第58.5話
「ウチのこと……好き……?」
うわぁぁぁぁぁ! やばぁぁぁぁぁいぃぃぃぃぃ! なんか気まずい空気になっちゃってるよぉぉぉぉぉ!
い、勢いで言っちゃったけど、無理無理無理! こんなの言ってるウチの方が恥ずかしくなっちゃうじゃん!
こんなの……! こんなのって……!
耐えられないよ!
「あ、あぅ……」
「あぅ……」
さっきと同じオタクっちの反応。明らかに動揺している様子。いや、動揺というか、困惑。そのせいでウチも挙動不審になってしまう。
ヤバイヤバイヤバイ! 今すぐに逃げ出したい! 答えなんか聞かずに、ただひたすらに恥ずかしさを抑え込んでしまいたい! 顔を合わせたくない! 顔を合わせでもしたら、確実に表情で悟られてしまう!
『あ、これ、ガチで聞いてきてるやつだ……』
って。
逃げたい逃げたい逃げたい! 帰りたい帰りたい帰りたい! 何も聞きたくない何も聞きたくない! 何も言わないでほしい何も言わないでほしい!
「あ、あの……」
何も言わないで! なんでそんなこと聞くの? とか、逆に聞き返してこないで!
「なんで、そんなことを……?」
予想的中。ウチは一気に窮地に立たされてしまう。誤魔化そうと思っても、どう誤魔化すべきなのか、いい言葉が見つからない。いい理由なども、一つも頭に浮かばない。
もっともっと気まずくなってしまう。苦しい。オタクっちは頬を赤くしながらも、それは真剣な質問だというのに……。ウチはというと、必死になって今の状況を打開しようとしている。
どうにかしなければならないのは分かっている。その真剣な質問には、しっかりと答えなければならないのは、分かっているけど……。でも……。
恥ずかしさで死にそうだよぉ! 無理だよ! もう無理だよ! 何も言えないよぉ!
「え、えぇ〜? そ、そんなに不思議なことだったかなぁ〜? オタクっち、マジになりすぎでしょ〜」
「……マジにもなるさ。あんなことを聞いてくるなら、まぁ……『そういうこと』だと、思ってしまうし……。期待もしちゃうよ……」
「……」
バレてる? もうすでに積んでる? 終わってる?
き、ききき、期待って、そういうことでしょ? オタクっちの言う『そういうこと』って、ウチがオタクっちのこと……ってことでしょ?
顔が赤くなっていく。体温が急激に上昇した。体が耐えきれなくなっているのか、少しふわぁっとなってしまう。
ヤバい。ヤバイヤバイヤバイ。ただからかおうとしてただけなのにぃ……! なんでこんなことにぃ……! 墓穴を掘ってしまうなんてぇ……!
もう白状すべきなのか。全部全部、想いを告げてしまおうか。どうしようか。
好きだということ。好きで好きでたまらないこと。この夏休み、ずっと会いたかったこと。会えなかった分、ハグをしたいこと。
全部。全部。でも……。
———喉元まできてるのに……不安になって、言い出せない……———
「ウ、ウチはね……!」
出ない。出せない。代わりに、反対のものが出てしまった。
「そ、そういうことを言ったんじゃないの! あ、あははー……。な、何言ってるの、オタクっち……?」
「え?」
「ウチが言ってるのは、そういうマジなことじゃなくてさ、その……なんというか、フレンドリー的な感じのことだよ! ほ、ほら! か、可愛いとかって言ってくれるからさ、好意的には思ってくれてるのかなーってね!」
「あ、ああ……。そういう……」
「うん! オタクっちはどうなのかな?」
「いや、まあ、それは……」
「あ、店長さんが呼んでる。ウチ行ってくるね!」
嘘をついて、その場をすぐに離れた。流石にその嘘は、苦しい。
「分かんないよ……僕……」
もう、何も聞こえないくらいに、緊張していた。
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女の子視点やっぱり難しい。下手くそですみません。
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