんだった。まあいいや、玄関でカノをよんでもらおう。
ガチャリ
「よくきたな」
「カノは?」
「がっこういった」
「え? もう出かけたの? なんで??」
「ししゅんき」
思春期? まだ3歳のキノちゃんがなんでそんな言葉をしっているのかわからないけど、とりあえず避けられていることはわかった。きのうの出来事を、ガッツリ意識していることはわかった。
なんてこった。
おれは、キノちゃんに挨拶をすると、あきらめてひとりで登校することにした。
そしたら、よりにもよって、
「おはよう、
ミナミ先輩に出会ってしまった。
「おはようございます」
俺は、ミナミ先輩と登校することになった。なんで、きのう、おつきあいをお断りした人と一緒に登校しているんだろう。
「彼女とはうまくいってる?」
「いえ。なんだか、ややこしいことになっちゃって……」
俺は適当にはぐらかした。
まさか、風呂場がカノの家の風呂場につながってた。なんて言えないし、そしたら。
「きのういってた、おねーさんのイタズラ?」
ミナミ先輩は俺の悩みをズバリと言い当てた。すごい。
「はい。そのおねーさんのイタズラで、俺ん家とカノ……あ、彼女の名前です。で、その……俺ん家とカノの家の風呂場がくついちゃって……その、ハダカを……」
「見せ合いっこしたんだ。カワイイ♪」
さすがミナミ先輩だ。彼氏がいた先輩だ。ハダカの見せ合いっこをカワイイときたもんだ。てことはもっと恥ずかしい所を見せあったり、ふれあいっこもしたりしてたんだろうなぁ。オトナだ。
オトナのミナミ先輩は、話をつづけた。
「正直言って、そのおねーさんの話はまだちょっと信じられないんだけど、カノちゃんの気持ちはちょっとわかっちゃったかも?」
「え、スゴイ! さすがオトナ!」
「たぶん、わたしが初めて付き合った時とおんなじ悩みじゃないかな……オトナのオンナの直観だけど」
「え? なんですか? お、教えてください! お願いします!!」
「甘えないの。そこは自分で考えなさい!」
ミナミ先輩は、先輩のお友達に手をふった。きのう、録画準備してた先輩と、ミナミ先輩がはいていた勝負下着に祈りをささげていた先輩だ。
「まあ、がんばってね。応援してるから」
ミナミ先輩は、お友達と合流して、先に行ってしまった。
俺は、長い長い学校までの坂道を、ひとりで登った。数メートル前に、ミナミ先輩たちがいる。
このタイミングでおねーさんが現れたら、ミナミ先輩と、録画準備先輩と、勝負下着先輩のパンツを特等席でみれるのにな……そんな、やましーことをかんがえていたのに、おねーさんは現れなかった。それどころか、その日は一日中、学校に現れなかった。
なんで?
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