第70話 彼女のお買い物に付き合うのも良いよね?



澪「おはようございます。 今日は目一杯楽しみましょうね!」



 父さんのお墓に行った日の翌朝


 デートの準備を終えて、今日渡すものがカバンに入っていることを確認して外に出てみると


 澪さんは外行きの服に着替え、準備万端だった



和「うん、今日の服も可愛いね。」


 今日の澪さんは純白のワンピース


 暑くなった季節に合わせて袖を短くしている服だったので、袖から飛び出す更に純白の肌が涼しさと美しさを感じさせる


 被っている帽子も彼女の魅力を引き立てている


 正直言って最高だ


澪「ありがとうございます。 ですが、そう言う和樹くんもカッコいいですよ?」


和「そ、そうかな?」


 俺の服は一般的なんだが、、、


澪「そうなんです! 真っ白なシャツが清潔感を出していて、デニムも爽やかな色なのでとってもカッコいいんです!」


 お、おぉ、、、


 こう、直接的に褒められると、なんか恥ずかしい


 まぁでも、


和「ありがとう、澪さん。」


澪「こちらこそ、褒めてくれてありがとうございます。」





和「それで、今日は何処に行くの?」


 今日は彼女のお買い物に付き合う予定だ


 何処だろうと荷物持ちだろうと、彼女が楽しんでくれるのが一番だ


 そして最後には、、、



澪「はい、今日は少し遠出して隣町のショッピングモールに行きたいのですが、構いませんか?」


 昨日、俺が澪さんへのプレゼントを買ったのはこの街のショッピングモールだ


 だから、間違っても澪さんが同じものを気に入って買ってしまうことは防げるはず


和「全然いいよ。」


澪「ありがとうございます。 では行きましょうか。」





和「駅に着いたけど、、、人が多いね。」


澪「8月の初旬だからでしょうか? 親子連れの方々をよく見かけますね。」


和「、、、はぐれちゃいけないからさ、繋がない?」


 無論、手をだ


澪「っ!、、、」


 澪さんは驚いて、少し頬を赤らめたものの頷き、そっと手を差し伸べてきた


 俺は差し出された手をぎゅっと握る


 彼女の手が熱く感じる


 それが夏のせいなのか、彼女も恥ずかしがっているのかは分からないけれども


 とにかく何が言いたいのかと言うと、めっちゃ幸せでした



澪「あはは、、、周りの人、見てますね。」


和「だね、、、」


 夏休みに入っていて、今日は天候が良い日となれば外出する人が増えるわけで


 家族連れ以外にも、学生や大人も普通に居るわけで


 俺たちはそんな中に手を繋いで歩いているわけで


 おまけに女の子はとんでもない美人で


 目を引かない理由は、無かった


澪「慣れてきたと思ったのですが、そんなことはありませんでした、、、」


和「、、、う〜ん、俺はまぁ、少しは嬉しかったり。」


澪「どうしてですか?」


和「だってさ、俺と澪さんが恋人同士だから目を引いてるわけで、澪さんと付き合えてることを改めて確認できたり、嬉しかったり、、、はい。」


 最後は口ごもってしまったが、言いたいことは伝えた


 澪さんは怒るかな?、、、


 あ、いや笑ってるわ


澪「ふふ、そうですね。 そういう見方もあるんですね。 そう考えたら街中を歩くことに抵抗が無くなりそうです。 ありがとうございます。」


和「いやいや、俺こそ澪さんが隣に居てくれるから気づけたわけであって。 だから何が言いたいのかと言うと、俺の恋人でいてくれて、ありがとう。」


 ん?


 なんだか勢いに任せて色々とヤバいことを言ってしまったような、、、


 そんな事を考えてると、澪さんの顔がみるみる真っ赤になった


 これ俺がなにかやらかしたパターンだ


澪「そ、そういうことは、ふたりきりの時に言うべきですよ!」


 あわわと目に見えて慌てながら俺を叱ってくる


 ふむ、ここは大人しく反省しましょう





 そんなこんなでもうモールに到着した


澪「まずは新しい服がほしいんです。」


和「? その服でも十二分に可愛いと思うけど?」


澪「あっ、いえ、すみません。 その言葉は嬉しいのですが、今欲しいのは服は服でも、水着です、、、」


 あっ、そこ!?


和「ご、ごめん。 それじゃ、行こう。」


 慌てて手を引いてお店に向かう


 いやぁ〜、まさか服は服でも水着とは


 そこまで頭が回っていなかった自分が恥ずかしい


 今もとっさのことだったから手を引っ張って歩いてるわけで、、、


和「手、痛くない?」


澪「、、、大丈夫ですよ。 その、少し強引な和樹くんもカッコいいので、、、」


 ああぁぁぁ!


 俺の彼女、可愛すぎるだろ!!


和「ところで、急に水着を買おうと思ったのは何故?」


澪「この夏休みに、和樹くんと水場へ遊びに行けたらな、と、、、」


和「可愛いっ。」


澪「っ! だから、そういう事はふたりきりの時に!」





和「で、水着を売ってるコーナーに到着したわけですが。」


 ここって、男が入ったらダメじゃない?


澪「多分大丈夫ですよ。 私と一緒に居たら恋人同士と思われるはずです。」


和「だよね!」


澪「それに、和樹くんは私以外をえっちな目で見ないでしょう?」


 まさかここでからかってくるとは、、、


和「も、もちろん!」


澪「、、、詰まったのが気になりますが、まぁ良いでしょう。 可愛い水着を選ぶので感想、期待してますよ?」


 そう言い残して澪さんは選びに行った



 試着室前に一人残された俺は思う


 、、、今日の澪さんはからかいが多いなぁ


 ま、俺が慣れない場所にいて、あたふたしてるのが面白おかしいからなんだろう


 でも、からかう澪さんも魅力的だ


 どんどん彼女を知ることができている感じがして、俺は好きだな








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