第75話 流れるプールって楽しいよね?
菊「それじゃ、まずどのプールに行く?」
友1「ここはやっぱり流れるプールでしょ!」
てなわけで、現在水に浮かんで流れてます
あ、これ良いな
別に泳げないってことはないけど、泳がずにただ流されるってのも楽だ
澪「楽しいですね。 海は泳ぐことが多かったのですが、ゆったり揺られるのも良いものです!」
和「そうだね、俺も同じこと考えてたよ。」
でも今はそれよりも気になってることがある
澪「人も多いですし、はぐれたらいけませんよね。 手を繋ぎませんか?」
和「!?」
プールの真ん中で!?
いや、もう公の場で色々やらかしてしまってるし、今更だよな
あ、でも手を繋いだらその間を通れなくなる
イチャついて他の人の迷惑になっちゃいけないよな、、、
、、、そうだ、こうすれば良いんだ!
澪「えっ、ひゃっ!」
俺は澪さんの手を掴んで優しく引っ張り、体を引き寄せてできるだけ密着する
澪「こ、ここまでとは予想していませんでした、、、和樹くんは恥ずかしかったりしてないんですか?」
和「恥ずかしいに決まってるでしょ。」
平静を保っているように見せているが、その実、心臓バックバクだった
もしかしたら彼女の背中に伝わってるかも
仮に気分が高まって、衝動的に抱きつく時は周りが見えていないから後で悶えるだけで済む
でも今は周りの目を自覚した上でやってるからハズい
俺が澪さんとつり合っていないから、痴漢の被害に遭っていると思われないか不安だったりもした
案の定、周りの注目を少しだけ集めている
『少しだけ』なのはパッと見、他のカップルも距離が近いからその一つに混ざれてるからだろう
澪「? いつもの和樹くんならこんなことはしませんが、、、」
和「気づいてたと思うけど、こうする前から澪さんに視線が集まってた。」
澪「はい、ですが気にしないようにしていました。」
パーカーを羽織った上でも彼女は視線を集めてしまうらしい
可愛すぎるからどうしようもないのだが
和「ごめん、あんまり効果がなかったみたいだ。」
澪「いえ、危険だとは思いませんでしたよ?」
だが人が多いからバレないと思っているのか、俺でも分かるいやらしい視線を向ける男もいた
隣に俺が居ることを気づかなかったのか?
まぁ彼女に比べたらかなり影が薄いことは自覚してますけど、、、
少し前の方には菊たちもいるのに、、、ちなみに菊と燈火さんも視線を集めてしまっているが、二人は気にしてないっぽいな
健翔と誠也と楽しそうに遊んでいる
でも俺は澪さんを気にかけてしまう
何より、俺の彼女をそんな目で見られたくない
俺の左手で彼女の左手を挙げさせる
和「でも俺は嫌なんだ。 澪さんが変な目で見られることが。」
真夏の太陽に輝き、2つの指輪が光る
和「澪さんは可愛くて、素敵で、本当に俺には勿体ないくらいに最高の人だ。」
澪「、、、」
和「俺はあなたに全然届かないし、これまでも何度も支えられてきた。」
流れる水の音と人々のさざめきの中でも彼女に届くよう、耳元で話す
和「そんなどうしようもない位に駄目な俺でも、どうしようもない位にあなたが好きなんだ。」
澪「!!」
和「澪さんには純粋にプールを楽しんでほしいし、これは完全に我儘なんだけど、、、俺だけの澪さんでいてほしいと思ってる。 だから抱きかかえて『俺の彼女だぞ』って主張しちゃったんだよ。」
まだまだ彼女に追いつけていない未熟な俺
それでも彼女が他の男に見られただけで嫉妬してしまいそうになるほど、俺は未熟だ
和「、、、こんな彼氏で、ごめん。」
ダメだ、どうしても謝罪になってしまう
こんなことを、伝えたいんじゃないのに、、、
しばらく、水の流れに身を任せる時間が続いた
澪「和樹くん、私の左手を見て下さい。」
和「?」
言われた通りに澪さんの左手を見る
そこには、、、陽光に輝く指輪があった
澪「私から告白し、恋人となりましたね。 そして和樹くんからプロポーズしてくれて、こうして私たちは婚約者となりました。」
和「、、、」
澪「まだ中学生ですし、将来への不安が無かったと言えば嘘になります。 ですが、私はあなただから受け入れたんです。」
、、、あぁ、本当に凄い
どうしてここまで人がほしいと思った言葉を投げかけてくれるのだろう
澪「あなたは駄目なひとなんかじゃない。 自身を持てていないと言っていましたが、男性を苦手としていたあの時の私の心を、和樹くんは溶かしてくれました。」
救けられたのは、俺だけじゃなかったんだ、、、
澪「自信とは自分を信じることではなく、、、自分を信じてくれるひとがいることだと私は思うんです。 私は和樹くんを信じます。 あなたの可能性を、力を、才能を。」
、、、ありがとう、褒めてくれて
澪「それでも勇気が出ないのなら私が支えます。 生半可な気持ちで婚約を了承した女じゃありませんからね、とことんサポートしますよ?」
、、、ありがとう、支えてくれて
澪「だから私を好きでいて下さい、大切にして下さい。 気にかけて下さい、心配して下さい。 我儘も少しは言っても構いません。 だって、、、私は和樹くんを信じていますから。」
和「ッ!!」
もう、我慢の限界だった
好きって気持ちが抑えきれない
目の前にいるこの人が、世界で一番愛おしい
我儘も少しは構わないと言われたばかりだ、、、俺はいつもよりも強く、彼女を抱きしめる
周りの目も気にしない
彼女が其処にいることを確かめるかのように、力強く抱いた
彼女もそれに応じてくれた
そして太陽の下、指輪が祝福するかのように光り輝いていた
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