第77話 ヤバめな女子に会うと嫌な予感しかしないよね?




⁇「あれ? 皐月じゃない。 どうしたのよ〜。 今度はその男を引っかけたってこと?」


燈「え、なんであなたがここにいるの、、、それに引っかけてなんかしてなかった!」


??「偶然よ偶然! それで、京也くんを諦めたと思ったら今度はこのコ? ちょっとはイケメンだけど冴えなさそ〜。 ま、どうせ前みたいに盗られるんでしょうけどww。」


燈「それは八重垣、あんたのせいでしょうが!! あんたがあの人を、、、」



 どうやら、突然現れた女は八重垣という名前らしい


 話の流れから推測するに、『京也』という男を巡って何かあったみたいだ



和「ちょ、ちょっと待ってください。 いきなり何なんですか。」


八「別にアンタには関係ないわ。 あ、でも忠告はしといてあげる。 この女に惚れてるならヤメたほうが良いわよww。」


燈「どの口で、、、」


 燈火さんが震えていて、今すぐにでも掴みかかりそうだ


 これは早く離れたほうが良さそうだ 


和「すみません、連れが待ってるんでここでお暇させていただきます。」


燈「何を勝手にっ。」


 咄嗟に燈火さんの手を握ってしまったが、気にせず手を引く


 さっさと移動してしまおう


 だって握った手から震えと焦りが伝わってきたから


八「もう行っちゃうの? 久々に京也に会わせてあげようと思ったのにww。」


 離れ際、投げかけられた言葉から八重垣の性格の悪さがよく分かる


 この少しの間しか八重垣と話していないが何となく分かった


 そして歩く途中、後ろから『ギリッ』と歯を食いしばるような音が聞こえた





 良し、ここなら人が全然居ないな


 八重垣と話した場所からかなり離れた日陰で止まり、手を離す


 いつもならここで慌てるところだが、今はそんな状況じゃない


 燈火さんは、ずっと俯いている



和「、、、何があったのか、話してくれますか?」


 燈火さんは首を横に振った


和「話したくなくても話して下さい。 だってもう関係者ですから。」


 再度首を横に振った


燈「、、、聞いて軽蔑しない?」


和「しません。」


燈「、、、分かったわ。 話す、、、」


 そして彼女は俯いたままで話し始めた





燈「小学校の頃にね、付き合ってた子がいたの。 幼馴染の関係で、かなり仲が良かったわ。」


 それが『京也』か、、、


燈「六年のときに付き合い始めたんだけど、あの時の私は既に仲が深まってると感じていて、キスとかはしてなかったの。 そういうことは中学からって、断ってたの。  で、でも三ヶ月くらいして、校舎裏で、カレが、八重垣と抱き合ってて、キスしてて、、、」


 、、、は?


燈「すぐに問い詰めたんだけど、カ、カレは、『だってお前全然手を出させてくれねぇじゃん。』って言って、八重垣はずっと笑ってて。 悔しくて、負けたくなくて、京也に捨てられるのが怖くて、それでッ、、、わっ、私のハジメテを、、、」


和「、、、もう話さなくてもいいですよ。」


 だけど燈火さんは溜まったものが溢れるように話し続けた


燈「、、、京也には結局フラレて、部屋で泣きじゃくって。 私が大人っぽくなかったからフラレたんだとか、そんなネガティブなことばっかり考えて。 幸い紅明中にあの人たちは上がってこなくて、今度は大人な女になるんだって意気込んで、、、」


 、、、そんな事があったからなのか


燈「も、もう八重垣に会うことも無いんだと思ってたのに、、、ナンデ?」



 変わらず俯いたままだが、顔から水滴が落ちるのを見て、彼女が何をしているのか分からないほど俺は馬鹿じゃない


 そして燈火さんはその場にしゃがみ、顔を抑え、嗚咽を必死に堪えていた




 、、、残念ながら、俺だけでは燈火さんをどう慰めるべきか分からない、が、


 、、、優しい澪さんなら、この場でどう行動するだろうか?


 想像し、実行してみる


和「取り敢えず、ここの段に座って下さい。」


 『しゃがんだままだと何も始まりませんよ』、、、と頭の中の澪さんがそう言っている


 燈火さんはコクンと頷き、ゆっくり座る


 顔は俯いたままだ


 俺もその横に座る


 そしてゆっくり話し始める


和「燈火さんは軽蔑されるか不安だったみたいですが、軽蔑なんかしませんよ。」


 ビクッと震えた後、ゆっくりこちらを向いてくれた


 その目は赤くなり、横には筋の跡が通っていた


和「っていうかむしろ何なんですか、八重垣とその京也っていうやつ。 話聞いた限りだと燈火さん全然悪く無いじゃないですか。」


燈「で、でも最初はホントに良い人だったの、、、」


和「だからって燈火さんが自分を責めることないです。 、、、俺も昔はネガティブでした。 でも、そんな自分を信じてくれる人がいたんです。」


燈「、、、それは、澪ちゃんのこと?」


和「フフ、やっと話してくれましたね。 えぇそうです。 だから俺は澪さんが好きなんです。」


燈「、、、アハハ、いつの間にか彼女自慢になっちゃってるわよ。」


和「ッ! あ、いつの間にか!」


 良かった、笑ってくれるくらいには持ち直してくれた



和「と、とにかく、燈火さんは自分を責めないで下さい。 それでも自分を責めてしまうのならば、周りを見てみて下さい。 あなたを信じてくれる人が居ますから。」


燈「でっ、でも、そんな人なんか、、、」


和「俺が居ます。 澪さんも、菊も。 健翔も、誠也も。」


燈「、、、話したらどうなるか分からないじゃない。」


和「でも俺たちはあなたを信じます、、、だって友達でしょう?」


燈「ッ!!」


 燈火さんは衝撃を受けたような顔をした


 と思ったらいつも通りの明るい笑顔になった


燈「、、、そうね、友達だからよね。」


 納得したように何度も頷き、元気に立ち上がった


燈「さぁ、戻りましょう。 今度こそ浮気を疑われるかもよぉ?」


 お、いつもの口調に戻った


 ってヤバイヤバイ今何分くらい経った!?


 急いで戻らないと!!







燈「あ~もう汐入くん、飲み物忘れてるわよぉ!、、、まるで澪ちゃんみたいだったわねぇ。 ホント、最高のカップルだわぁ。」」










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