メタァのメタってメッタメタのメタだよね。ジャイアンかよ

     





(この辺りに登場する主要CAST)


赤城 (♂)… 普通に毎日を過ごしていた無気力少子化世代の青年。【艦長】改め【司令】に会う事を決心してやって来たのはいいが、会う前に既に死にたいマイレージが2回ほどゲージを振り切ってる。詳しくは前話まで読み返して復習して。


司令 (♀)… 赤城の人生を荒らしに来た…もとい、運命を告げに来た、宇宙戦艦艦長風制服が普段着になりつつある謎の女性。この【謎の】って部分は多分完結まで明かされないかもしれない。メタァ


青沼 (♂)… チャリに乗って現れた、体育会系&人の話を聞かない系アニキ。自称【ブルー】。アイアンクローで自殺を図っていた赤城を捕獲し、連行した。詳しくは前話にて。






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 オンボロアパートの名前は【朧荘おぼろそう】という名称だった。

 大家さんは数十年前からこの皮肉ったジョークを見越していたのだろうか。未来人かよ。

 俺は赤城アラート(前話参照)に従い自宅で自粛しようときびすを返したが、電光石火の動きで青沼さんの腕に捕まってしまい、半分引きられるようにして司令の待つ部屋へと連れていかれている状態だった。

 おかしい…どう考えてもおかしい…。俺がくるっと方向転換した時、青沼さんは背中を向けていて、そして数メートルの距離があったはず…

 

 うん、よし、考えるのやめた!!

 多分完結まで判明しないと思うし!!!(メタァ)


「ほら、ここだぜ」


 青沼さんは自転車を邪魔にならないように共用通路の端っこに右手だけで器用に停めると、俺を捕縛ほばくしていた左手を離した。

 『101』。木目の柄のカッティングがあちこちがれたドアに、プラスチックのプレートでそう貼り付けられていた。

 なんかこの数字の並びって口を大きく開けて泣いている顔文字みたいに見えるよねww

 ああ、俺の事か。泣きたい。(101)

 草と顔文字が脳内で関ヶ原でござるよ。

 青沼さんは俺がそんな愉快ゆかいな思考にふけっている事などお構い無しに、そのいつ壊れてもおかしくなさそうなドアをバコンバコンとノックした。うるせぇ。


「司令ぇぇぇぇぇぇぇ帰ったぜぇぇぇぇぇぇ!!」


 声でけぇぇぇぇ!?


「目立っちゃいけないんじゃなかったんですか!?」(前話参照)

「聞こえたところで誰もツッコまないだろ」


 おかしい奴だと思われてるだけです。


『入りたまえ』


 中から、忘れたくても忘れられないあの声が聞こえた。俺の心臓が大きく跳ね上がった。トゥンク。

 トゥンクじゃねえぇぇぇぇ!! トキメいてどうすんだよ!!

 ああああ今日は絶好調だな心のマサカズツッコミ役! ちょっとビークワイアット   Be quiet   !!


「入るぜ」


 俺は再び気を取り直して警戒を強めた。

 このカモフラージュのためのボロいドア1枚隔てた向こうに、これから俺が関係するであろうと、それらを知るがいる。

 ───建物の外見からは想像が出来ない近未来的なフォルムの通路。

 ───実際の間取りを不思議なテクノロジーで無視した広大な作戦指令室。

 ───巨大なモニター、その前にいくつも並ぶオペレーターのワークチェア。

 ───画面にはリアルタイムで表示される各都市の状況報告。


 まさに秘密組織…!!!


「あれ、かぎ開いてるな。かよ」


 ん?


「あああクッソ、立て付けますますひどくなってやがる…」


 ガタガタガタ。きしむドア。


「そおい!!」


 バコーーーン。開くドア。確かに鍵かかってない。


「き……」

「き?」

「近未来いいぃぃぃぃ!! アナログうううぅぅぅぅ!!! 防犯んんんんんん!!!! 秘密のおおおおぉぉぉぉ!!!!!」


 俺は再びアイアンクローで自分の頭を締め上げつつうずくまった。ついでに " 力 " で自分の脳味噌を沸騰ふっとうさせて死のうかと本気で迷った。


「何言ってんだお前?」


 青沼さんが異常行動を起こした俺の頭にポンと手を置いた。その瞬間———


「うわ! !?」


 俺は突然の事に驚いて我に返った。こめかみを掴んでいた手を、青沼さんが触れた辺りにスライドさせる。

 何もない。れてもいない。かと思ったのに。

 目をパチクリさせながら青沼さんを見る。何かを隠した、でもバラしたさそうな、そんな子供のような笑みを浮かべていた。


「御苦労、青沼君」


 開け放たれた扉の向こうから、さっきよりもハッキリとあの声が聞こえた。反射的にそちらを見る。

 手前から、狭い靴置きの土間、やや広い台所、見切れて分からないが左右に空間、台所の奥に、6畳くらいに見える部屋。

 声の主はその部屋に不釣り合いなサイズのワークチェアに深く座り、足を組んでこちらの様子を見ていた。


「ふ……」

「ふ?」


 普通ううううぅぅぅぅ!! めっちゃ普通やんけえええぇぇぇ!!!

 俺の一世一代のSFファンタジーがああぁぁぁメタァ!!!!


「?? ほら、うずくまってないで上がれよ。ちと狭いけど」


 そう言うと青沼さんは脱いだゴムサンダルをそろえもせずにとっとと部屋の中へ。

 …大丈夫、大丈夫だ俺。二回目だからギリギリ耐えられた…! 二回目が大丈夫なら三回目だって…ブツブツ…。 

 俺は自分自身に怪しい暗示を掛けつつ、生唾をゴキュっと飲み込み、最終決戦に向かう戦士の様な覚悟でその(ダンジョン?)の中へと踏み込んだ。










(本編次話【人類はその日、カタカナ4文字で殺られる事を知った】へ続くッ!)







       

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