《幕間》少女と暗躍する者
「ハル=リースリングをセシリア=セントリンゼルトが奪いに来たわよぉ」
「そう。想定の範囲内ね。」
薄暗い部屋の中、机に向かって筆をとっている一人の女に、黒髪の女イザベルが背後から抱きしめながら言った。その表情には残忍さを孕んだ笑顔が浮かんでいる。
「ぐちゃぐちゃに引き裂いて、生きたまま腸を掻き回してやったわぁ。」
そう言ってイザベルはその女の耳元に顔を寄せ、耳朶に舌を這わす。
「離れなさい。気色が悪いわ。」
「あらあら、自分の娘が死んだって言うのに本当に愛情が無いのねぇ。」
つまらなそうにそう言うイザベルに、女は冷たく言い放った。
「愛情に血は関係無いわ。それに私の御心は全てアーテ様のもの。アーテ様の邪魔をするものには私が殺す。それは娘だろうが変わらないわ。」
「つまらない女ねぇ。まぁ今の話は嘘よ。」
部屋の床、大理石の上には、まだ死後わずかしか経過してないであろう死体がいくつも無造作に転がっていた。
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