第76話 皆の飲み物買う時に全部覚えるのって難しかったりするよね?




菊「で、何か言い訳はあるかい?」


和「、、、ノーコメントで。」



 只今正座でお説教され中


 似た経験をしたような気がすると思ったら、これ菊と一緒にお説教された時の構図だわ


 でもあの時と違うのは、隣りにいるのが澪さんだっていう点


 、、、とまぁ、ここまで来たら分かると思うけど、先程の行動が見られて、何をやってるんだ!と叱られているのである




菊「三条さんも、彼女として止めるべきじゃなかったの?」


 今更だが、段に座って足を交差させている菊が割と似合っている


 女王様みたいだ、、、いや別に俺はエムじゃないし、興奮したとかは断じて無いからそこは誤解しないでほしい


澪「、、、恋人特権ということで。」


菊「ムムム、、、」


燈「まぁまぁ、二人共反省してるみたいだしぃ、許してあげましょうよ?」


菊「燈火さんはこのカップルに甘いと思う!」


燈「落ち着きなさいな。 あなたの事情は把握してるけどぉ、言い過ぎたら当人に嫌われちゃうわよぉ?」


菊「でもこれで何回目だt、、、え? 当人? 何で知ってるんですか!?」


 お、燈火さんが知っている事に菊も気づいたみたいだ


燈「オンナの勘、かしらねぇ。 大丈夫よぉ、誰にも言わないから。」


 オンナの勘、恐るべし


菊「、、、分かりました! 今回だけだからね!」


 燈火さんがこちらを振り向き、目配せした


澪「、、、後でお礼を言わないといけませんね。」


 小声でそう囁いてきた


 こちらも小さく話そう


和「うん、助けられたね。」




菊「そこ! またイチャイチャしない! なんならジュース買ってきて貰っても良いんだけど!」


 ま、それくらいはやっても良いかな


和「了解。 じゃ、澪さんm『ダメ!』


菊「また二人にしたらイチャハラするでしょ。 燈火さんと行って。」


 は、はぁぁぁぁぁ!?


 そんな殺生な、、、


健「ここは大人しく行った方がいいぜ。」


誠「あ、僕ペプシね。」


健「じゃあ俺はコカ。」


 こ、こいつらぁ、、、


 俺が叱られてる時は静かにしてたくせに怒濤の如く要求してきやがった、、、


菊「私は午後ティーのレモン。」


澪「わ、私はミルクで。」


和「澪さんまで!?」


燈「フフ、汐入くん頑張ってねぇ。 私のも奢ってくれたら手伝ってあげるわよぉ?」


和「ぐぐ、、、あぁもう! みんな纏めて買ってきてやる!」


燈「あらあら、もう行っちゃったのね。 私も行ってあげないとぉ。」


 そう言って燈火さんも来てくれた




 その頃の澪さんと菊


菊「、、、ここで三条さんは引き留めるのかと思ったよ。」


澪「? 何故ですか?」


菊「だってこの前のファミレスでかなり嫉妬してたじゃん。」


澪「、、、あれから色々あったのですよ。」


菊「いやなにその微笑。 何があったのか超気になるんだけど。」


澪「内緒です。」


菊「えぇ〜〜、話してよ。 もしかしてさっき抱き合ってた時のこと?」


澪「、、、内緒です。」


菊「澪さんって和樹のことになるとめっちゃ分かりやすいよね、、、」


 こんな会話をしていたことを俺が後に知り、澪さんをイジることができたのはまた別の話だ







 時は戻って俺が飲み物を買いに行ってすぐのこと


和「すみません、しょうもない事に付き合わせてしまって。」


燈「気にしなくて良いのよぉ。 それにこういうのも面白そうだしぃ。」



 そう言って快活に笑うこの人が、あんな目をしたなんて未だに信じれない


 、、、踏み込むのはダメだけど、謝るくらいなら、良いよね


和「あの、燈火さん。」


燈「何かしら、汐入くん?」


和「この前のファミレスでのこと、すみませんでした。」


燈「、、、」


和「燈火さんの気持ちも知らず、勝手に踏み込んでしまって、、、ごめんなさい。」


 恐る恐る顔を上げると、変わらず笑顔な燈火さんがいた


 いや、少し緩んだ表情になってる?


燈「私も言いすぎたわぁ。 私を気にかけての行動だったって知りながら、あんなに拒絶するなんて悪かったわねぇ。 こちらこそごめんなさいな。」


 、、、優しいな、この人は


 ファミレスでの出来事から、何となく怖いイメージが付いてしまっていた


 でもそんなことは無かった


 いつも通り、明るく、甘いカップルを見るのが好きな人だった


 でも納得と同時に不安が込み上げてくる


 この人をあそこまで冷たい目にさせるなんて、どんなことがあったのだろうか


 もう尋ねることはできないけれど、いつか相談してほしいな


和「いえ、俺が悪いですよ。」


燈「そう、、、」


 後は静かに飲み物を買う



燈「アハハ、なんだかしんみりした空気になっちゃったわねぇ。 本当に気にしないで良いのよぉ。」


和「、、、ありがとうございます。」


燈「さて、飲み物はこれだけかしら? じゃ、これ貰ってくわねぇ。」


 イチゴオーレを手に取り、明るく笑う


 俺は飲み物を抱えて、慌てて付いて行く



 、、、俺が入るべきことじゃなかったな


 燈火さんは澪さんのように、強い女性だ


 他人が変に介入しても引っ掻き回してしまうだけだな


 澪さんの言っていたように、いつも通りの生活を続ければーー


⁇「あれ? 皐月じゃない。 どうしたのよ〜。 今度はその男を引っかけたってこと?」


 おっとこれはそう上手くいかなそうだ










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