RPGで敵がパンツマンだった時の勇者はどれだけ複雑な心境だったのだろう
あ、その前に…。
「青沼さんと桃井さんはいいんですかね?」
司令に一応尋ねた。
「問題無い。二人とも
「えっ!?」
あの数の記録全てを!?
…桃井さんはともかく、青沼さんに対する認識をちょっと改めようと思った。普段見せている姿はもしかしたら本心を隠すための演技だったのかもしれない。本気で弟さんの事を想っているんだ。そんなの当たり前だよな…。
グーグー寝息を立てている青沼さんを見て、勝手に駄目な人印象を持ってしまった自分を申し訳無く思った。
「…ムニャ…レッド…お手」
ブッ!(
「…」
司令が
「…オーゥ…エキサイティン…ぐぅ」
エ
…
ぅゎくっさ!!? まじ時間差でくっせ!!!!
~換気タイム~
俺は
もう大丈夫かと判断して
ちょっと邪魔が入ったが改めてTVの前に正座。
青沼さんは再び布団にて封印されし妖怪
「ではモモ、画像を」
『は~ぃ❤』
ドクン、と心臓が大きく震える。ここに来てから何度目だろうか。止まったりしないかな。
モモを
『1枚目』
モモの声だけTVから響く。
映し出された画像はどこかの公園?だった。画像の中心辺りに
「これが…怪人…!」
表の世界の人達は知らない、CGではない世界の姿。ここに来る
『二枚目。グーンと近付くわよぉ』
画像が切り替わる。
確かにズームされたが、濃い砂埃が丁度覆い被さり天然のボカシで邪魔をする。
くそ、ハラハラする!
『三枚目。あ、これハッキリ映ってるわね』
「…!」
いよいよ…。
果たして君かどうか俺に分かるだろうか。
そして画面が───切り替わ…
「……う?」
「…」
……
……
……
……
思考が大分停止してた。
そこに映し出されたのは───
ネクタイをハチマキにしてこめかみで結び、ガスマスクをして、ワイシャツに
極めつけに背中に巨大な
「あ…あぇ……?」
『あ? アラやだ、もしかしてオトモダチ当たっちゃった?』
「怪しいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!???」
当たってたまるかあぁぁぁぁぁぁ!!!!
こんな友達嫌すぎるわ!!!!
『だから " 読んで字の如く、怪しい人 " って言ったじゃない』
そうだけど! 確かに
なんか、こう、違う、そうじゃない!!!
お願い鎮まれ俺の
久し振りに自分の頭をアイアンクローしてしまった。そうだよね、ここってそういう所あるもんね!! 久々だから油断してたわ!!!
「レッド、まさかこれが君の御友人…」
「やめて汚さないであの子の記憶!!」
まじで思い出せなくなっちゃうから!
「うるせえ死ねええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
「ゴメンナサイッ!?」
ズパァァァァンと隣の部屋とを仕切る
あ、でも今回はそのまま引っ込んでいった。怒鳴りたかっただけ?
「ふむ、ひとまずは御友人じゃなくて良かった」
本当に。本当に。
『それにしても
「うむ。特にあの
何言ってるのあんたら。
『あの "
「恐らくは "
いや多分違う、そんなどっかの総隊長のおじーちゃんみたいな意味じゃないです。
ていうかこれ以上芸人殺ししないであげて! なんかかわいそう!
「と、逃走って事は逃げて行ったって意味ですよね!?」
分析大会がエスカレートしそうだから無理矢理会話をぶった切った。
『えぇそうね(シュコー)戦闘開始直後にドローンのカメラが敵の能力の余波を食らっちゃってその後の映像は無いみたいだけど(シュコー)味方に大きな損害無かったそうよ。報告書には…何々…(シュコー)』
画像を画面の外側に押し出して再びモモがフレームインしてきた。ガスマスクをして。
何してんの呼吸不要プログラムさん…。あんたホント自由だな。
『敵対する
まじで万象一切灰燼と為したのかよ。
「敵意が向けられなくて幸いしたな…」
司令の方をチラッと見ると、汗が一筋頬を伝っていた。
俺は改めてまだ自分がお客様思考なんだと思い知らされた。
あまりに現実離れし過ぎていて、それなのにふざけて冗談みたいな空気すぎて。
だけどこの人達は何度も死にかけているんだろう。それがもう既に日常なんだろう。だから笑える。だから怒れる。だから全力で生きてる。嘘みたいな日々を、理解されない世界を。
俺は、どうだろうか。
『マスク飽きちゃった❤』
モモがガスマスクを外して画面外へぶん投げる。
マスクの中で蒸れたのか、横顔にうっすら汗が浮かんでキラキラしている。なんでやねん。
『うふ❤ やっぱりアタシは素顔が一番でしょ、ボーイ?❤❤』
艶っぽい眼差しでこちらを見たモモは…ぉぃ…
「なんで
『アラヤダ! コンチこれマタ失礼しました~★❤』
お願いだからシリアスなままで30分くらいキープしてくれ…。脳がバグる。
(本編次話【空想出来る事は起こり得る未来の可能性、ってヤツが本当に来ちゃった話】に続くッ!)
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