第73話 遊びに行く予定を立てるのも良いよね?




 夏休みが一週間経った日の昼頃


 いつもどおり澪さんと夏休み課題を進めている


 ペンを動かす彼女の指には俺が渡した指輪が光っており、見る度に嬉しくなる


 休みの日などは指につけてくれるみたいだ


 かく言う俺の指にもペアの指輪があるのだが


 うへへ、、、おっと顔が緩んじゃう




 すると突然電話がかかってきた


 相手は、、、菊か


菊「もしもし和樹? 今大丈夫か?」


和「菊か。 大丈夫だが、どうしたんだ?」


菊「いや、皆でプールにでも行かないかって話になって。 燈火さんとか修学旅行メンバーはOKらしくて、後は和樹と三条さんだけなんだ。」


和「ちょっと待ってて。」


 電話から少し離れる


澪「和樹くん、どうしたんですか?」


和「菊から、『皆でプールにでも行かないか』って。 俺は行きたいんだけど、澪さんは?」


澪「勿論行きますとも! せっかく新しい水着を買ったのですから、使わないと勿体ないです。」


和「了解。」


 俺は電話に戻る


和「もしもし菊?」


菊「いきなり離れてどうしたんだ?」


和「澪さんはどうするか聞いてた。 俺と澪さんも行くことにしたよ。」


菊「あ、そっか、二人って同棲してたんだよな、、、」


和「同棲って言うか、むしろ居候に近いんだが、、、」


菊「あーハイハイ、イチャハラはもういいから。 じゃ、明日の1時、駅前のプールに集合で。 三条さんは問題ないと思うが、和樹は遅れるなよ?」


和「誰が遅れるかっての。 じゃまた明日。」


菊「じゃあね。」


 そう言って菊は電話を切った



和「明日1時、駅前のプールに集合だって。」


澪「それじゃあ、夜に準備をしなければなりませんね。」


和「え〜〜、、、今からじゃダメ?」


澪「ダメです。 今は課題の時間ですよ? まさか私の目の前で勉強時間から逃げられるとお思いですか?」


和「いえ、精一杯頑張らせていただきます!」


 とまぁ、澪さんは俺の夏休みも課題の時間をきっちり決めている


 まだまだ夏休みは続くのだからもっとゆっくり進めてもいいと思うのだが、、、しかし、もう三分の二が終わらせられたのは嬉しいことだ


 だが、それでも課題の時間に遊ぼうとすると捕まえてくる


 今まで3回挑戦したのだが、ことごとく失敗した


 隠れてラノベを読んでいても、三条家の近くの公園で休んでいても探し当てられた


 『どうして見つけられるの』と引きずられながら聞くと、


(澪)『愛の力ですよ。』


 と言われたので、逃げることは大半諦めた


 さっきみたいにさり気なくサボろうとしても見つかるんだよなぁ


 余談だが、澪さんは課題を9割終わらせているらしい、、、






 課題の時間を終え、夜になった


澪「修学旅行の時ほどでは無いですが、やはり準備をするというのは楽しいものですね。」


和「だね。 水着、タオル、財布に、、、指輪はどうする?」


澪「もし仮に落としてしまったとなると見つかる可能性がかなり低いですよね、、、どうしましょうか?」


和「う〜ん、、、」


澪「ふむ、、、」


 共にしばらく考えるが、安全な作戦が見つからない


 いやまぁ作戦というほどではないんだけど


 とにかく良いアイデアが思いつかない、かと言って指輪をつけたい気持ちもあるんだよなぁ、、、


澪「ぴったりのサイズなので、指にはめるだけでもなかなか落ちないと思います。」


和「うん、俺も考えてたよ。」


 変に策を考えるより、シンプルに行こう


 それに万が一にも落とさない様に遊べば良いだけだからな


澪「ではこの案で行きましょう。 これで準備は終了ですか?」


和「多分。 後は、、、大丈夫そうだな。」


澪「なら後は寝るだけですね。 楽しみです!」




和「そういえば、プールに行ったことって何回くらいある?」


澪「そうですね、、、海は家族と行くことが多いのですが、プールはあまり、、、」


和「友達と一緒に行ったりは?」


澪「はい。 誘われたことはあるのですが、皆さんの下心が聞こえる様で、、、」


 そうだった


 普段は俺と楽しそうに話してくれるから気に留めてなかったけど、澪さんって男子に軽い嫌悪を抱いていたんだよな


 、、、ちょっと待て


 だとしたらプールってヤバくないか?


 下心剥き出しの男共に澪さんの水着なんか見せたら、俺が居てもナンパされる可能性がある


 、、、想像しただけでもイライラしてきた


 でも彼女の水着は水場で見てこそだろうと思ってしまっている


 ふぅ、水着の澪さんを思い出してイライラを上書きしよう



 とにかく、彼女をナンパされてたまるものか


 俺ができる限り守るとして、視線はどうしようか、、、


 彼女を守りたい、でも可愛い姿の澪さんを見たい、、、




 色々と悩んでいたら、ラノベのとあるキャラの水着姿を突然思い出した


 、、、アレを着て貰えば『オシャレ』+『嫌な視線から守れる』のでは?


 幸いと言うか、澪さんが明日着る予定の水着はアレとの組み合わせが良い




和「澪さん、明日は1時の予定だけどさ、」


澪「はい?」


和「少しだけ早く家を出ることにしても良いかな?」








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