第78話 恋人に叱られるのも悪く、、、なかったりするよね?



澪「で、遅くなった言い訳はあるんですか?」


和「、、、話せません。」


澪「飲み物を買うくらい幼稚園生でも出来ますよ。 なのに何故、和樹くんは戻るのが遅かったのでしょうか? やましいことがあるんじゃないですか?」


和「、、、ごめんなさい。」


澪「いえ謝罪が聞きたいのではありません、何故遅くなったのか理由をーー」




 本日2回目のザ・正座


 これは俺が正座好きというわけではなくて、でも正面に女王様のように座っているのが澪さんなのは俺的にアリよりのアリといいますかなんというかーー


 、、、ぶっちゃけ菊の10倍怖い


 『ウガー』って起こられるより、冷静に、且つ的確に叱られる方が何倍も怖いということを改めて感じた


 オイそこで腹を抱えて笑ってる3人、助けてくれよ、、、



和「理由は話しづらくて、、、」


 だってバカ正直に話したら、また燈火さんを傷つけてしまうかもしれないし


 ちらりと助けを求めるように燈火さんの方を向く


 相変わらずの笑顔でこちらを見ていたのは少しだけイラッとしたが、助けてくれるようだ


燈「ごめんねぇ、澪ちゃん。 実は私の古い友人と偶然出会ってぇ、長い間捕まっちゃってたのよぉ。」


 うん、嘘は言ってない


 澪さんも納得したような顔をした


澪「そういうことならば、、、それならそうと言ってください! なにかあったのか心配したんですからね!」


和「心配してくれてありがとう。」


澪「ッ! 、、、今はそういうことではありません!」


 ?そういうことってどういうことだろう?


健「あの顔はマジでわかってない顔ですぜ。」


菊「時々天然というかポンコツというか、、、」


誠「そこも和樹の良いトコなんだけどね、、、」


 そこの3人もボソボソと何か言っているが聞こえん


 まじで分からぬ


燈「澪ちゃんも大変ねぇ。」


澪「えぇ、仕返しを無意識にやってくるので毎度ドキドキさせられています。」


燈「そんな時は諦めちゃダメよぉ。 こちらからもやり返さないと。」


澪「と言われてもどうすればいいか、、、」


燈「また色々と教えてあげるわぁ♡」


 澪さんと燈火さんも二人で話し始めてしまった


 正座で一人取り残された俺は、ものすごい疎外感、、、


 寂しいです!




和「あ! これ、皆の分の飲み物。」


 ちょうど忘れられた飲み物たちを思い出したし、また忘れる前に渡しておこうっと


菊「ありがと。 和樹が説教されてるのを見るのに夢中になってて本題を忘れてたよ。」


 まだ笑いながら午後ティーを取る菊


 何を言うとるんだコイツは


和「お前だって正座して説教されただろうが。」


菊「ふむ、いつの話かね?」


 こ、コイツ知っててわざと忘れたふりしてやがる、、、


和「忘れたなら大声で言ってやろうか?」


菊「和樹の今日の正座も正確に実況してやろうか?」


和「グッ、、、」


 今日は菊に勝てねぇ、、、だって叱った側で真正面から俺の正座を見てやがったからな、、、


誠「ハイハイお二人さんは落ち着いて。 あ、ペプシありがとう。」


健「コカもサンキューな。 、、、うん、やっぱ美味いぜ!」


 ありがとう我が友たちよ


 話に割って入ってくれて助かったぜ


澪「飲み物を買ってきてくださってありがとうございます。」


 そしてこの笑顔、、、最高かよ


誠「和樹、顔、顔。」


 おっと、気が緩んで顔も緩んでたみたいだ


 気を取り直して、


和「はい、澪さん。」


澪「いただきますね。」



 さて、俺の飲み物、、、あっ


和「俺の飲み物買うの忘れてたわ、、、」


燈「あっ! ごめんなさいね、汐入くん。 購入するときに気づいていればよかったわぁ、、、」


和「いえ、単に俺が忘れてただけですし、気にしないで下さい。」


 どうしようかな、、、


 また買いに行くのも面倒だし、何よりまた八重垣に遭ってしまう可能性がある


 俺の名前をあの女は知らないだろうし、おそらく顔もよく覚えていなかったりするだろうが、、、


 正直2回も会いたくないキャラだしな


澪「なら私の紅茶を飲みますか? もともと和樹くんのお代で購入された物ですし。 和樹くんが良ければですけど、、、」


和「うん、お気遣いは嬉しいのだけれども。」


 周りに友達がいる状況で話す会話じゃないよね!?


澪「別に今更ですよ。 少なくとも目の前での『あ~ん』より間接キスの方が一般的です。」


和「言われてみれば、そう、だけど、、、」


 、、、確かに!


 今更だよな、こういうの!


和「じゃ、いただきます。」


 喉を少しでも潤すためにいざ飲もうとした瞬間


菊「ヘイヘイそこのバカップル。 この至近距離で私の監視から逃れようなんぞ紅茶より甘いわ!」


和「クッ、、、」


 一瞬の鋤を突かれ、気づいた時には手元にペットボトルはなく、菊の手にあった


菊「間接キスイベントは二人っきりのときに両者が恥ずかしがるのがセオリーなのだよ。 ついでに言うと偶然起きるのが最高のシチュエーションだね。」


和「いやそんなこと訊いてねぇから、さっさと返しな?」


菊「うん、ちゃんと返すよ。 三条さんにだけどな! そして和樹は新しい水を買うのだな!」


 まぁ、妥当な対応だな


 そしてなぜ水限定なんだよ、、、



 だが残念だったな菊、、、こういうイベントを別の意味で逃さない人がもうひとり居るんだぜ


菊「はい、三jy、、、あれ!? ボトルは?」


燈「はい、これあげるわよぉ、汐入くん。」


和「燈火さん、ありがとうございます。」


菊「い、いつの間に!!」


 燈火さんは菊の手からボトルをスッと抜き、俺に渡してくれた


和「ゴクゴク、、、美味い!」


菊「してやられた!」


 菊は地団駄を踏んでいるのだが、、、プールサイドなので当然裸足


 足を痛めて直ぐに足を抱えていた





澪「、、、あの、周りの方々が見ているのであまり大きな声を出さないようにしてください。 あと、そこまで大事にされると流石に恥ずかしいです、、、」


和・菊・燈「「「すみませんでした。」」」


健・誠「「この人たち面白すぎ」だよ。」










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