第67話 一人で買い物って緊張することもあるよね?




校長「えー、明日から夏休みが始まります。 三年生は受験の準備を、一、二年生はそれぞれ自分を高める努力を怠らないようにして下さい。 勿論休息をとることも重要です。 ですがーー」



 今日は終業式


 もう名物となってる校長のありがた〜い長〜い話を聞いている


 現在の記録は17分


 修学旅行の時の記録を更新している


 後はどれだけこの記録を伸ばせるかだが、、、



校長「ーーでは、各々の楽しい夏休みを過ごして下さい。」


 記録、18分30秒


 残念ながら20分には到達できなかったが、前回よりも3分30秒伸びている


 長い話に慣れてきてしまって、今はもう最高記録を解説する余裕が出てきた


 、、、慣れたくなかったな、こんな事






 終業式は終わり、後は今している大掃除を終えれば下校できる


 健翔は外掃除、誠也は俺と一緒に廊下の窓拭きだ


 多少の軽口をはさみながらも手は動かしていたから七割弱終えている


 この調子だと、昼には帰れそうだな



誠「和樹は午後になにかするの?」


和「あ、ちょっと買い物に行く予定があってな。」


誠「ふぅ〜ん。 何を買う予定なの?」


和「内緒だよ。」


誠「えぇ〜、ズルいな。 教えてよ。」


和「だが断る。」


誠「ふん! 別に教えてもらわなくていいもん。 健翔と一緒に遊びに行くから。」


和「お、拗ねてんのか?」


誠「拗ねてないも〜んだ。 あ、掃除も終わりだね。 じゃ、またね。」


 そう言って足早に帰っていった


 、、、今度何か奢ってやろう







 そんなこんなで現在、俺はショッピングモールに来ている


 友達と行くことは何度もあったが、一人で来るのは何気に初めてかもしれない


 ちなみに、澪さんは家でゴロゴロしているらしい


 軽く甘いものも買ってあげようかな、、、




 少し歩き、目当ての店舗を見つけ、恐る恐る入る


 何故恐れてるかって?


 男が一人で入る機会があんまり無い店だからだよ!


店員「いらっしゃいませ〜。 何かお探しですか?」


 お、助かるなぁ


 俺一人だったらセンスがヤバいものを選んでしまうかもだし、プロの視点を得られるのは普通にありがたい


和「あ、はい。 ◯◯を探してまして、、、」


店員「彼女さんへのプレゼントですか? もしくはプロポーズに?」


 おぉ、、、グイグイ来るな


和「まぁ、そんなとこです。」


店員「でしたらオススメの商品がありますよ。 装飾に種類がたくさんあるので、贈り物にピッタリだと思います。 お手頃な価格なので学生さんにも。」


和「それ、見せていただけますか?」


店員「どうぞこちらへ。」


 引かれるままに席に座る



 あれやこれやと要望を言うと、店員さんはそれに応えてくれた


 おかげで満足するものが買えた


 これなら澪さんも喜んでくれるかな?


 、、、サプライズなんてやったこと無いからなぁ


 少し緊張する


 一応サイズは調べたけど、はまらなかったらすんごい空気になっちゃうよなぁ


 、、、不安だ




 次の物を買うためにまた少し歩く


 今度は買うものをあらかじめ決めていたので、すんなり買い物は終わった


 最後に、家で退屈させてしまっている澪さんのためにクッキーを買った


 色んな味を楽しめるヤツ


 こちらは普通に喜んでもらえそうだ


 秀和さんたちも交えて、お茶でもしよう


 そんな事を考えながら帰路についた






澪「おかえりなさい、和樹くん。 買い物は終えましたか?」


 澪さんはベッドにうつ伏せで寝転びながらラノベを読んでいた


 、、、普段しっかりしてる人がこう、まったり過ごしてる姿って良いよね


和「うん、良い買い物ができたよ。」


澪「私も付いて行きたかったのですが、和樹くんが断るなんて。 一体何を買ったんです?」


和「あ~、、、まぁ大したものじゃないよ。 野暮用みたいな感じ?」


 嘘ですホントは大事なものを買ってました


 でも、渡すのはここじゃないよな


 いい場所とタイミングで渡すのが一番いい


 それを澪さんは察したのか、


澪「、、、なら構いませんが、一人は寂しかったんですよ?」


 少し悲しそうな、怒っているような顔で言ってきた


 こんな時に言うことじゃないが、拗ねてる澪さんも可愛いな



和「ごめんね。 はいこれ、ちょっとしたお土産。 一緒に食べよう?」


澪「わぁ! 美味しそうなクッキーですね。 今日はこれで許してあげます!」


 クッキーを渡すと笑顔で受け取ってくれた


和「喜んでもらえて嬉しい。」


澪「お母さんに頼んでお茶を淹れてもらいますね。」


和「あ、それくらいは俺がやるよ。」


 立ち上がった澪さんを引き止める


澪「いえ、私にさせてください。」


 そして、頬を赤らめて続けていった


澪「その代わりと言っても割に合いませんが、、、今度、私のお買い物に付き合っていただけませんか?」


 、、、ふむ


 これはデートのお誘いと受け取っても良いのかな?


和「喜んでお引き受けいたしましょう。」


 断るなんて選択肢はないよな


 それにその時にプレゼントを渡すってのもアリかも




澪「そうと決まれば、クッキーを食べながらお茶しましょう。 その後はどうしますか?」


和「、、、ごめん。 その後も行かなきゃいけないところがあって、、、」


澪「そうですか、、、私も行ってもいいですか?」


和「あまり、澪さんには来てほしくないかな。」


 キツイ言い方になってしまったのは分かってる


 でも、あまり来てほしくないのは本当なんだ


澪「、、、、、、」


 澪さんは悲しそうな顔をしたが、すぐに明るい顔になって言ってくれた


澪「なら仕方ありませんね。 今日の和樹くんは大忙しです! 休憩も大事ですし、今は休んでくださいね?」


和「ありがとう。」


 今日は彼女を寂しい思いをさせてしまった


 だからせめて、今は彼女との時間を楽しく過ごそう










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