第65話 友達とファミレス行くのも良いよね?




健「かんぱ~い!」


和・澪・菊・燈・誠『かんぱ~い!』



 テスト返却が終わった日の放課後


 修学旅行メンバーでお疲れ様会をするためにファミレスに来ていた


 だが俺は、、、




和「その、今回は一緒に勉強してやれなくて悪かった。」


健「気にしてねぇから謝んなって!」


誠「和樹にも頑張らなきゃいけない理由があったんだよね? 僕達も平均点は取れたし不満なんかないよ。」


 こ、こいつらが急に優しい、、、


 何気に嬉しいな


和「ありがとうな。 次のテストは皆で勉強しよう。 菊も燈火さんもどうですか?」


菊「良いねそれ! 次は私も皆と勉強したい!」


燈「面白そうねぇ。 私も参加してみたいのだけど、澪ちゃんもいいかしらぁ?」


澪「構いませんよ。 勉強は教え合うことで効率的になりますし、むしろお願いしたいです。」


菊「おぉ、、、さすが学年一位の言葉、、、」


誠「学年二位もいるし、次のテストはもっと良い結果を出せそうだね。」


健「そういや、この中じゃ和樹が一番伸びが良いんだよな。」



 そう、俺は澪さんに次ぐ学年二位を取ることができたのだ


 これも澪さんのおかげだ


 帰ったら改めて感謝を伝えよう



菊「ホント、小さい頃は私が勉強を教えてたのにもう抜かしちゃって、、、」


和「おいヤメロォ!」


 その話題は出すんじゃねぇ!


澪「、、、もっと詳しく聞かせてもらえますか?」


 澪さんも謎の興味を出さなくていいから!


菊「九九がなかなか覚えれなかった小さい頃の和樹が私に泣きついてきて、覚えれるまで教えてあげたりしたんだよね。」


澪「泣きついてきて、、、」


菊「それで、数字が苦手になってた和樹に冗談で『数字は友達だ』って言ったら、本当に数字と友達になってきたんだよ。」


澪「数字と友達に、、、」


 ヤメて引かないで澪さん!


菊「他にも色々あるけどこの話だけで和樹がノックダウンしちゃったから止めとくよ。」


和「うぅぅ、、、」


 ヒドい、澪さんには知られたくなかったのに、、、


 澪さんも呆れてるに違いない、、、あれ?



澪「可愛いエピソードです! 和樹くんにもそんな頃があったんですね、、、」


燈「子供っぽくて可愛いわよぉ。」


和「グハッ!」


 子供っぽいって、、、


菊「和樹が倒れた! このヒトデナシ!」


誠「いや話したの黒田さんですよね、、、」




澪「七海さんから小さい頃の話は聞いていたのですが、菊さんの話も良いですね。」


和「いや改めて感慨深くならなくていいから。」


澪「何故です? 彼氏の小さい頃を知るのは悪いことじゃないですよね?」


 それはそうだけどさ、、、


健「三条さん、男には守らなきゃいけないプライドってもんがあるんですわ。」


誠「和樹に悪いし、そこまでにしときましょうよ。」


 う、今はこいつらの優しさが痛い、、、



澪「でも、和樹くんのことをもっと知りたいですし。」


燈「澪ちゃん? しつこいと嫌われちゃうわよぉ。」


澪「、、、それは嫌です。」


燈「和樹くんのことが好きすぎるのは良いことだけどぉ、重い女になっちゃダメ。」


澪「、、、はい。」


 燈火さんが澪さんを収めてる


 女子は女子にしか勝てないってことか、、、



 あれ?


 燈火さんといえば確か、、、


和「燈火さん、ちょっと話したいことがあるんですけど。」


燈「なぁに? ここじゃダメな話?」


和「はい。」


燈「私は良いけどぉ、彼女ちゃんが怖い顔をしてるわよぉ。」


 隣を見ると、ホントに怖い顔でこちらを見ていた



澪「、、、和樹くん、私の目の前で浮気ですか?」


和「違うよ、ちょっと話したいことがあるだけ。」


 ここは真剣に、嘘偽り無く答えよう


澪「、、、分かりました。」


和「ありがとう。」


 そうして俺と燈火さんは少しの間席を離れた






 ここはファミレスの入り口の横だ


 音が聞こえにくい造りをしているからここを選んだ


燈「澪ちゃんの愛がスゴいわねぇ。」


和「俺を好いてくれてる証ですし、自分は嬉しいですよ。」


燈「汐入くんの愛もなかなかねぇ、、、それで話って何かしらぁ?」



和「、、、修学旅行で澪さんに何を教えたんですか。」


燈「その事ね、何かあったのぉ?」


和「何かあったのぉ、じゃないですよ。 めっちゃ誘惑されたんですから。」


 あの日のことだ


 澪さん曰く、燈火さんが色々教えてくれたらしいが、、、


燈「それって良いことじゃない? それに私は色々話したけれどもぉ、そこまで重い話じゃなかったわよぉ? 勇気を出したのは澪さんの方なんじゃないかしらぁ。」


和「そうなんですか!?」


燈「そうよ、今の紅明中の恋愛事情を話したり、彼氏をドキッとさせる仕草を教えただけよ?」


 マジか、じゃああれは澪さんの意思で、、、




和「でも、自販機の前での話を覚えていますか?」


 あの時、燈火さんは後ろから見守るだけ、と言っていた


 この話と相反してしまうのではないだろうか


燈「、、、その時の話と違うことをしてしまったことは謝るわ。 でもこれだけは言わせて頂戴。 あなた達の事は本当に応援してるの。」


和「ッ!」


燈「あなた達が本当に好き合っていて、愛し合っているのは知っているわ。 だからこそ、誰にも奪われないようにもっと深い絆で結ばれてほしいのよ、、、」


 そう話す燈火さんの目は、深い悲しみを含んでいた


 楽しかった日々を懐かしむような、しかしその思い出に傷ついているような、、、


 そんな暗い目をしていた



 と思ったら、すぐにいつもの目に戻っていた


燈「余計なことをしてしまってごめんなさいねぇ。 次からは控えるわぁ。」


和「、、、、、、」


 なんか、モヤモヤする


燈「遅くなったら澪ちゃんが怒るわよぉ? ささ、戻りましょ。」




和「待って下さい。」


燈「何かしらぁ?」


和「なんで、悲しい目をしていたんですか。」


燈「ッ!」



 燈火さんはまた悲しい目になり、冷たい声で言う


燈「それは、話さなきゃいけないことじゃないでしょう?」


和「でも、」


燈「話したいことでもないの。 それに話があるって言ってたのは澪ちゃんのことだけでしょ?」


 そう言って燈火さんは足早に戻っていった


 少し呆然とした後、俺も慌てて戻った




 戻る時も、俺の心はモヤモヤしていた











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