《幕間》少女と粛清





「ぐっ・・・ぅ・・・・・」


 暗闇の中、じめっとした湿度の高い風が生暖かく石畳の地面を撫でる。辺り一帯は赤黒く染まり、悪臭が立ち込める。


「うふふふ、あははははは、ああ、邪魔者が入ってノアちゃんを取り逃した時は最悪な気分だったけど、貴方のそんな顔が見れるなんて最高だわぁぁぁぁ」


 ぐしゃっ


「あがっ」


 地面に倒れ、うめき声を上げる人間。その両脚は太腿から先が切断され、左の肘から先は無く、右手の指は大半が爪が剥がされ、ひしゃげている。


「ふふふふ、貴方は絶対に裏切り者だと思っていたわぁ〜ああ、私に貴方を殺させて下さるネメシス様とアーテ様に感謝しないとねぇ〜〜〜」


 べしゃぐちゃっ


「あ、あぁ・・・」


 更に数本の指が手の甲に向かって折れ曲がり潰れる。だが倒れた人間はもう叫ぶ力もなく、僅かに声を上げるだけの人形となっていた。


「うふふふふ、楽しみましょ〜まだまだ夜は長いんですもの〜〜あはははははは〜」


 女の甲高い笑い声。

 その笑い声は闇の中、空が白み出すまで続いたのだった。


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