TIPS/コ タ エ ア ワ セ

TIPS 4

           





 そんな疑問よりもまず口にしなければならない事があった。カラカラの喉で、必死に文字を、空気の振動に乗せて捻り出す。


『…アイツが…いなくなった…』


 本当は、その表現だと、だった。




  ◆◇◆◇◆




 昨日のあの様子だと風邪引いてても来そうな感じだったし、さすがに不安になった。

 先生は休んだ理由を知っているだろう。思い切って隣のクラスへと向かう。先生は…いた。

 隣のクラスに入るというちょっとした緊張を感じながら、先生に挨拶をして本題を切り出した。


『先生、あの…』


           


  ◆◇◆◇◆




 責められる覚悟はしたつもりだった。私が傷付くのは耐えられる。

 でも、おばさんは何の覚悟も出来ていない。

 そんな人をきっと傷付ける事になる。

 …それがとてつもなく恐ろしかった。


「はーい。あら桃ちゃん、どうしたの…って、なにその顔!? えっ、血!? やだそのオデコどうしたのよ!!?」

『あ、あの! おばさん、それよりも…その…』


 私は、意を決して紫音のメガネを見せた。


『あの、その…、し、紫音が…紫音が…!』




  ◆◇◆◇◆






「「「 ───それ、誰の事? 」」」











(《TIPS 4 【B】【R】【P】/コ タ エ ア ワ セ》へ続く)






       

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る