第64話 テスト返却って緊張するよね?




健「テスト返ってきてほしくねぇよ〜。」


誠「ホントそれ。 和樹は?」


和「俺は、、、大丈夫かな。」


 先程澪さんから元気づけて貰ったのだ


 メンタルは取り戻している、はず


健「ケッ、自信があるってことかよ。」


誠「さすが学年一位に教えてもらった人は違うなぁ。」


和「お前らも、からかうくらいには緊張してねぇじゃん。」


誠「まぁ、こちらは男子二人寂しく勉強したからね。」


健「低い点は取らねぇつもりだよ。」


和「、、、お疲れさま。」


健「何だその憐憫の目は。 余裕か? 余裕なのか?」


和「憐れんだりしてねぇよ。 いや、もし澪さんと付き合えてなかったら俺もそこに居たのかなぁ、と思ってな。」


 澪さんと出会えたから俺はテストもこれまで以上に頑張れたわけで


 仮に彼女と出会えていなかったら、いつもどおり勉強していつもどおりの順位を取ってたんだろう


 本当に、彼女に出会えてよかった








先生「テスト返却するぞー。 他人のを勝手に見たりなんかするなよー。」



 遂に来たか、このときが


 俺の名字の頭文字は『し』だから早めに渡される


先生「次、汐入。」


和「はい。」


 うお、遂に返ってくる、、、


 で、順位は、、、2位!?



 え?


 も、もう1回見てみよう


 ふむふむ、全教科高得点を取れてる


 順位は、やっぱり2位だった


和「っ、よっしゃぁ!」


 

 まさか、2位が取れるとは思わなかった


 でも確かにそれぐらいの努力はしたし、何より澪さんに教えてもらったから


 、、、そうだ! 澪さんは!?


 これも重要だ


 これで澪さんが1位じゃなかったら、彼女に合わせる顔がない、、、


 返却終わったら急いで行こ、、、








和「澪さん! テストどうだった?」


澪「か、和樹くん!? まだ一時間目が終わったばかりですよ!?」


 そう、俺は返却が終わったら言葉通り走ってきた


和「ごめん! でも澪さんが悲しんでないか不安だったから、、、」


澪「ひゃうっ! そそ、そんな恥ずかしいことをここで言わなくても、、、」


 周りの女子が『キャ~!』って言っている


 必死な俺を見て面白がってるんだろうが、今はそんな事どうでもいい


和「そうだね。 ここでする話でもないし、付いて来て。」


 そう言って俺は澪さんの手を優しく掴んで立たせた


澪「っ! 強引な和樹くんもイイです、、、」


 ? 周りがうるさくてよく聞こえなかった


 まぁうん、今の俺相当カッコつけてるイタいやつだな、、、


 早く移動しよう




3組女子「カッコいい、、、私もあんなふうに連れてってほしい、、、」











澪「それで和樹くん、いつもの空き教室に連れてきてどうしたんですか?」


 おっと説明がまだだった


和「テスト結果の話だよ。」


澪「それだけのために3組へ突撃したんですか?」


和「うっ、、、そうです。」


澪「、、、和樹くん? 私が何を言いたいか分かりますか?」


 目が、目がぁ〜〜


 澪さんの目が冷たい、、、



和「軽率な行動をしてしまい申し訳ございませんでした。」 


澪「その通りです! テスト結果なんてこの後に何回でも見れますし、家に帰ったら復習もするんですから!」


和「確かに、、、え? 復習しなきゃ駄目ですか?」


澪「できない立場にいるとでも思っているのですか?」


和「あ、はい、喜んで。」


 もう表情が冷たすぎて怖い


 、、、5分前の自分を殴りたい


 なんでもっと冷静になれなかったんだろ、、、




和「ごめん。 実はテストで2位が取れてさ。」


澪「! すごいじゃないですか!」


和「うん、それは嬉しいんだけどね。」


澪「他に何か?」


和「そ、その、澪さんが1位を取れていなかったりしたら、どうしようって不安になって。」


澪「なるほど。 だから教室であんな事を、、、大丈夫ですよ。」


 そう言って澪さんはプリントを広げて見せてきた


 それは、テスト結果だった




和「、、、1位、、、良かったぁ〜。」


 澪さんは今回も1位だった


 本当に良かった


澪「和樹くんは、私を信じてくれなかったんですか?」


和「違う、信じてたよ。 でも、、、」


 澪さんなら大丈夫だと心で思っても、不安は拭いきれなかったんだ


 だから、俺が上がって彼女が下がるなんて恐ろしいことが起こらなくて安心した


 『和樹くんのせいじゃないですよ』なんてセリフが彼女の口から出てこなくて良かった


 本当に、安心した



澪「私のことを思っての行動だったのですね、、、やはりズルいです。」


和「な、何が?」


澪「私のためにあんなにも情熱的に行動してくれたなんて、嬉しいじゃないですか。 怒る気持ちも消えちゃいましたよ。」


和「あはは、、、」


 やっぱり怒ってたのね、、、




澪「それよりも、もう休み時間が終わってしまいます。」


和「ホントだ。」


澪「教室に帰ってからが大変そうですね。」


和「ごめん。 皆に呆れられて笑われてたし、、、」


澪「? 和樹くんは何を言っているのですか?」


和「だってあんなに女子がキャ~って言ってたんだよ? 絶対馬鹿にされてる、、、」


澪「、、、和樹くんは鈍感すぎます。」


和「な、何が!?」


澪「近づこうとする人たちには気をつけないといけませんね、、、」


和「だから何が!?」


 さっきから気になるんですケド!


澪「いえ、和樹くんは気にしなくても大丈夫ですよ。 さぁチャイムが鳴っちゃいますよ、急ぎましょう。」


和「、、、?」


 何かはぐらかされた気分だ







 とにかく、俺と澪さんは期末テストを無事に乗り越えたのだ


 あ、因みに、健翔、誠也、菊、燈火さんの4人も良い点数だったらしい


 皆もお疲れさまでした







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