空想出来る事は起こり得る未来の可能性、ってヤツが本当に来ちゃった話

           




 

(この辺りに登場する主要CAST)

(久々に)



赤城 (♂)… 通算13話にて数か月の眠りについたらしいオトナ耐性の皆無なDT童貞主人公。ようやくこの組織の真の姿に立ち向かう決意が固まった。もうすぐタイトルの意味を回収できそう。(メタァ)


司令 (♀)… 他のメンバーとの関係が段々と明らかになりつつあるがやっぱり一番謎な人物。口内炎の治療で赤城を無自覚に殺しかけた。キャラデザよく見ると巨乳だった。これは絵師とうまの独断である。ナイス。


青沼 (♂)… なぜこの組織に身を置くようになったのかがとうとう明らかになったまじの兄貴。でも真面目な部分とアカン部分のギャップがどうしても大きすぎていまいち赤城からの信用を得られない。現在布団玉にて封印中。


桃井 (♀)… スピンオフで過去が明らかになり主人公交代かとも思われたが、本編では基本的に引き篭もってるため赤城の地位はまたしても守られたのであった。メガネっ子であるが視力はいいダテメガネ。モモの生みの親。


モモ (ュ繧√k?)… 桃井が自身の分身として、そして楽する為に全知識を移植して生み出したスーパーAI。スーパーすぎで色々なところが濃い酸っぱい進化を遂げ、完全に桃井の思惑をぶっちぎった存在になりつつあった。





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『さーて…、じゃあ次、行く?』


 TV画面の中でT字髭剃ヒゲそりでお手入れをしつつモモが聞いてくる。まじなんなのAIって。


「…お願いします」


 対話用マイクに小さく返事をした。


『了解♪』


 キレイさっぱりヒゲのお手入れが完了したモモは、画面の余白に先程筋肉マッスル検索により探し出したもう一つの怪人のファイルを表示させる。

 恐らく " 火 " に関する力を持っているであろうあの子がもし怪人として過去に現れていたとしたら、このファイルの中にその姿が収められている。

 けどさっきの怪人みたいな姿だったらどうしよう…。見分けられるか本気で自信無くなったぞ…。


『アラ…? これは…また…』

「え?」


 ちょっと、不安になるから変なクッション入れないで下さい。


『空間凍結されてるからその瞬間までに報告された画像で綺麗に映ってるのを表示するわね』

「は、ハイ!」


 正座した膝に置いた手が再び無意識に握り締められる。心臓の鼓動が早まるのはどれだけその回数を重ねようとも止められなかった。


『1枚目』


 古臭いブラウン管テレビの球面モニターに映し出されたそれは確かに鮮明な画像ではあったが、残念ながら戦っている味方の後ろ姿によりその姿のほとんどがかぶってしまっていた。場所は…原っぱというか空き地というか…何となく自然が感じられる様な場所だった。


『ちょっと位置取りがダメねこれ。記録用ドローンはアタシと同じようにAIが自己判断で撮影してるハズなんだけど、センスがないわ。AIならもっとアングル攻めて攻めまくって輝かないと!!!』


 アナタみたいなのが増えまくったら戦争になります。お願いだからワンオフ唯一無二でいて下さい。


「レッド、どうだろうか? わずかでも判断できそうか?」


 司令が気を遣ってくれてるのが分かった。


『映ってる部分の解像度上げるわねぇ』


 そして大きく拡大される画像。しかし映っているのは背中側の一部で、後頭部・左肩付近・足元がかろうじて見える程度だ。


「むむ…これだと…何とも…」

「そうか…。見た感じ、これだと男性とも女性とも区別がつかんな。髪はショート、服も性別的特徴が薄く、足元も拡大したこの画像の荒さでは二次性徴での判断が難しい。いずれも中性的でどちらにでも取れる」


 たったこれだけの情報なのに凄いなこの人の着眼点。俺、そこまで色々考えられなかった。


「中性的…」


 記憶のあの子を思い出す。確かに当時、あの子はどちらかと言えば中性的な服装を好み、振る舞いも少年っぽかった。まあ時々スカートだと思ったら忘れてて木に登るとかやらかしてたけど。見てないよ? 見てない。……見てな、い。(大事だから三回)


『中性的…アタシと同じね…まあアタシは超★中性的♥オンナメン(爆)だけど…』


 ホント勘弁して下さい。染色体がにごる。


「これだけしかないんですか?」

『あるっちゃあるんだけど、これだけなのよね』


 ヒトガタ…?


『じゃあ次の画像ね』


 画像が切り替わり───言葉を失った。


「これは…」


 司令も驚愕きょうがくと言ったつぶやきをらす。その光景はなんとも幻想的で、俺くらいの年齢の人間ならばだった。


『目のくらむ様な、とはまさにこの事を言うのかしらね』


 ああ、それは確かに言い得てみょうだった。


「火の、鳥───」


 画像のど真ん中にとらえられたその姿は、神々こうごうしさすら感じる " 翼を広げた巨大な鳥の形をした炎 " だった。一目で分かる。どれだけ圧倒的な存在なのか。

 中心は赤を超えた白い炎。人が決して触れる事の出来ない領域。映画やゲームならある意味使い古された感のあるなのに、そのいずれにも決して当てまる事の無い【災厄】。


「こんなモノと、戦うんですか───戦って来たんですか…?」


 汗が全身から噴き出す。体の末端まったんが冷えきっている。


「そうだ。そしてこれからもな」


 無表情で司令が応えた。


「それが我々に与えられた役割だ」


 無表情だけど、その瞳には深い決意が見て取れた。

 もし俺がここでみんなと戦う道を選べば、この画面の中で戦っていた人達と同じ光景を目の当たりにする日常になる。そしてこの人達と同じように…。


『ん~、後はどれも似た様な画像ばっかりねぇ…』


 モモがパッパッと画像を切り替える。色んなアングルで撮影されているがバッチリ戦闘不能で倒れてる人達がガンガン映り込んでる。

 人がその事実を必死に受け止めようとしてんのに何してくれんだ。ホントKYぶりは桃井さんの分身だよな。


「御友人の手掛かりはつかめなかったか…」


 司令が残念そうにため息をつく。


『あらン…? ちょっと待って、何かしらこのファイル』

「む?」


 表示画像を畳むと、モモがあるデータファイルを代わりに表示した。


『シークレットで隠されてたから気付かなかったけど…アラやだ、破損してるじゃないのコレ』


 シークレットで、破損データ…?

 なんか胸がザワついた。


「モモ、そのデータは修復できそうか?」

『チョロいチョロい。お茶の子サイサイよ♪ 二日酔いヅラで夜戦二日目の勝負メイクキメる方がよっぽど難しいワ❤』


 ごめんなさい、難しい度合いがいまいち分からんです。


「では頼む」

『まっかせなさ~い♪』


 モモはファイルが表示されてるウィンドウに手を伸ばし、そのファイルのアイコンを鷲掴わしづかみにして手元に引き寄せた。







(本編次話【どうしようも無い現実と対峙した時ばかり、人は夢であれと都合のいい唄を歌う】へ続くッ!)







       

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